ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第63回目は、居心地の良さと感度の高さが共存する「青山グランドホテル」

BY KYOKO SEKINE

 長い間待ち焦がれた青山地区のラグジュアリーなホテル「青山グランドホテル」が、やっと、開業してくれた。ドアオープンは2020年8月5日、当初の予定より少し遅れての開業だったというが、生まれたてのホテルの魅力は、想像以上のセンスの良さと丁度いい規模の大きさにある。そして食事の美味しさにはもろ手を挙げて喜んでいる。

画像: どことなくアンティーク感のあるホテルのメインエントランス

どことなくアンティーク感のあるホテルのメインエントランス

 ホテルの建つ場所は、ファッションのメッカ、カルチャーの発信地として知られる通称「青山通り」の国道246号と、通称「キラー通り」の外苑西通りが交わる南青山三丁目の交差点にある。昔からこの地を知る人にとっては、東京のファッション複合ビルのはしりとなった旧「青山ベルコモンズ」(1976年開業)の跡地でもある。そして、三菱地所の複合商業施設として青山の新ランドマーク「the ARGYLE aoyama(ジ・アーガイル・アオヤマ)」が7月1日に開業し、ホテルはその施設内にオープンとなった。東京メトロの外苑前駅からは徒歩3分という、アクセスの良さも嬉しい限りだ。

画像: パリやNYなどで見かける、レストランとの一体型レセプション。後ろにチェックイン・デスクがあり、着席でのチェックインも可能

パリやNYなどで見かける、レストランとの一体型レセプション。後ろにチェックイン・デスクがあり、着席でのチェックインも可能

画像: 中庭に植えられている竹の林。ガーデンビューの客室はこの竹林に面している。窓の外の竹林はとても落ち着くとゲストからも好評

中庭に植えられている竹の林。ガーデンビューの客室はこの竹林に面している。窓の外の竹林はとても落ち着くとゲストからも好評

 ホテルは、このビル内の7フロアを占めている。その運営は、レストランやホテルの展開で高い定評のある「Plan・Do・See」であり、東京初のホテル出店として地域性を活かし、感性豊かでエネルギーに溢れたホテルを造り上げた。部屋数は全42室、このサイズならゲストの顔が見える、程良いブティック型である。“ミッドセンチュリー”をコンセプトワードに、70年代のビンテージマンションのような造りとホテルは説明する。“人が主役”と謳う客室内には、上質で快適な家具アルフレックスが置かれ、竹製のベッドフレームが美しい、岩田寝具社のマットレス「KAGUYA KOKOCHI」を使用するなど、懐かしさと新しさの入り混じった快適なアパルトマンのような体感ができる。

画像: 「スーペリアクイーン」<39㎡>(シティビュー) 高品質なアメニティや家具調度品が揃う、快適な部屋

「スーペリアクイーン」<39㎡>(シティビュー)
高品質なアメニティや家具調度品が揃う、快適な部屋

画像: 「246 スイートツイン」<56㎡>

「246 スイートツイン」<56㎡>

 バスアメニティは、日本のホテルでは初の「oltana(オルタナ)」を使用。これは日本の材料にこだわり精油と日本の発酵技術に着目し、青山グランドホテルのために開発された贅沢品という。こうしたホテル全体を通して見えてくるのは、メイド・イン・ジャパンのホテルが、今後、世界に発信していく日本独自の新グローバリズムの先兵となっていくような期待感である。一見、無国籍のようにも見えるホテルだが、なんの、館内には日本の魅力が未来志向的に昇華されている。

画像: 「THE BELCOMO」の内観。ホテルゲストはここで朝食(和食、洋食)を。ランチタイムからは夜まで賑わっている

「THE BELCOMO」の内観。ホテルゲストはここで朝食(和食、洋食)を。ランチタイムからは夜まで賑わっている

画像: ふっくらと焼き上げた生地に、濃厚なブッラータチーズ、塩気のある生ハム、セルバチコをトッピングした「ダッチベイビーパンケーキ」。メープルシロップをかけていただく

ふっくらと焼き上げた生地に、濃厚なブッラータチーズ、塩気のある生ハム、セルバチコをトッピングした「ダッチベイビーパンケーキ」。メープルシロップをかけていただく

 また、館内には、これまでに日本中で多彩なレストランを運営していることで知られる「Plan・Do・See」ならではの充実したレストランが揃う。もともとあったベルコモンズというビル名を残した「THE BELCOMO」はオールデイダイニングとして、世界中の美味しい料理をオリジナル料理に変化させ提供している。10月23日にオープン予定のイタリアンダイニングは最上階に位置し、「TRATTORIA ANDREA ROSSI」としてアフタヌーンティーとディナーが楽しめる。また、洒落たカウンター和食「SHIKAKU」は昼と夜に営業。さらにもう1店舗「青山 鮨かねさか」がランチと贅沢な夜のおまかせコースで、江戸前寿司の職人技を魅せている。

画像: 夜景が美しいと話題のルーフトップバーは、現在18:00~23:00で営業 ※ 新型コロナウイルスの感染・拡散防止のため、営業時間などは随時公式サイトをご確認ください PHOTOGRAPHS:COURTESY OF THE AOYAMA GRAND HOTEL

夜景が美しいと話題のルーフトップバーは、現在18:00~23:00で営業
※ 新型コロナウイルスの感染・拡散防止のため、営業時間などは随時公式サイトをご確認ください
PHOTOGRAPHS:COURTESY OF THE AOYAMA GRAND HOTEL

 最上階のルーフトップバー「THE TOP.」は、空の下のラウンジバーとして注目を浴びている。オリジナルのカクテルやワイン、シャンパンなど、青山地区を一望しながら過ごせる大人の空間は、間違いなく、感度の高い人々の集いの場となることだろう。ホテルの総支配人は、「お客様にはこのホテルに泊まって元気になって帰って欲しい、スタッフには誇りを持てるようなホテルに育てていってほしい、そして、街と共に潤っていきたい」と語っている。

青山グランドホテル(THE AOYAMA GRAND HOTEL)
住所:東京都港区北青山2-14-4
電話:03(6271)5430
客室数:全42室
料金:¥60,000 ~¥120,000(1泊1室の室料。消費税別)、宿泊プラン有
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

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