BY NAMI IKUMA
自然な輝きのある美しい髪。そのビューティパワーは、服やメイクを凌駕するほどの力をもつ。しかし年齢を重ねれば肌と同様、ハリ・ツヤが失われやすいのでヘアケアに注力したい。弱くなった髪には、「未来の髪」と「現在の髪」2つの視点からのケアが必要だ。まずは頭皮をほぐす基本のマッサージで「未来の髪」をエンカレッジする長期視点のケアから始めよう。
5つの筋肉を通して、血流を頭頂へ届ける
東洋医学では「髪は血余」といわれる。体内で作られた血液の最優先の行き先は、生命を維持するための臓器。髪や爪は、必要な血液が行き渡った後の余りで生成されるという意味だ。加えて、年齢を重ねれば、代謝の衰えから血液やリンパのめぐりが悪くなる。この血流不足こそ、薄毛、うねり、白髪といった大人の髪痩せの根本的な原因がある。
心臓からもっとも遠い頭頂まで血流を促すため、注目すべきは太い血管が流れている頭皮下の筋肉だ。側頭筋、後頭筋、後頭下筋群、前頭筋、併せて首から肩にかけての僧帽筋。この5つの筋肉の場所を頭に思い描き、ここから筋肉のない頭頂の帽状腱膜に向かって血流を促すように、頭皮をほぐそう。
最初にほぐすのは耳上の側頭筋
ターゲットは薄毛や白髪など真っ先に影響が出やすい頭頂部(帽状腱膜)。ここには筋肉がないため、5つの筋肉から頭頂部へ向かって血流を促すイメージをしよう。まずは耳上に扇状に広がる側頭筋からスタート。側頭筋は頭皮下の筋肉の中で最も大きく、日ごろからあごの食いしばりによって凝りやすいので、まずはここをやわらかくほぐすと、全体がゆるみやすくなる。
ブラシは毛先がしなる肌あたりの柔らかいものを用意し、力を抜いてリラックスしながら生えぎわから頭頂部に向かって数回とかす。マッサージとしてのブラッシングは、毛先までとかしきる必要はないので、ブラシが頭頂までいったらブラシを抜き、また生えぎわから頭頂に……と数回繰り返せばOK。
さらに効果を上げるには、ブラシを側頭部に押し当て、小さい円を描くように「ぐりぐり」と圧をかけるとさらに血流アップ。
次にスマホやPCで疲れがちな背面をほぐす
続いて首と肩の下の僧帽筋、目の疲れがたまりやすい後頭筋や、後頭部の出っ張った部分のすぐ下あたり(ぼんのくぼ)、後頭下筋群をほぐす。肩こりがある人はめぐりが悪い証拠。薄毛予備軍だと意識したほうがいい。自覚がなくても、毎日のPCやスマホで知らず知らずのうちに疲れやコリが蓄積されているため、側頭部と同様にやさしくとかしあげたり、ブラシを押し当てながら「ぐりぐり」と動かして。クセになる気持ちよさなので、好きなだけどうぞ。
背面が終わったら、生えぎわあたりの前頭筋から頭頂へも同様に行う。前頭部は、「ぐりぐり」がおすすめ。スタンプを押すように移動させていく。すべての筋肉が終わったら、最後は頭頂全体に血流を促すように全方向から頭頂部をとかす。このひと通りで、マッサージは終了。頭部の血流がよくなり、頭がポカポカしているはず。これを、朝起きたときと、シャンプー前の1日2回行う習慣をつけよう。
伊熊奈美厳選!大人の髪におすすめブラシ
アヴェダのパドルブラシ
パドルブラシ、クッション部分に穴があいているため、圧がかかるとペコペコとへこみ、頭皮への負担が軽減できる仕組み。マッサージはもちろん、スタイリングブラシのようにも使える万能ブラシ。オンラインや直営店では刻印も可能。
タングルティーザーのザ・オリジナル ソフト&ダメージ
絡まった髪を簡単に解きほぐせることで人気のブラシ。軽量で柄がなく、ブラシの全面に均等に力をかけられるので、初めての頭皮マッサージに最適。こちらはブラシの"歯"がやわらかく頭皮への負担が軽いので、大人の敏感な頭皮におすすめ。専用のホルダーに入れておくと、ホコリもよけられ、清潔に保てる。