スイスの高級時計を代表する伝統あるマニュファクチュールとして、世界中から信頼を集めるオーデマ ピゲ。複雑機構を備えたメンズウォッチのイメージが強いメゾンだが、140年余のヒストリーは女性の存在なしには語れない

BY HIROKO NARUSE

オーデマ ピゲの最高品質の秘密は、
発祥の地ル・ブラッシュにあった

 スイスのジュラ山脈の南端、フランスとの国境近くに位置するジュウ渓谷。そこは、冬になると降雪のため集落が孤立するほどの過酷な立地条件と、森や水、鉄鉱石を含んだ岩などの天然資源によって、15世紀頃から金属加工の家内工業が発達した。やがてそれが時計産業に変わり、現在では超複雑時計をはじめとする少数生産の最高級機械式時計の聖地として知られている。

画像: ジュウ渓谷の厳しい自然の中で、名作時計の数々が生まれた

ジュウ渓谷の厳しい自然の中で、名作時計の数々が生まれた

 なかでもル・ブラッシュで設立されたオーデマ ピゲは、現在もかの地を離れることなく、創業者一族のオーデマ家とピゲ家の手で、独立性を保った家族経営を続けるマニュファクチュール。伝統的なウォッチメーカーが次々に大資本の傘下に入る中で、オーデマ ピゲは稀にみる存在だ。それを支えるのは、ジュウ渓谷の手つかずの自然と一体となった物づくり。時計師たちは澄んだ夜空の眺めにインスパイアされ、太陽の運行や月の満ち欠けに時の流れを感じとる。自然は彼らに、悠久の時を、人知を超えた長いスパンで捉え、時計に表現する術を伝えてくれる。数々の名作時計は、このように大自然との共存から誕生してきたのだ。さらにメゾンはいち早く女性の力に着目し、重要なポストを任せてきた。そして現在、プロダクトマネジメント部門の半数を女性が占めていることを、心にとめておきたい。

 1875年、複雑時計への熱意を抱いた二人の若き時計師、ジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲが、ル・ブラッシュで起業したことから、メゾンの物語は始まった。彼らはチャイミング機構やクロノグラフ、アストロノミカル機構など、今なおオーデマ ピゲが得意とする専門分野を確立した。そのブランド哲学は“To break the roles, you must first master them.”(型を極める。型を壊すために)。創業者の物づくりの姿勢や技術を脈々と受け継ぐ中で、ブランドのルールすなわち基本が揺るぎないものとなり、その確かな自信が50年後、100年後を見通した革新的なクリエイションを生み出している。

画像: 創業者のジュール=ルイ・オーデマ(右)とエドワール=オーギュスト・ピゲ(左)。二人の理念は今もなお受け継がれている

創業者のジュール=ルイ・オーデマ(右)とエドワール=オーギュスト・ピゲ(左)。二人の理念は今もなお受け継がれている

画像: 熟練の職人による手作業が、最高の品質を約束する

熟練の職人による手作業が、最高の品質を約束する

 オーデマ ピゲは、創業時から希少価値の高いブランドとして知られる。マニュファクチュール(自社一貫生産)によって制作される時計は、現在でも年間わずか4万本。その決め手となる手作業での仕上げと装飾には、メゾンの職人の矜持が凝縮されている。ムーブメントの面取りやサテン仕上げ、鏡面磨きといった熟練の技を必要とする手作業も、独立性を保つブランドゆえに、効率だけにとらわれず、伝統の継承に力を入れることができる。

 もうひとつ、高級時計のバックボーンともいえるのが、販売台帳による顧客管理と製品の修復体制。オーデマ ピゲでは、100年を超えるパーツの雛型をモデルごとに管理し、欠品の場合はパーツを作る工具から制作する。どんな古いモデルの修理も可能。これこそが、何代にも渡って受け継がれることを前提に作られる、高級時計の必須条件なのだ。

画像: プロダクトマネジメント部門の半数は女性 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF AUDEMARS PIGUET

プロダクトマネジメント部門の半数は女性
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF AUDEMARS PIGUET

 

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