その後兄弟は、冷涼なソノマにワイナリーを設立。父の助言を受けながら、試行錯誤を繰り返した。そして2013年に偉大な祖父の名を冠した「ロイヤル セント・ロバート・キュヴェ ピノ・ノワール ソノマ コースト」をリリース、一気に注目を浴びた。折しも、カリフォルニアのワイン・シーンは大きく変革し、今までの果実味豊かなワインとはまたひと味違い、“温故知新”を哲学の軸にした繊細なスタイルのワインが数多く登場し始めた頃だった。この潮流は“ニュー・カリフォルニア”と呼ばれ、「レイン」の人気を後押しした。カルロは続ける。
「祖父も父も、常にチャレンジャーでした。だから、僕たちも、同じ精神で、誰も造りえなかった新しいスタイルのピノ・ノワールに挑戦したいと思っています」
彼らのピノ・ノワールには、ソノマの冷涼な風と澄んだ空気の“気配”が確実に感じられる。“ニュー・カリフォルニアの旗手”ともいえる「レイン」は、飲む人にカリフォルニアワインの新しい魅力を教えてくれる。