TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
和食
鷹峯 アマン京都「鷹庵」
観光客で賑わう街中を離れ、車を北へ走らせること約20分、左大文字山から続く鷹峯三山の麓にある森の庭に「アマン京都」が佇んでいる。緑が生い茂る入り口を進むと、一つ目の門が現れ、さらに進むと正門にたどり着く。今回紹介する「鷹庵」は、ホテルの日本料理店ながら、この正門の外にあり、まるで独立した店舗のような佇まいを見せている。
「アマン京都」は2019年、プライベートリゾートとして開業したが、開業当初から、「鷹庵」は宿泊客以外も訪れやすい店にしたいという思いで、あえて正門の外に店を構えたという。
鷹庵」の総料理長を務めるのは、金沢の料亭「銭屋」の主人、髙木慎一朗さん。髙木さんは、高校時代をアメリカで過ごし、大学卒業後、「京都吉兆」で修業を積む。その後、金沢に戻り、父の創業した「銭屋」に入り、ミシュラン二つ星に導いた。
豊かな国際感覚を持ち、世界のホテルやレストラン、企業からオファーを受け、海外を飛び回り、日本料理の普及にも一役買っている。
鷹峯は、江戸時代初期、本阿弥光悦が芸術村を作った場所であり、琳派発祥の地としても知られている。髙木さんにとって本阿弥光悦は憧れの存在であり、この地で仕事をすることになり、思いもひとしおだそう。
「本阿弥光悦は、刀剣の研磨や鑑定を家職としつつ、書家・陶芸家・画家・茶人など多彩な顔を持つアーティスト。そして、どの分野にもしっかり軸を持ち、本筋は外さず、独特の世界観を確立された名プロデューサーでもありました。私も、光悦にちなみ、本道を外さず、一歩踏み込んだ新しい料理を提供したいです」。
とは言え、奇をてらうという意味でなく、素材に手を加えすぎず、なるべく本来の持ち味をストレートに出す料理を信条に「何を食べているかわかる料理を意識しています」と、髙木さん。
アマン京都「鷹庵」
住所:京都市北区大北山鷲峯町1
営業時間:12:00〜15:00(13:00入店)、17:30〜22:00(20:00入店)
定休日:無休
TEL. 075-496-1333
ランチ¥20,000、ディナー¥40,000(共にサービス料込)
ランチ・ディナー共に前日20時までの要予約
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京都駅 ザ・サウザンド京都「KIZAHASHI」
「ザ・サウザンド京都」は、京阪電車を有する京阪グループのフラッグシップホテルとして2019年に開業。JR京都駅中央口から徒歩2分という好立地なことに加え、日本料理「KIZAHASHI」では、昼夜ともに会席コースを予約なしのウォークインで楽しむことができ、まさに京都出張で時間が読めないという方にもぴったりだ。
ホテル内の日本料理店ながら、宿泊客のみならず、顔合わせやお食い初め、還暦祝いといった慶事、法事、接待など、地元・京都人の利用も多いという「KIZAHASHI」。
料理長・岡野真介さんは、ホテルのほか、京都の懐石料理店でも経験を積み、和食の料理人歴は20年以上。割烹で研鑽を積んだ経験を生かし、店内には“カウンター割烹”と銘打ったカウンター席を設け、“カウンター割烹”専用コースも用意されている(¥24,860~、3日前15時までの要予約)。
最近は、オーバーツーリズムでタクシーもつかまりにくく、道も混んでいたり。街中で晩ご飯を食べていても、新幹線の時間に間に合うか心配で早めに店を後にする人も多いが、この立地なら安心。新幹線の時間ギリギリまで食事を楽しむことができる。
ザ・サウザンド京都
住所:京都府京都市下京区東塩小路町 570
営業時間:11:30〜15:00(14:30LO)、17:30〜21:30(コース20:00LO)
定休日:火曜
TEL. 075-351-0700
ランチ・弁当「SEN 千」¥5,594〜、ディナー・会席「KAZE 風」¥9,944〜、カウンター割烹コース¥24,860〜(3日前15時までの要予約)
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下木屋町の「suba」
2021年大晦日にオープンして以来、連日賑わう立ち食いそば店「suba」。京都でわざわざ立ち食いそば?と思う方もいると思いますが、京都に来た友人たちが、食いしん坊のみならず、感度の高い大人たちもこぞって”今、行きたい店”として名前を挙げる話題の店です。
店を開いたのは京都で飲食店を展開する鈴木弘二さん。食×カルチャーの融合を得意とし、7年前に開いた「sour」はフレッシュフルーツを使ったサワーブームの火付け役となり、東京のアパレルショップやホテルなどでもポップアップショップが開催されるほど話題になりました。
suba(すば)
住所:京都市下京区木屋町通松原上る美濃屋町182番地10東
営業時間:12:00~23:00(L.O.22:30)
定休日:不定休
TEL. 075-708-5623
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御所南「而今 平たて」
京都には値段もスタイルもさまざまに星の数ほど和食店があり、「和食のオススメ店は?」と、ばっくり質問されると正直、答えるのが難しい。今回紹介する「而今 平たて」は、「昔ながらの割烹のように店主と相談しながら好きなものをいろいろ食べたい」という方や、日帰り出張や旅の最終日にディナーを早めにとりたい方にぴったりな一軒です。
店は、15時からオープンという割烹には珍しい営業時間に。15時から17時は”酒と肴”の時間、17時以降は”一品料理とおまかせコース”の時間と銘打っているが、15時から17時はコースがいただけないだけで、一品料理に関しては夜と同じラインナップになっている。「早い時間は一品料理をアテに軽く一杯という酒場遣いでも来て欲しい」という思いから、”酒と肴”とあえて謳っているそう。
店主・平舘亮祐さんは、昨年4月に独立する前は、先斗町の名割烹「余志屋」で別館の料理長を任されていた和食歴18年の料理人だ。
而今 平たて(じこん ひらたて)
住所:京都市中京区車屋通夷川上ル少将井御旅町352の1
営業時間:酒と肴15:00~17:00、一品料理とおまかせコース17:00~(L.O.21:00)
定休日:月曜(月1回連休あり)
TEL. 075-221-2288
おまかせコース¥14,300~(前日までの要予約)
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四条河原町「志る幸」
「志る幸」は、昭和7年創業、旅行者にも人気の和食店だ。かやくごはんやサワラの幽庵焼、若鶏のうま煮、半熟卵など茶事風の点心「利久辨當」は食べたことがある方も多と思うが、次回訪れた際は、ぜひ「利久辨當」に付いている汁ものをアップグレードしてみてほしい。
「志る幸(しるこう)」とい店名は、昔、客がめいめいに飯を持って寄り合い、主人が汁ものを用意して行った宴「汁講」に由来。もてなしの気持ちをただ一杯の汁に込めた日本古来の風習を大切に、店でも汁ものに力を入れている。具材は季節がわりを含め10種類以上から選べ、白味噌、赤味噌、合わせ味噌、すましから選ぶことができる。
「志る幸」
住所:京都市下京区四条河原町上ル一筋目東入ル
営業時間:11:30~最終入店14:00、17:00〜最終入店20:00
定休日:水曜、火曜夜
TEL. 075-221-3250
四条堺町「千丸屋」
「千丸屋」は文化元年(1804年)創業、京都の各宗総本山御用達の湯葉の老舗だ。もともと食事処はなく、物販のみだったが、6年前から売り場内にイートインスペースを設け、「大名物 湯葉鍋」が始められた。
テーブルに運ばれてきた湯葉鍋のフタを開くと、平べったい湯葉が鍋一面を覆っているそのビジュアルに驚かされる。ぐつぐつ煮えた出汁と湯気で湯葉が膨れ上がる様子も楽しく、動画を撮る人も多いそう。
最近は、刺身のようにいただく生湯葉が人気だが、古くから精進料理や京料理で使われていたのは乾燥湯葉であり、こちらの鍋に入っているのもすべて乾燥湯葉だ。
京都の家庭でも、卵と炊いたり、魚や野菜と炊き合わせにしたり、昔は食卓に登場していたが、最近は乾燥湯葉離れが進んでいる。
「千丸屋」で湯葉鍋を提供するようになったのも「どうやって食べたらいいかわからない」「味の想像がつかない」という声が多かったことがきっかけだそう。
呉汁(豆乳)を加熱し、表面にできた薄い膜を職人さんが一枚一枚、引き上げ、乾燥し・・・未だに手作業で作られる京湯葉は、薄く、口当たりも滑らか。ぐつぐつ炊けば、出汁をぐんぐん吸い、合わせる具材や調味料で味が変化していくのもおもしろい。
「千丸屋」
住所:京都市中京区堺町通四条上ル八百屋町541
営業時間:10:00~18:00(イートインは10:30~15:00)
定休日:水曜
TEL. 075-221-0555
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洋食
東山七条「フォーシーズンズホテル京都」
「フォーシーズンズホテル京都」では、今年4月、1階のダイニングが「エンバ・キョウト・チョップハウス」として名前も新たにオープンした。
料理長・セバスチャン・バルクデスは、アルゼンチン出身。17歳で料理の世界へ飛び込み、「シャングリ・ラ ドーハ」ではアルゼンチン料理レストランの料理長に就任。その後も、「マンダリン グリル」や「マンダリン オリエンタル クアラルンプール」、「シャングリ・ラ ザ・フォート」で腕を磨き、世界的にも有名な肉職人”ダリオ・チェッキーニ”が手がけるステーキレストラン「SLSバハマール」でも料理長を務めた。
アルゼンチンには、肉の塊を炭や薪で豪快に焼き上げる伝統的なアサードと言われるバーベキュー料理があり、セバスチャンにとってもアサードはDNAに刻まれている郷土料理であり、レストランでも、炭火焼きをスペシャリテにしている。
炭火焼きのなかでも特にオススメなのが熟成肉のステーキ。「日本では、鮮度いい状態で牛肉が仕入れられるのがすばらしい」と、セバスチャン。厨房に熟成室を設け、フレッシュな牛肉を仕入れ、自ら管理してエイジングを行っている。
フォーシーズンズホテル京都「エンバ・キョウト・チョップハウス」の情報をもっと見る>
フォーシーズンズホテル京都「エンバ・キョウト・チョップハウス」
住所:京都市東山区妙法院前側町445-3
営業時間:11:30〜14:30、ディナー17:30〜22:00(21:00LO)
定休日:無休
TEL. 075-541-8288
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清水五条「洋食屋なかご」
ハンバーグを見て、「むむ、もしやこれは?」と思われた方がいれば、それはかなりの京都通!「洋食屋なかご」は、2019年に惜しまれつつ閉店した「ビストロ セプト」の料理長・松本奈火吾さんが開かれた店であり、細長い形のハンバーグにたっぷりのマッシュポテトを添え、黒々としたデミグラスソースがかかったスタイルも、「ビストロ セプト」譲りだ。
「洋食おがたのハンバーグかと思った」という方もご名答!「ビストロ セプト」は、全国からグルマンが訪れる上等洋食「洋食おがた」のシェフ緒方博行氏が、2007年のオープン時から料理長を務めていた店である。緒方さんと「洋食屋なかご」松本奈火吾さんは、今から20年以上前、長崎「ホテルヨーロッパ」で上柿本勝シェフの元、共に研鑽を積んだ兄弟弟子であり、松本さんは店を開く前は、サービスを学ぶため、「洋食おがた」で半年間働いていたそう。
昼はハンバーグをはじめ、カツレツやポークジンジャーなど、セットで気軽にいただけ、夜はアラカルトをシェアするスタイルに。
「高坂地鶏のカツレツ デミグラスソースとタルタルソース」や「極上 大人のナポリタン目玉焼きのせ」など、自慢のデミグラスソースを使ったメニューもいろいろ。
王道の洋食メニュー以外に、季節の食材を使った一品やビストロ的前菜もそろい、ワインをはじめ、ハイボールや自家製ジンジャーエールを使ったモスコミュールなど、アルコール類も豊富で、お酒をお酒を飲みながらゆっくり食事が楽しめる。
洋食屋なかご
住所:京都市下京区松原通御幸町西入ル石不動之町682-4 もみじの小路
営業時間:11:30~14:30(13:30LO)、17:30~23:00(21:00入店)
定休日:水曜、木曜不定休
※予約がベター
TEL. 075-600-9655
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四条木屋町「ブラッスリー カフェ オンズ」
「ブラッスリー カフェ オンズ」のオニオングラタンは、毎冬、何度も食べにいく大好物だ。店で仕込む際は、毎回、10キロのタマネギを寸胴鍋でじっくり弱火で炒め、タマネギのかさが減ってきたら、小さい鍋に移し替え、また炒め・・・を繰り返し、最終的には10分の1のボリュームになるとか。さらに飴色タマネギを鶏だし、バター、ミネラルたっぷりのゲランドの塩でことこと煮ること1時間。注文後に、スライスしたバゲットでフタをして、グリエールチーズをたっぷりかけ、オーブンでこんがり焦げ目がつくまで焼かれる。
Brasserie Café ONZE(ブラッスリー カフェ オンズ)
住所:京都市下京区木屋町四条下ル斎藤町125
営業時間:15:00~24:00
定休日:無休(年末年始除く)
TEL. 075-351-0733
下鴨「グリル生研会館」
洋食店のハンバーグが大好きなのに、幼い頃から親に連れられ通っていたお気に入りの店がことごとく閉店し、自分のなかのスタンダードハンバーグを失っていた頃(と言っても今から20年前)に出会ったのが「グリル生研会館」のハンバーグだ。色が濃いめのデミグラスソースがたっぷりかけられ、仕上げにはとろ~り半熟の目玉焼きがのった食欲をそそるビジュアル!デミグラスソースは、牛スネ肉やバラ肉、香味野菜を炒めてじっくり煮ること1週間。マデラ酒とポルト酒で深みと甘みも加わり、これぞデミグラスソースのお手本というべき味わいだ。ハンバーグ自体も牛8、豚2の合い挽き肉で、牛肉100%よりふんわりと。それでいて、肉感もしっかり味わえる。
「グリル生研会館」
住所:京都市左京区下鴨森本町15 生産開発化学研究所ビル1F
営業時間:12:00~13:30LO、17:00~18:30LO(夜は完全予約制)
定休日:木曜、水曜夜
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烏丸御池「洋食とワイン Ao」
京都のイタリア料理店「Lino」の新展開として昨年5月にオープンした「洋食とワイン Ao」。
「家庭でもおなじみの洋食に挑戦したくて。料理人が厳選素材を使って作ったらこんなにも違うのかってところを味わってください」と、オーナー・岩井永吉さん。
イタリアのソーセージ・サルシッチャを使ったナポリタンやフォアグラのソテーをのせたハンバーグなど、イタリア料理やフレンチの食材や技法を用いた変化球洋食も勢揃い。
「北海道産生雲丹をのせた黒いオムライス・雲丹の濃厚リゾット」は、ビジュアルからインパクト大。イカスミでコクを出したふわとろのオムレツと雲丹入りのトマトクリームリゾットはそれぞれで食べても一緒に食べてもおいしく、さらに生雲丹をトッピングし、パルミジャーノレッジャーノを添え、濃厚な旨みが押し寄せる。
昔ながらの町の洋食店の中には、シェアをせず、一人でひと皿をいただくスタイルの店も多いが、こちらは、店名に”洋食とワイン”とあるように、お酒を飲むながら、みんなでアラカルトを分け合いながら楽しむことも。人数に合わせて量の調整や、希望があれえば取り分けてサーブもしてもらえる。
烏丸御池「洋食とワイン Ao」
住所:京都市中京区三条通烏丸西入御倉町73
営業時間:12:00~13:30LO(土日祝のみ)、17:30~21:00LO
定休日:火曜、水曜不定休
TEL. 075-253-6089
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宮川町「グリル 富久屋」
「グリル 富久屋」は京都五花街の一つ、宮川町に明治40年創業。現在も、座敷に出る前の芸舞妓の食事として置屋さんにお弁当を配達したり、座敷での宴会用にオードブルを特注で作ったりと、花街に親しまれている。ランチとディナーの間に休憩時間を取らず、通し営業なのも、置屋やお茶屋の女将さんが忙しくなる夕方前に訪れたり、稽古終わりのお師匠さんが遅めの昼食を食べに来たり、花街時間に合わせているそう。
片面だけ焼いた具だくさんの卵をケチャップライスにのせた名物の「フクヤライス」は、金鶴という芸妓さんの「やわらかいオムライスが食べたいねん」というリクエストで生まれたそう。金鶴さんが食べているのを見たほかのお客さんから「私もアレ食べたい」という声が増え、レギュラーメニューに昇格。昔はハイカラな洋食店として、旦那衆が芸舞妓さんを連れて食事に行く”ごはんたべ”にもよく利用されていて、金鶴さんに最初に出した「フクヤライス」も、卵に松茸や蟹身など豪華な食材を使っていたが、メニュー入りするにあたり、グリーンピース、ハム、トマト、マッシュルームに変更されたそう。
ハムと玉ねぎ入りのケチャップライスの上に具だくさんのトロトロ半熟の卵がのっていて、見た目や名前は違えど、食べると、「優しい味わいのオムライス」といった風。
卵の上にのったフレッシュなトマトもみずみずしくさわやかさを添えている。
宮川町「グリル 富久屋」
住所:京都市東山区宮川筋5-341
営業時間:12:00~21:00(20:30LO)
定休日:木曜、第3水曜休
TEL. 075-561-2980
カフェ・スイーツ
河原町今出川「手づくりあんみつ みつばち」
「手づくりあんみつ みつばち」のあんず氷は、夏になると「食べに行かなくちゃ」と思うスイーツのひとつ。
あんず氷を出している店はほかにもあるが、こちらのあんず蜜はねっとり濃厚なのが特徴。通常、蜜をかけるとすぐに氷と一体になるが、氷の上に蜜がのった状態をキープ。「あんず氷は蜜が濃厚なため、氷と混ぜながらお召し上がりください」という注意書きが添えられているほどだ。そのため、すぐに氷が溶けてシャバシャバになってしまうことなく、氷のふわシャリ感を存分に味わえる。
あんず蜜は濃厚ながら、甘さ控えめでフルーティーな酸味があり、さっぱり。寒天と赤エンドウが添えられていて、トッピングとして楽しめるのもうれしい。
あんず氷はもともと、あんずのシロップ漬けを作る際、小さかったり、かけたりして、あんみつのトッピングにできないものを利用して作られたのが始まり。今では、かき氷用にあんず蜜が作られているが、それでも製造が追いつかず、数量限定に。早い時は午後1時頃に売り切れてしまうこともあるとか。
「手づくりあんみつ みつばち」は2000年、北野天満宮にほど近い千本商店街でわずか5坪の店から始まり、2003年、河原町今出川に移転。その当時から、昭和から続く店のような店構えで、メニューも、あんみつや豆かん、ぜんざい、ところ天と、昔ながらの甘味が並んでいた。
手づくりあんみつ みつばち
住所:京都市上京区河原町通今出川下る梶井町448-60
営業時間:11:00〜18:00
定休日:日曜、月曜
TEL. 075-213-2144
清水五条「三日月氷菓店」
今年4月27日にオープンした「三日月氷菓店」。京都で店を開く前は、千葉県・柏市で15年間、同名のかき氷専門店を営んでいて、ハイシーズンは行列が絶えない人気店だったが、店舗を立ち退くことに。そこで、店主・池田佳如さんが大好きな歴史ある街、京都に移転を決めたそう。
かき氷は柏市時代から変わらず、宇治抹茶や黒みつなど、定番4種類と期間限定2種類をラインアップ。これからの時期はすももやすいか、白桃、さらに秋になると、ぶどう、りんご、ピーナッツが登場予定だ。
三日月氷菓店
住所:京都府京都市東山区下新シ町329
営業時間:10:00〜17:00(16:30LO)
定休日:火曜、水曜
TEL. 075-366-4685
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営業日2日前21:00よりWeb予約可
予約はこちらから
二寧坂「かさぎ屋」
「かさぎ屋」は、大正3年から二寧坂で店を構える甘味処だ。清水寺に向かう参道、二寧坂は、長く続いていた老舗がどんどんなくなり、その代わりに観光向けの店が増え、街が様変わりしている。さらに、以前にも増して外国人ツーリストや日本人観光客で賑わっているため、地元・京都人のなかには行くのを極力避けているという人も多い。そして私もその一人なのだが、それでも「かさぎ屋」は、人混みをかき分け行きたい店であり、特にかき氷の時期はなおのことだ。
かき氷の中で必ず注文するのが、「しるこセーキ」だ。通常のかき氷と違い、こしあんとかき氷があらかじめ合わさったもので、今で言う、こしあんフラペチーノ。取っ手付きのグラスで出され、スプーンですくって食べると、シャリシャリとろとろ、こしあんとクラッシュアイスの一体感が楽しめる。さらに、時間が経って氷がちょっと溶けた後の甘さが薄まった感じもあっさりおいしい。
かさぎ屋
住所:京都府京都市東山区高台寺桝屋町349
営業時間:10:00〜17:30(17:10LO)
定休日:火曜
TEL. 075-561-9562
四条烏丸「居雨/KYO」
100年続く老舗も多いが、新店も続々とオープンする街、京都。東京の人気店が京都に出店するケースも多く、「居雨/KYO」も、工藝とアートを扱う白金台「雨晴 AMAHARE」が手がけた茶房だ。
店ができる前から「雨晴 /AMAHARE」の器を使っている京都の料理人や料理家も多く、昨年11月、「KYO AMAHARE」がオープンする際には街の話題に。築130年を超える歴史ある京町家をリノベーションした広々とした店内には、白金の本店同様、陶磁器、ガラス、木工、金工、和紙製品が並ぶほか、2階にはアートプロジェクト「雨跡/AMART」として工藝の延長線上にあるアートが展示されている。
茶房「居雨/KYO」は、「KYO AMAHARE」のオープンから4ヶ月経った3月31日、奥の蔵に誕生した。
「居雨/KYO」は、その名や概念を雨晴が創出し、福岡にある茶酒房「万 yorozu」の茶司 德淵卓さんがその想いを汲んで雨を感じる空間や演出、おもてなし、お品書き等を監修。メニューには、德淵さんセレクトの日本茶と共に菓子が楽しめるコースが用意されている。
居雨/KYO
住所:京都市中京区蛸薬師通柳馬場東入油屋町127
営業時間:11:00〜19:00(18:00L.O.)
月に2回、夜営業あり(19:00~23:00)
定休日:水曜
TEL. 075-256-3281
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※支払いはキャッシュレス決済のみ。予約優先(予約はオンラインで受付)
東山「鍵善良房 高台寺店」
享保年間創業、祇園で300年近く続く和菓子店「鍵善良房」。京都に行ったら毎回、こちらで、くずきりを食べるというファンも多い有名店ですが、高台寺店があるのはご存じだろうか。
高台寺店は、実は40年以上前からある。昨年は半年に渡る改装工事を行い、今年1月にリニューアルオープンした。
ひと昔前は、大人の街として知られていた祇園だが、今や日本人観光客と外国人ツーリストでごった返す一大観光スポットとなり、本店も混み合っていることが多く、高台寺店は穴場。しかも、リニューアルを機に設けられた半個室は電話予約ができるのがありがたい。
「鍵善良房」は花街・祇園という場所柄、茶人や僧侶はもとより、お茶屋や料亭に出入りする文人墨客や旦那衆、花街の女性たちにも広く愛されてきた和菓子店だ。店の代名詞であるくずきりも、元々は、食後のデザートやおやつとして、料理屋さんやお茶屋さん、芝居小屋に配達していたそう。くずきり用の二段重ねの蓋付き漆器も、配達することを考慮し、木工作家・黒田辰秋がこの仕様にしたという。
「鍵善良房 高台寺店」
住所:京都市東山区下河原通高台寺表門前上ル
営業時間:10:00〜17:30LO ※混み具合によって閉店が早まる場合もあり
定休日:水曜(祝日の場合は翌日休)
TEL. 075-525-0011
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河原町五条「喫茶ジャニー」
「喫茶ジャニー」は今年5月7日オープンしたばかりの新店ながら、店内は、昔からそこにあったような”純喫茶”感が漂っている。長く続いている店じゃないなら、喫茶店の居抜き物件に違いないと思うが、実は古民家を改装しているという。
京都には、古民家を改装した町家カフェは多いが、それとは違う純喫茶を目指したというオーナー・小山利行さん。ヴィンテージの花柄の壁紙を貼り、アンティークの家具を配し、ザ・昭和の喫茶店感漂う木製カウンターやスツールは特注したという。
オーナー・小山さんは「炭火焼鳥 チャブヤ」や「おでんと釜飯 ムロ」など、京都で飲食店を展開していて、こちらで6店舗となる。
「もともと串揚げとおでんの店で、おでんだしで作ったカレーに串揚げに使う豚ヒレカツをのせて出していてたんですが、それが好評で。最初はカレーの店を出そうかと思ったんですが、喫茶店もやってみたいと思っていたので、純喫茶を作りました」と、小山さん。
自慢のカツカレーは、昆布や混合節から取った出汁と牛すじ出汁を合わせたおでん出汁がベースに。小麦粉を使わず、玉ねぎやトマト、マッシュしたじゃがいもなど、野菜でとろみをつけているので、よくある欧風カレーのような重たさがなく、サラリと軽やか。上にのっているカツもカレーとの相性を考え、ロース肉をかなり薄めスライスしてあり、ペロリといける。
ほかにも「特製カツサンド」や「フライドポテト+オムレツ+カレーソース」といった食事にもアテにもなるメニューやお酒もそろい、喫茶利用だけでなく、昼からお酒も楽しむこともでき、大人がゆっくりできる喫茶店になっている。
「喫茶ジャニー」
住所:京都市下京区五条麩屋町上ル下鱗形町540-1
営業時間:11:30〜19:00(不定期で夜営業あり)
定休日:不定休
TEL. 080-9056-8163
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御所南「一保堂茶舗 京都本店」
京都を代表する日本茶専門店「一保堂茶舗 京都本店」が、半年間の改装工事を終え、2023年12月にリニューアルオープンした。
「一保堂茶舗」の創業は1717年。蛤御門の変で店舗を焼失し、1864年に今の場所に再建されたというエピソードも京都っぽく、現在、売り場に使っている母屋は、再建された当時のものだという。
今回の改装工事では母屋の耐震補強も主な目的に。とは言え、売り場は、一見、改装前と全然変わっていないようにも。
しかし実は、漆喰の壁は一度剥がして、補強のための耐震壁を入れて、また漆喰を塗り直し、床をめくって、香川県牟礼で産出される高級石材、庵治石を敷き直すなど、古き良き佇まいをそのままに、隅々にまで手がかけられている。
「一保堂茶舗 京都本店」
住所:京都市中京区寺町通二条上ル常盤木町52
営業時間:10:00~17:00(喫茶LO16:30)
定休日:第2水曜
TEL. 075-211-4018
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河原町丸太町「冬夏」
京都御所と鴨川に挟まれた住宅街に店を構える「冬夏」。築100年余りの広々とした日本家屋の一室、席数をあえてカウンター6席に絞り、日本茶をじっくり味わえる店造りがされている。
写真は、2煎目を淹れていただいているタイミングで出される一つめの菓子。この日は、植物性素材で作るタルトタタン
ティールームでいただけるお茶は、農薬や化学肥料を使わない、オーガニックの日本茶のみ。日本茶専門店の多くは、いつも変わらぬ店の味を提供できるように、産地や品種、蒸し具合も様々な茶葉をブレンドする”合組(ごうぐみ)”を行っているが、こちらでは、あえて単一農園の茶葉を使用。農薬や化学肥料に頼らず育てられた茶葉は、茶樹の生命力を鍛え、茶葉自らの力で滋味を醸成。産地、さらには畑ごとの茶樹の違い、製法、施肥の有無、収穫年によって、味がまったく変わってくる。
オーナーは長年ギャラリーを営んでいるだけあり、お茶を飲むための設えや道具、空間も洗練されていて、茶室にいるような凜とした空気感も心地いい。どのお茶も6、7煎まで楽しむことができ、煎を重ねるごとに変化する味やアロマを追いかけながら、新しい日本茶との出会いを感じることができる。
「冬夏」
住所:京都市上京区信富町298
営業時間:11:00~18:00(17:30LO)
定休日:火曜、水曜
TEL. 075-254-7533
予約制(前日まではWeb予約、当日は電話で受付。席が空いている場合は、予約なしでも利用可)
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河原町「菓子屋 温 京都御幸町」
今回紹介するのは、昨年11月にオープンした和菓子と日本茶を楽しめる「菓子屋 温 京都御幸町」。入り口のカウンターには、さまざまな意匠の和菓子が並んでいるが、実はこれらはすべて大福がベースになっている。
店主・山岡すず花さんが作る大福は、餡を白い餅で包んだお馴染みのものとはまったく違い、独創的。
つぶ餡を餅と黒ごま餡で包み、苔を模したよもぎと抹茶のそぼろ餡で包んだ「苔結び」や、刻んだ柚子をシナモンやカルダモンなどスパイスを合わせた餡と餅で包み、青大豆のうぐいす粉をまぶした「温香」など、姿も素材使いも斬新で、いただく前から味の想像が膨らみ、ワクワクさせてくる。
「菓子屋 温 京都御幸町」
住所:京都市中京区御幸町通六角下ル伊勢屋町341-1
営業時間:12:00~18:00
定休日:火曜、水曜
TEL. 075-708-6446
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烏丸丸太町「シェリー メゾン ド パフェ」
予約が取れない割烹やレストランはよくあるが、今回紹介するのは、予約が取れないデセールパフェ専門店「CHÉRIE MAISON DU PARFAIT(シェリー メゾン ド パフェ)」。オーナー・小林かなえさんは、23歳で渡仏し、パリの料理製菓学校「エコール・リッツ・エスコフィエ」卒業後、パリの星付きレストランやホテルで修業。帰国後は地元・京都で菓子教室を開き、現在は、NHK「きょうの料理」の出演をはじめ、TVや雑誌、書籍などでも活躍している菓子研究家だ。
メニューはパフェをメインにしたコースのみで、一斉スタートという今どきの割烹のようなスタイルも珍しい。カウンターに座ると、目の前のキッチンでパフェのパーツを組み立て、できあがるまでの工程を楽しむことができる。さらに、できあがったパフェがズラリと並ぶ光景を見ることができるのも、一斉スタートならではの醍醐味だ。
パフェは1ヶ月ごとに内容がかわり、11月は栗、12月はクリスマスのパフェの予定。
狭き門ではありますが、ライブ感満載のパフェコースを五感をフルに使って楽しんでみてください。
CHÉRIE MAISON DU PARFAIT(シェリー メゾン ド パフェ)
住所:京都市中京区竹屋町通室町西入ル相生町281
営業時間:木・金・土10:00~、13:00~の一斉スタート(土・祝日のみ15:00~もあり)
定休日:日曜~水曜
TEL.なし
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河原町御池「ATELIER PAGES KYOTO」
2023年7月、パリの一つ星レストラン「Restaurant Page」のシェフである手島竜司氏が日本に初のショップ「ATELIER PAGES KYOTO(アトリエ パージュ キョウト)」をオープン。ショップでは、ジェラートと焼き菓子が楽しめるほか、2023年11月からはパリから届くショコラの販売もスタートした。
手島氏は26歳で渡仏。星付きレストランで修業を重ね、2014年「Restaurant Page」をオープン。2016年にはオープンから1年半という早さでミシュランガイドにて一つ星を獲得している。
「パリで修行を始めて20年、自分の店を出して10年という年に、日本でも何かしたいと思って。パリと姉妹都市である京都は歴史を重ねた街であり、パリとも雰囲気が似ているので、京都への出店を決めました」と、手島氏。
店頭に並ぶ菓子は、パリの技術をただ日本に持ち込んだものではなく、フランスに長く暮らす手島氏が、パリの仲間と作り上げた新しいエスプリを込めた、料理人発想のスイーツになっている。
特にジェラートは、パリをメインフィールドに活躍する料理人らしい素材の使い方や組み合わせを発揮。
ATELIER PAGES KYOTO
住所:京都市中京区御池通河原町東入南側下丸屋町412-3
営業時間:10:00~18:00
定休日:水曜
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堀川五条「菓子屋 のな」
夫婦二人で営む持ち帰り専門の小さな和菓子店「菓子屋 のな」。店内は、オープンキッチンのカウンターに菓子が並び、和菓子屋さんというより焼き菓子店のような素朴で可愛い雰囲気が漂っている。
ガラスケースに飾られた生菓子も、台湾パインあんを包んだ外郎やメロンとココナッツミルクあんを忍ばせたわらび餅など、斬新すぎるラインアップに。
従来の生菓子は、意匠や銘で季節を表現しているが、こちらの生菓子は、フルーツやハーブを使い、味や香りからも季節の移ろいを感じさせてくれる。
いちご大福が世の中に広まっているように、甘酸っぱいフルーツとたあんこは相性抜群。フルーツを使った生菓子がこれまであまりなかったのが不思議なほど!と思っていたら、
「上生菓子は、茶席で濃茶をいただく前に出されるものであり、あくまでも濃茶が主役。そのため制約がありますが、私が作る生菓子は、茶席用ではなく、日常に楽しんでもらうためのものなので、香りづけに洋酒を使ったり、コクを出すときに乳製品を加えたり、自由に作っています。紅茶やコーヒー、お酒にも合わせてください」と、名主川千恵さん。
菓子屋 のな
住所:京都市下京区篠屋町75
営業時間:12:00~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:日曜、月曜
TEL. なし
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烏丸丸太町の「YUGEN」
宇治茶は日本三大銘茶の一つと呼ばれ、京都市内でも、日本茶をさまざまなスタイルで楽しめる店に出会える。日本茶を製造・販売する茶舗は、長い歴史を持つ老舗が大半を占めるなか、「YUGEN」は2018年に誕生。昨年2月に店舗を移転拡大し、注目を集める日本茶ブランドだ。
「YUGEN」で製造・販売されている茶葉は、宇治や宇治田原、和束、京田辺など、京都近郊の産地に限定されている。仲買い問屋を挟まず、生産者から直接仕入れることで、高品質な茶葉を低コストで提供。煎茶は、単一農園で収穫されたシングルオリジンも人気が高い。
店舗展開としては、「おいしい日本茶をコーヒーのように気軽に楽しめる場所があれば」との思いから2018年、わずか2.5坪の日本茶スタンドからスタートした。ここ数年で、日本茶を提供するカフェやカジュアルな茶処も増えたことから「YUGEN」は次のステージに進み、2022年2月に、築50年弱のビル1棟に移転オープンした。
新店舗の1階は、カウンターのみのカフェに。「茶の湯の文化は戦国時代に広がりました。茶室には刀を持って入ることが許されず、戦国武将にとって、茶室は唯一心が安らげる場所だったとも言われています。多忙を極めるストレスフルな今の時代にも、そんな場所や時間が必要だと思うんです」と、代表・須藤惟行さん。
YUGEN(ゆうげん)
住所:京都市中京区亀屋町146
営業時間:11:00~18:00
定休日:不定休
TEL. 075-708-7770
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祇園「ハーモニカ」
「タルトがおいしい店が祇園にできてるよ」と、友人に教えてもらい、「ハーモニカ」を初めて訪れたのが数ヶ月前。電柱には”この先行き止まり”の注意書きが貼られ、地元の人も入ったことないような路地を進む。”焼き菓子とデザート”と書かれた立て看板はあるものの、紋入りの暖簾がかけられた入口で靴を脱ぐというスタイルに、一瞬たじろいでしまうが、恐る恐る店に入ると、そこには色とりどりのサンダルが並んでいた。
元々こちらは老舗の履物匠「祇園 ない藤」の工房だった場所。昨年5月、「祇園 ない藤」のオリジナルサンダルJOJOのショップを含む複合空間「Gion Naito 123 market」に生まれ変わり、焼き菓子とデザートの店「ハーモニカ」はJOJOショップの奥で営業されている。
メニューには、季節のフルーツを使ったタルトが6種類ほど並ぶほか、趣向を凝らしたパーツを美しく盛りつけたアシェットデセールも10種類近くラインアップ。
店主・松本泰さんは、元フランス料理のシェフであり、菓子も素材ありきな料理人視点から作られている。
ハーモニカ
住所:京都市東山区亀井町43-2 Gion Naito 123 market内
営業時間:11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日:火曜
TEL. 050-3551-8625
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祇園「ZEN CAFE」
和菓子屋さんと一言に言っても、菓子司もあれば、饅頭屋さんや餅屋さんもあり。菓子司のなかには上生菓子の予約販売をメインにしている店もまだまだ多く、持ち帰り専門店が主流に。そのため「イートインで上生菓子を食べたい」と、リクエストを受けると、祇園の「鍵善良房」が手掛ける「ZEN CAFE」をお勧めすることが多い。
「鍵善良房」は、江戸享保年間創業、京都の花街・祇園で京菓子を作り続ける菓子司。最近は京都以外でも商品を買える和菓子店が増えてきたが、「鍵善良房」は京都のデパートにすら出店されていない、昔ながらの真摯な仕事と一対一の商いにこだわる店だ。
2012年にオープンした「ZEN CAFE」は、本店とはまったく違う菓子のラインナップになっていて、上生菓子もここでしか食べられないものに。上生菓子は季節がわりだが、きんとんが出されることが多く、初めてこちらのきんとんに出会った時、その繊細で儚げな姿に驚いた。通常、きんとんのそぼろあんは、馬毛の裏ごし器を使って作られるが、こちらの裏ごし器は、馬毛の目が細かく、そぼろあんも糸のような細さだ。このそぼろあんを崩さず、あん玉に纏わせる職人技もすばらしく、持ち帰り不可だからこそ出せる上生菓子になっている。見た目もさることながら、口に含むとふわっと崩れる、柔らかな食感もたまらない。
また、通年で出されているくずもちもファンが多いメニューに。本店でいただける名物のくずきりと、砂糖を使う以外は、吉野葛と水というまったく同じ材料なのに、食感が全然違っている。つるんとのどごしを楽しむくずきりと違い、こちらのくずもちは、ぷるんとしていて、口に含むとむっちり、とろけていく。葛の風味もしっかり感じ、そのままでもおいしい。
ZEN CAFE
住所:京都市東山区祇園町南側570-210
営業時間:11:00~18:00(L.O.17:30)
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)
TEL. 075-533-8686
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河原町五条「ともみジェラーto」
2022年3月に河原町通沿いの路面店に移転オープンしたジェラテリア「ともみジェラーto」。ジェラートって、どこで食べても結構おいしいけど、突出した店って意外に少ないと思っていたなか、ここまでキャラがしっかり立ったジェラートとの出会いは衝撃的でした。
その日のフレーバーは、ミルクや旬のフルーツに加え、クレソン、ルッコラ、葉山椒など、青果店と見間違うラインアップに。
オーナー・森兼ともみさんは「ジェラートは素材の味をダイレクトに感じるスイーツであり、日本においしい食材がたくさんあることをジェラートを通してもっと広めたい」と、イタリアのジェラテリアでの修行を経て、6年前に京都で自身の店をオープン。
森兼さん自ら生産者に会いに行き、おいしい食材をハントすることも多く、ジェラートは”素材ありき”で作られる。そのため、唯一の定番となる岐阜latte TAKANASHIミルク以外は、その時期に入荷する食材に合わせてフレーバーがどんどん移り変わるのも特徴的だ。
香料や着色料、安定剤は不使用で、どのフレーバーも素材の味が濃厚。ジェラートが4つも入った本日のパフェも、余ったるさや重たさがなく、ペロリといけるおいしさだ。
ともみジェラーto
住所:京都市下京区西橋詰町759 SAKIZO河原町五条ビル1F
営業時間:13:00~20:00(19:30LO)、土曜13:00~22:00(2Fカフェは19:30LO)、水曜はモーニング営業7:30~11:30(L.O.)
定休日:木曜(7月8月は無休)
TEL. なし
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西陣「うめぞの茶房」
京都通のなかには「”うめぞの”って昔からある甘味処でしょ」と気づかれた方もいるのでは。はい、ご名答。こちらは、1927年創業の「甘党茶屋 梅園」の系列店として2016年にオープンした茶房だ。とはいえ、名物の四角いみたらし団子はなく、「甘党茶屋 梅園」とはまったく異なるメニュー展開になっている。
夏期限定で登場するかき氷も、宇治や黒蜜など、甘味処でお馴染みの味はなく、フルーツと和素材を組み合わせたオリジナリティ溢れるものに。果物の旬に合わせて内容は移り変わり、今の時期は、一番人気の「新しょうがと桃の志るこ氷」が楽しめる(桃がなくなる8月下旬まで)。
「新しょうがと桃の志るこ氷」の後は、「秋の果物とはちみつ志るこ氷」、「栗キャラメルミルク氷」と続くそうで、そちらもお楽しみ。
「うめぞの茶房」
住所:京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
営業時間:11:00~18:30(18:00LO)
定休日:無休
TEL. 075-432-5088
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烏丸「大極殿本舗 六角店」
「大極殿本舗 六角店」は、明治18年に『山城屋』という屋号で創業。明治28年には二代目が長崎でカステラ製造の技術を習得し、京都でいち早くカステラ製造を開始した和菓子店だ。
二代目に続き、三代目もハイカラ好きだったそうで、夏にぴったりな涼やかな「レースかん」も昭和初期に誕生したものだそう。まだレモンが珍しかった時代、レモンを錦玉羹に取り入れるなんて発想が大胆。レモンの輪切りをレース模様に見立て名付けられた銘も素敵すぎる。
店内には甘味処 栖園が併設されていて、夏に登場するかき氷も毎年、お楽しみ。定番の宇治や黒蜜のほか、レモンみぞれやミルクミント、梅酒みぞれなど、こちらもハイカラなラインアップに。赤紫蘇みぞれは、初夏、京都の里山・大原で採れた赤紫蘇をシロップに。天然のルビー色も美しく、さっぱりした味わいで暑い時期にぴったりだ。
2002年、甘味処を作る際に考案されたという「琥珀流し」もおすすめ。糸寒天を使い、固まるか固まらないかのギリギリの水分量で作られた寒天は、柔らかく、ほろりと崩れる食感がたまらない。8月はひやしあめ、9月はぶどう、10月は栗、と、月ごとに味わいが変わり、いつか制覇したい。
大極殿本舗 六角店
住所:京都市中京区六角通高倉東入ル
営業時間:9:30~18:00(甘味処 栖園は10:00~17:00)
定休日:水曜
TEL. 075-221-3311
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北野天満宮前「粟餅所 澤屋」
創業100年越えの老舗店が多い京都ですが、「粟餅所 澤屋」の歴史もかなり長く、創業はなんと天和2年(1628年)。現当主・森藤哲良さんは13代目にあたり、銘菓・粟餅も390年以上前から作られているという。
祖先は楠正行公の臣下で、正行公の死後、その首塚守護のために京都・嵯峨野に移り住み、その地で農業を営むことに。そして、その子孫が自作の粟をついて餅を作り、北野天満宮の境内で販売したところ、北野名物として知られるようになり、1638年に刊行された俳書「毛吹草」にも”山城名物北野粟餅”として紹介されている。
粟餅所 澤屋
住所:京都市上京区紙屋川町838-7
営業時間:9:00~17:00
定休日:水曜、木曜、26日
TEL. 075-461-4517
西院「まるに抱き柏」
人口あたりの和菓子店の数が日本一多い京都。昔は、茶席で最上のもてなしとして出される”上生菓子”と、大福や団子、餅菓子、おまん(饅頭)といった”日常のおやつ”を作る店は明確に分かれていたのが、最近では、ジャンルレス化が進行中。今回紹介する「まるに抱き柏」も上生菓子と日常のおやつが仲良く並んでいる。
代表銘菓は「黒豆大福」。餅米の粉に砂糖や水飴を加えて練り上げた求肥で包む大福もあるが、こちらでは、毎朝、餅米を蒸し、きめ細かい食感になるまでついた餅を使用。餅はかたくなるのが早く、賞味期限が当日中の朝生菓子になっている。「求肥よりも日持ちはしませんが、つきたての餅は、コシがあるのにもっちり柔らかく、食感が格別です」と、西森さん。
甘みをおさえた餅生地は、餅米の風味がしっかり感じられ、雑味のないなめらかなこしあんともよく合い、ペロリといけるあっさり感。餅に練り込んだ密漬けの黒豆もホックリおいしいアクセントを添えている。
まるに抱き柏
住所:京都市右京区西院平町21
営業時間:9:00~18:00
定休日:火曜、他不定休あり
TEL. 075-748-9650
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今出川「大黒屋鎌餅本舗」
店名にもなっている鎌餅を初めていただいた時、まずは手触りに驚いた。それはまるで赤ちゃんのほっぺみたいに、ふわふわすべすべだった。
餅菓子と一口に言っても、餅米を蒸してついたものもあれば、餅粉を蒸して砂糖を加え、じっくり練り上げた求肥もあり。「鎌餅」には後者の求肥が使用されているため、キメが細かく、なめらかな口当たりが楽しめる。
稲を刈り取る鎌の刃の形を模していて、豊作祈願のほか、福を刈り入れるという願いも込められているそうで、縁起も良し。餅菓子は日持ちしないことが多いが、求肥を使った「鎌餅」は賞味期限3日と少し長めに。3日目でもかたくならず、すべすべもち肌をキープしていて、京土産にもオススメだ。
大黒屋鎌餅本舗
住所:京都市上京区寺町通今出川上ル四丁目阿弥陀寺前町25
営業時間:8:30~18:30
定休日:水曜、第2・第4木曜
TEL. 075-231-1495
堀川丸太町「京都 くりや」
栗の産地として知られる丹波にあった「くりや」の暖簾分けとして大正年間に創業。店名通り、店内には栗最中や栗どらやき、栗クッキーなどが並び、まさに栗づくし!中でもオススメしたいのが、秋限定の「栗おはぎ」だ。
「栗おはぎ」は元々、秋の収穫を祝い、丹波の家庭で作られていた菓子だそうで、店でも昔は1年に1日のみ販売されていたそう。
餅米の周りは小豆のあんこではなく、栗餡を使用。丹波産の新栗を皮ごと蒸し、実をかき出し、なめらかになるまで裏ごしし、砂糖を加えて炊き上げた手間暇かかった餡に。栗の風味がダイレクトに味わえ、もっちりとした餅米ともよく合い、食べ応えも満点だ。
毎秋、販売が開始するのを心待ちにしているファンも多く、週末には開店前から列ができ、午前中に売り切れてしまうことも多いそう。
京都 くりや
住所:京都市中京区丸太町通堀川東入大文字町42-4
営業時間:9:00~18:00(日曜・祝日10:00~15:00)
定休日:月曜(祝日の場合、翌日休)
TEL. 075-231-4564
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烏丸御池「亀末廣」
文化元年(1804年)創業、7代続く和菓子店。二条城や御所に菓子を納めていた由緒正しい老舗であり、間口の広い堂々とした店構えからも風格が漂っている。今の時代、店を訪れずして商品を手に入れられることが増えたが、こちらはいまだ支店を持たず、ネット販売も行わず、一対一の商いが大切にされている。
代表銘菓「京のよすが」をはじめ、端正な佇まいの菓子を求め、一年を通して茶人や粋人に支持される店だが、9月も後半になると「もうそろそろ栗は始まっていますか」という問い合わせが増え、一層にぎわいをみせる。
こちらの栗きんとんは、こしあんを餡玉に栗と備中白小豆を使った柔らかなそぼろ餡が纏わせてあり、なめらかな口当たりに。しっかり甘いが、その甘さが栗を引き立て、ほのかな苦みなど、和栗本来の味が存分に楽しめる。
亀末廣
住所:京都府京都市中京区 姉小路通烏丸東入車屋町
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜、祝日
TEL. 075-221-5110
烏丸御池「パティスリー レモワノー」
築160年の京町家を改装したパティスリー。店主の勝本真理さんは、京都のみならず全国のスイーツ好きを魅了し、2018年に幕を下ろした後も語り継がれるフランス菓子店「オ・グルニエ・ドール」で10年研鑚を績み、2019年に独立。
「ご近所さんがおやつを買いにきてくれる店になりたい」と、酒やハーブ、スパイスなどは効かせず、シュークリームやイチゴショートなど、素直なおいしさのケーキが並ぶ。
モンブランは、毎年秋に登場するのを楽しみにしているファンが多いケーキ。熊本の決まった農家の利平栗のみを使用するため、年によっては店頭に並ぶのが遅い時もあり。
モンブランにメレンゲを使う店が多いが、こちらではふんわり軽いシュクセを土台にし、クリームとの一体感もアップ。オ・グルニエ・ドールの西原シェフから学んだフランス菓子の基本となるパーツ作りを大切に、生地やクリームもていねいな仕事がされていて、シンプルながら繊細かつ上品さが漂っている。
Patisserie Les Moineaux
パティスリー レモワノー
住所:京都市中京区押小路通衣棚西入上妙覚寺町208-5
営業時間:12:00~18:00(売り切れ次第閉店する場合もあり)
定休日:月曜、火曜(祝日は臨時営業する場合もあり)
TEL. 075-746-6092
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バー・立ち飲み
一乗寺「coimo wine & cafe」
2022年夏、一乗寺にオープンした「coimo wine & cafe」。京都通でないと、一乗寺と言っても、ピンと来ないエリアかもしれませんが、こだわりを持つ店主が営むショップや飲食店が点在していて、地元人に人気のエリアです。
「coimo wine & cafe」はナチュラルワインを昼から気軽に飲める店ながら、それだけではなく、店主・高橋順子さんの引き出しが多彩!
元パティシエの経験を生かしたパフェやケーキ、アイスクリームなど、スイーツメニューもあり、ワインバーのような堅苦しさはなく、ワインを飲む人も飲まない人も楽しめる店になっている。
しかも、パティシエ時代はタイのベジタリアンカフェで10年働いていたこともあり、フードメニューには、和やフレンチに加え、タイテイストをミックスした料理も並び、食欲をそそられっぱなし。
さらに店を開く前には、ヴィーガンベーカリー「アペリラ」でパン職人としての経験を積み、自家製天然酵母パンを使ったタルティーヌも絶品だ。
coimo wine & cafe
住所:京都市左京区一乗寺払殿町38-3 パールハイツ1F
営業時間:15:00~22:00LO(水曜18:00~)
定休日:火曜、他不定休あり
TEL. なし
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御所西「酒場 井倉木材」
「酒場なのに木材?」という謎めいた店名。その正体は、昼は木材屋、夜は酒場という前代未聞な二毛作店。夕方5時になると、材木置き場に、ビールケースを積み上げた簡易テーブルが置かれ、立ち飲みスペースに早変わりする。
当初は、家業の材木店を継ぐつもりはなかったという井倉康博さん。元々、食べ歩くのが大好きで、いずれは自分の店を開きたいと思っていたなか、12年前、その夢を叶えるために、会社勤めを辞め、居酒屋で働き始めたところに、御父様が急逝。急に会社をたたむわけにもいかず、平日は材木店を切り盛りし、週末は居酒屋修行を行い、1年を過ぎた頃、「自分の代で店をやめるのは申し訳ない。でもやっぱり飲食店をやりたい」という思いで、一念発起。材木店の事務所を店舗に改装し、今のスタイルでの営業が始まった。
「季節のちょっといいもんを食べたいという声も多くて」と、初冬にはコッペガニをさばいて甲羅に盛り付けた割烹さながらの「特大コッペ蟹」も登場する。
店内カウンターは店主や隣客とも距離が近く、一人客も居心地抜群。真夏や真冬は特にカウンターから埋まりすく、口開けの17時が狙い目。
酒場 井倉木材
住所:京都市上京区薮之内町77-1
営業時間:17:00~22:00(21:00LO)
定休日:日曜、祝日
TEL. なし
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韓国料理・中華料理
河原町「ははは」
京都で韓国料理店を6店舗展開する「ピニョ食堂」。店ごとに違ったスタイルで韓国の食文化を発信し、「ははは」は、現地の”呑める食堂”を再現。「韓国では昼呑み文化が定着していて、食堂でも昼からビールやチャミスルを楽しんでいる光景をよく目にします」と、オーナーの全敞一さん。メニューには定食もあれば、お酒の供になるパンチャン(惣菜)やアンジュ(肴)がそろっている。
定食の中で今の時期にオススメなのが、夏限定のコングッス。キーンと冷えた冷麦をすりつぶした大豆といりこだしを合わせたスープでいただく韓国の夏の定番。こっくりとろとろのスープは大豆のそのもの。濃厚ながらあっさりしていて、食欲のない時にもスルスルいけるおいしさだ。
「ははは」
住所:京都市恵美須之町516-1
営業時間:11:30~21:30(21:00L.O.)
定休日:木曜、第3水曜
TEL. 075-204-2202
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祇園「廣東料理 平安」
ニンニクや香辛料が控えめのあっさり薄味の京都中華。京都で生まれ育った私は、正統な広東料理だと思って食べていたものが、実は京都だけのスタイルだったと大人になってから気づき、驚いた。
京都中華の先駆けと言われる「第一樓」や「鳳舞」はどちらも今はもうないが、現在もお弟子さんたちが活躍していて、今回紹介する「廣東料理 平安」も「第一樓」出身の元木登さんが営む店だ。
祇園という場所柄、芸舞妓さんがお座敷に上がる前も安心して食べられるよう、創業時からにんにくは不使用。鶏ガラを10時間炊いた出汁に、かつおを加えたまろやかなスープをベースに、日本酒や濃口醬油、穀物酢といった和食のような調味料で仕上げていく。そのため、あっさり親しみしやすい優しい味わいで、それをはんなり京都っぽいと称する人も。
メニューには、京都中華を代表するメニュー「からしそば」もあり。こちらは、からしで和えた中華麺の上に具だくさんのあんかけがのった麺料理で、「第一樓」の料理人だった高華吉さんが考案。「第一樓」や「鳳舞」の系譜を継ぐ店で出されていることが多い。
「廣東料理 平安」では、酢で練った洋辛子を使い、辛さを選べるのが特徴。
辛さの段階を中学生(辛さ控えめ)、高校生(標準)、大学生(辛め)と表現するのも平安流。「辛さは?」と聞かれた時、「社会人」と答える激辛好きもいるそう。
からしそばが運ばれてきたら、まずは具材と麺を豪快にかき混ぜて。麺をすすると、鼻がつんっとなる辛さを感じ、それがクセになり、箸が進む。鶏スープをベースにした餡もしみじみとした味わいで、辛子との相性も抜群。ごろりと大ぶりにカットされた鶏肉や海老やタケノコ、木クラゲなど、たっぷりの具材も食べ応えがあり、シャキシャキのレタスもいいアクセントになっている。最後は酢を加えてさっぱり味変するのもオススメだ。
廣東料理 平安
住所:京都市東山区縄手通富永町131たから船ビル1F
営業時間:12:00~14:00、17:00~22:00
定休日:水曜、木曜
TEL. 075-531-2287
四条河原町「広東料理 芙蓉園」
「広東料理 芙蓉園」の初代は、今はすでに閉店しまった京都中華の先駆け「第一樓」や「鳳舞」を開いた高華吉さんの日本で初めてのお弟子さん。現在は、二代目・加地数男さんが父の味を引き継いでいる。
京都中華は、ニンニクや香辛料を使わないあっさり薄味を特徴とするが、こちらでは、ニンニクのみならず、ショウガも一切使っていないという。京都中華の流れを組みつつ、独自の工夫やアレンジを加えたメニューも多く、人気の鶏肉入り卵焼き、鳳凰蛋(ホウオウタン)も初代が考案したものだ。
広東料理から独自の進化を遂げた京都中華は鶏ガラスープを味のベースにした料理が多く、ホウオウタンも鶏ガラスープをたっぷり使い、卵も半熟とろとろに。しかもこちらでは、鶏ガラスープを毎日、追いたして作っているそうで、スープの味が濃い。醬油と砂糖が入ったちょっと甘めの味付けで、私は長らくこれがこの店のオリジナルと気づかず、京都中華の定番だと思っていたぐらい親しみやすい味わい。チャーハンと一緒に食べるのもお気に入りだ。
広東料理 芙蓉園
住所:京都市下京区市之町240
営業時間:昼は二部制12:00~、13:10~、17:30~20:00(L.O.)
定休日:火曜、水曜
TEL. 075-351-2249
紫野「中華のサカイ本店」
「中華のサカイ本店」と言えば、冷麺。逆もしかり、京都で冷麺と言えば、「中華のサカイ本店」と答える人も多い。ちなみに冷麺とは全国的に言う冷やし中華のことである。
大徳寺の東側に位置し、決してアクセスがいい場所ではないが、サカイの冷麺を食べるために、わざわざ訪れてしまうほど、シンプルにして唯一無二のおいしさだ。
自家製マヨネーズや酢、からし、鶏ガラスープを使ったソースはクリーミーかつコクもあり、爽やかな酸味とほのかな辛みもふわり。親しみやすい味ながら、再現不可能な味わいで、湯がいた後に氷水でしめたキンキンに冷えた太麺にたっぷりからませていただけば、箸が止まらない。
「うちは麺とタレがメインやしね」と、具材はあえて焼き豚(またはハム)、キュウリ、刻み海苔と、シンプルに。自家製の焼き豚もあっさりしていて、主張しすぎず、脇役に徹している。
冷麺は昭和28年から出しているメニューで、最初は他店と同じく、夏限定だったとか。ところが、サカイの冷麺で育った人たちが、正月に実家に帰った時に食べたいという声や、年末に帰省する際に田舎に持って帰りたいという声が多く、30年前から一年中出すようになったそう。
中華のサカイ本店
住所:京都市北区紫野上門前町92
営業時間:11:00~16:00(15:50L.O.)、17:00~21:00(20:30L.O.)
定休日:月曜(祝日の場合営業、翌火曜休)
TEL. 075-492-5004
小さな焼き菓子店
御所南「Un Son Doux pâtisserie(アンソンドゥパティスリー)」
「Un Son Doux pâtisserie(アンソンドゥパティスリー)」は今年6月オープンながら、その存在はオープン前から気になっていた。
オープンの数ヶ月前、ワイン&コーヒースタンド「SUMI」に取材に行った際、店主が「店舗を持たず間借り営業しているすごいおいしい焼き菓子店があって、うちにも近々置いてもらうことになったんです」と、「Un Son Doux pâtisserie」の名前を教えてくれたのだ。
開店してすぐに訪れ、まずはカヌレやミルリトン、マドレーヌなど、定番のフランス伝統菓子をいただいたのだが、そのどれも、香りや味、食感をしっかり感じる、輪郭がキリリッとした印象だった。
オーナーシェフ・清水孝志さんは、「オーボンビュータン」で5年研鑽を積んだ後、「現地の菓子作りに触れたい」とフランス・サヴォワのパティスリーで1年働いたそうで、そのキャリアを聞けば、納得のクオリティーだ。
「Un Son Doux pâtisserie(アンソンドゥパティスリー)」
住所:京都府京都市中京区麩屋町二条上ル布袋屋町495-1
営業時間:8:00~18:00
定休日:日曜日
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河原町丸太町「Un petit peu??(アンプティプ??)」
大好きな菓子店はいっぱいあるが、今月は、2022年以降にオープンした今、注目の焼き菓子店をピックアップ。わざわざ足を運んでほしい3軒です。
2023年11月、河原町通と鴨川に挟まれた小道沿いにオープンした小さな焼き菓子店「Un petit peu??(アンプティプ??)」。
店主・溝川沙智子さんは、「ローズベーカリー銀座」や「ザ・リッツ・カールトン京都」で経験を積み、独立。カウンターに並ぶ焼き菓子は、フランス菓子もあれば、イギリス伝統菓子やアメリカンベイクもあり、パティシエ歴20年の集大成。
定番の焼き菓子では、「有機人参のキャロットケーキ」と「瀬戸内レモンケーキ」の人気が高く、「有機人参のキャロットケーキ」は、粗めにカットした有機ニンジンの食感も小気味よく、スパイシーな生地とクリームチーズを使ったクリームの相性も抜群だ。
「瀬戸内レモンケーキ」は生地にまでレモン果汁やレモンの皮が使ってあり、さわやかな味わい。ふっくら生地にシャリッとしたアイシングもいいアクセントになっている。
そのほか、具材を練り込んだマフィンやスコーン、季節のフレッシュフルーツを飾ったタルト、スモアやラズベリーブリュレパイといったパイ菓子も日替わりで登場。
「Un petit peu??(アンプティプ??)」
住所:京都市上京区駒之町552-1
営業時間:11:00~17:30(売り切れ次第終了)
定休日:不定休
TEL. 070-8330-5556
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二条城「サイベイクス」
大好きな菓子店はいっぱいあるが、今月は、2022年以降にオープンした今、注目の焼き菓子店をピックアップ。わざわざ足を運んでほしい3軒です。
「Saibakes(サイベイクス)」が店を構えるのは、二条城に近い住宅街の路地奥。店前に店名が書かれた小さな額が立て掛けてあるものの、古民家風情をそのまま残す外観は、”店”というより”家”そのものだ。さらに営業は金、土の2日間のみと、隠れ家感も満載だ。
引き戸を開け、玄関で靴を脱いで中に入ると、カウンターの上には、ベイクドチーズケーキやタルト、にんじんケーキなど、焼き菓子が並んでいる。
「菓子は好きなんですが、精製されたものを食べると、身体の調子が悪くなることがあって。そこから材料について調べるようになり、自分の好きな材料で菓子を作るようになりました」と、店主・谷百合香さん。
菓子に使う材料は、国産きび砂糖や種子島の洗双糖、スペルト小麦など、精製されていない砂糖や小麦をはじめ、身体に優しいものをセレクト。
「Saibakes(サイベイクス)」
住所:京都市中京区姉西町42-3
営業時間:金・土11:00~17:00
定休日:日曜〜木曜
TEL. なし
公式サイトはこちら