季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第24回は、春を呼ぶ菜の花のレシピを、おでかけしたくなる斬新な缶ワインとのペアリングでお届け!

BY YUKIKO HIRANO

画像: 話題の缶ワインと菜の花で春のお出かけレシピ。平野さんの愛猫、クミン君がゲスト出演!

話題の缶ワインと菜の花で春のお出かけレシピ。平野さんの愛猫、クミン君がゲスト出演!

 まだまだ寒さは厳しいけれど、少しずつ春の足音が近づいている。今回は春のお弁当やランチにふさわしい菜の花のレシピ。そして、そこに合わせるのは、なんと缶に入ったナチュラルワイン! アーティスティックなラベルが目を引くこちらの高品質な缶ワインが、最近話題を集めているという。菜の花のレシピも缶入りのナチュラルワインを合わせることで、いつも以上に軽やかに、春らしさをいっそう強く感じられそうだ。「アルコール飲料のために開発された缶なので、ガラスボトルのワインと味の違いがないそうです。Djuce (ディージュース)というスウェーデンのブランドなのですが、中身はヨーロッパの自然派ワイン。今回選んだのは私も普段からよく飲んでいるつくり手、マインクラングのもの。缶ワインのレベルがここまできたのかと驚く味ですよ」(平野さん)

レシピ1:菜の花のスペイン風オムレツ

 オリーブオイルで炒めた菜の花と甘い新玉ねぎをたっぷり入れた春のオムレツ。小さめのフライパンでつくり、分厚く仕上げるのがおいしさの秘訣。

画像: グリューナー・ヴェルトリーナーのオレンジワインは菜の花のほろ苦さに寄り添う味。ナチュラルなワインは野菜との相性が抜群だ

グリューナー・ヴェルトリーナーのオレンジワインは菜の花のほろ苦さに寄り添う味。ナチュラルなワインは野菜との相性が抜群だ

<材料 3〜4人分>
菜の花150g、新玉ねぎ1/2個、卵6個、オリーブオイル大さじ2〜3、塩・こしょう各適宜

<作り方>
菜の花は花の部分と軸を切り分け、3センチ長さに切る。玉ねぎは薄切りにする。
卵は溶きほぐして塩小さじ1/2、こしょう少々を加えておく。
フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、玉ねぎを加えてしんなりしたら、菜の花の軸、蕾の部分を順に入れて、塩少々をふって炒める。色鮮やかになったら、に加え混ぜる。
フライパンに残りのオリーブオイルを加えて熱し、を加えて中強火にし、大きくかき混ぜて、半熟状に火を通す。ふたをして弱火で5分焼く。
表面が固まったら、皿に滑らせるようにしてのせる。フライパンをかぶせてひっくり返す。さらに3〜4分、ふたをせずに弱火で焼く。

画像: フライパンで焼き上げて丸ごと盛りつけてから切り分けるのも楽しい

フライパンで焼き上げて丸ごと盛りつけてから切り分けるのも楽しい

画像: 冷水に浸けて水分をたっぷり吸わせてから料理するのが肝心

冷水に浸けて水分をたっぷり吸わせてから料理するのが肝心

レシピ2:菜の花ごはんのおにぎり

鮮やかな緑色が目にもうれしい、春の息吹を感じるおにぎり。菜の花のほろ苦さが後をひく。

画像: おにぎりはサイズを色々にすると、お腹の空き具合に合わせて気軽につまめる

おにぎりはサイズを色々にすると、お腹の空き具合に合わせて気軽につまめる

<材料 2人分>
ごはん茶碗3杯分、菜の花100g、塩適宜

<作り方>
 菜の花は花の部分と軸を切り分け、塩を加えた湯で、軸、花の部分の順に入れてゆでる。冷水にとって1センチ幅に切り、水気をしっかり絞り、塩少々をふる。
 温かいご飯に1を混ぜ、おにぎりを握る。

【今月のお酒セレクト:Djuce Meinklang Kontext 2021(ディージュース マインクラング・コンテクスト 2021)】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 スウェーデンで2021年に誕生したDjuce(ディージュース)は、ヨーロッパ各地の上質な⾃然派ワインを地球環境に優しいアルミ⽸で提供するワインブランド。ガラスボトルを循環性の高いアルミ缶に変えることで、CO2排出量を大幅に削減できるという研究結果が出ているそう。「Djuceの缶のデザインは様々な現代アーティストによるもの。人々の缶に対する固定概念をアートの力で変えていくという取り組みだそうです。手軽に持ち運べるし、ワインの飲み方も変わりそう。今年の春は缶ワインを持って外へ出かけてみたいですね」(平野さん)

問い合わせ先/メイベルインターナショナル株式会社  TEL.050-5240-5412

ずっと身近に置きたい一冊──平野由希子さんの新著が発売!

 平野さんが、これまでの書籍では伝えきれなかった料理の原点をまとめた新著『ma cuisine おいしさの引き出し方』が好評発売中。「春夏秋冬野菜のことを思い続けている」「肉料理はつくれば作るほど、上手くなる」といった心に響く言葉とともに、野菜料理、肉料理、揚げ物、魚料理など約70品がずらり。家庭のキッチンでとびきりおいしく作るコツ、さらに調理のしやすさも追求した極上のレシピは、時代の流行に左右されない一生もの。まるで食材とお料理へのラブレターのような、ずっと身近に置いておきたい一冊だ。

画像: 「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる 撮影/ローラン麻奈

「家でつくるからこそ、おいしいラタトゥイユをつくろう」と思い立って平野さんが追求してきた一品。美しい写真の数々にも五感が研ぎ澄まされる

撮影/ローラン麻奈

画像: 驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に! 撮影/ローラン麻奈

驚くほどジューシーに焼き上げるコツとともに紹介される「鶏もも肉のポワレ」。見ているだけでも幸せな気分に!

撮影/ローラン麻奈

画像: 『ma cuisine おいしさの引き出し方』 著者:平野由希子 判型:B5変形判・240ページ 価格:¥4,180 発行:誠文堂新光社

『ma cuisine おいしさの引き出し方』

著者:平野由希子
判型:B5変形判・240ページ
価格:¥4,180
発行:誠文堂新光社

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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