RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

サクサクほろほろのリッチなクッキー。冷蔵(凍)庫で生地を寝かせることから、別名「アイスボックスクッキー」とも呼ばれる
フランスではクッキー類全般を「サブレ」という。日本ではクッキー、ビスケットなどと呼ばれ、バターたっぷりのクッキーをサブレということが多い。名前の由来は諸説ある。「sablé」は「砂」という意味で、サクサクした食感が砂に似ているからだとか、サブレ侯爵夫人が主催したサロンのレシピが社交界で広まったからとか、生まれたところの地名がサブレだったなど、真偽は不明だ。
「レストランではミニャルディーズ(食後の小菓子)用にサブレをよく作ります。個人的には手土産にするためによく焼きます。薄力粉、バター、卵、砂糖ーーキッチンにいつもある材料で、思い立ったらすぐ作れるところがいいですね」。
まず、プレーンなサブレをマスターしよう。生地を棒状にまとめたら、冷蔵庫でひと晩冷やして休ませた後、周りにグラニュー糖をまぶして焼き上げる。こちらはフランス語でダイヤモンドの意味の「サブレ・ディアマン(diamant)」と呼ばれるもの。サブレにまぶしたグラニュー糖がキラキラ光り、ダイヤモンドのようだからと名付けられた。
「サブレ・ディアマン」でサブレの基本をしっかり押さえたら、次回はナッツやチョコレート、紅茶や煎茶などの茶葉、スパイスなどを加えたバリエーションに挑戦!
材料(約30個分)

薄力粉 150g
無塩バター 100g
グラニュー糖 40g
塩 1g
卵黄 10g
卵白 適量
■下準備
・薄力粉をふるう。
・バターは室温に戻す。
・卵は卵黄と卵白に分ける。
■作り方

1 バターをヘラで練ってやわらかくする。

2 塩と砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。

3 卵黄を溶いて加え、全体を混ぜ合わせる。

4 薄力粉を一気に加え、ヘラで全体を混ぜる。

5 手で生地を押しながらまとめていく。混ざったら手でひとまとめにする。全体に均一に混ざればよいので、ざっくりで良い。

6 ラップに包み、冷蔵庫で約1時間休ませる。

7 6の生地を冷蔵庫から取り出す。ラップをはずして軽くこね、クッキングシートを敷いた上で転がしながら直径約2.5cm、長さ約20cmの棒状に整形する。

8 下に敷いたクッキングシートを空気を抜きながらくるくる巻きつける。指先で筒状の先端を軽く押さえて、平らにする。さらにラップで包み、冷蔵庫で休ませる。

9 オーブンを150℃に予熱する。8の生地を冷蔵庫から取り出し、クッキングシートの上にのせる。残しておいた卵白を刷毛で全体に塗る。

10 グラニュー糖をクッキングシート上に広げる。生地を転がしながら、グラニュー糖を表面全体にまぶす。

11 生地を1cm厚さに切る。やわらかくなってしまったら、すぐに冷蔵庫に戻し、冷やし固める。

12 天板にのせる前に、指先で丸く形を整える。このひと手間で美しく仕上がる!

13 オーブンシートを敷いた天板に12を並べる。150℃のオーブンで30分焼く。
長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける
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