「ラデュレ」を皮切りに「オテル・ル・ムーリス」ほか、ミッシェル・トロワグロ率いる「オテル・ランカスター」と三つ星レストラン「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを歴任。世界のグランシェフたちの信頼を得てガストロノミー界の檜舞台に登場し、現在はパリを拠点に、世界各地で活躍中の長江桂子さん。その精確で明瞭なレシピにはプロの間でも定評あり。家庭で楽しむお菓子においては、誰もがつくりやすく、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深く食べ心地は軽やかなレシピを提案している。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめるアイデアも。これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのレシピを丁寧にお伝えします。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.19 ケークサレ

 ケークサレはさまざまな具材を入れて焼き上げた「塩味のケーキ」のこと。パンやパウンドケーキとはひと味違い、フランスでは家庭の味として親しまれ、お惣菜としてデリカテッセンなどでも売られている。
「家庭ではパウンド型で焼くことが多いようです。今回はワインのおつまみになるよう、細長いパウンド型で焼いて、ひと口大に切り分けました。小さなマフィン型で焼くのも洒落ているので、そちらもご紹介しましょう」と長江さん。

 フランスでは冷蔵庫の余りものを使うことも多く、具材はお好みのものをなんでも、とのこと。ご紹介するのは「スモークサーモン+ケッパー+ディル」。具材を見れば、ワインに合うのは一目瞭然。「家にある野菜にベーコンやハム、ツナ、チーズなど、味のアクセントになるものを合わせれば、組み合わせは自在です。梅干し+サバ缶+大葉のような和素材も合いますよ。水分のある野菜はローストすれば、味が凝縮されますし、生地がベタつきません。例えば、冷凍野菜ミックスは200℃のオーブンで30分ほど焼いてから使います」。

 ハム+ほうれん草+玉ねぎ、ベーコン+ズッキーニ+なす、チーズ+キノコ類などは定番。「オリーブだけ、チョリソーだけ、スモークサーモンだけのシンプルなものもいいですね。焼き上がったら、温かいうちにラップで包んでくださいね。しっとり仕上がります」。

 これからの気持ちのよい季節、ケークサレとシャンパーニュでアペリティフタイムを楽しんではいかがでしょう。

画像2: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

■材料(230mm x 48mm ×高さ60mm の パウンド型1台分)

<基本生地>
全卵(3個) 160g
塩 1g 
胡椒 少々
植物油 80g
牛乳 80g
粉チーズ 30g ※好みのチーズ(ここではパルメザンチーズ)
薄力粉 150g
ベーキングパウダー 6g

<具材>
スモークサーモン 80 g
ケッパー 40g
ディル 16g
トマト(皮ごと8mm角に切る) 120g

<下準備>
・パウンド型にベーキングシートを敷いておく。
・オーブンを170℃に予熱する。

■作り方

画像3: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

1 薄力粉、ベーキングパウダーは合わせてふるっておく。

画像4: パリのパティシエ
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2 卵、塩、胡椒をボウルに入れ、泡立て器で混ぜる。

画像5: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

3 牛乳を加えてよく混ぜ、粉チーズを加えて混ぜる。

画像6: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

4 ふるっておいた1の粉類を加え、ゴムベラに替えてさっくりと混ぜる。

画像7: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

5 植物油を加えてざっと混ぜる。植物油はオリーブオイル、太白ごま油、菜種油など上質な油がおすすめ。

画像8: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

6 スモークサーモンはひと口大に、ディルはみじんに、ミニトマトは1/2〜1/4に切る。すべての具材を加え、混ぜ過ぎないようにさっくりと底からすくうように混ぜる。

画像9: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.19 ケークサレ

7 6の生地をパウンド型に入れる。数回トントンと持ち上げては台に落とし、空気を抜く。写真は、2本分作ったので、スケールに乗せて量を測りながら入れているところ。

画像10: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.19 ケークサレ

8 170℃のオーブンで10分ほど焼き、表面が少し固まったら縦にナイフで切り込みを入れる。切り込みを入れるのは、中央にきれいに割れ目を入れ、均一に火を通すため。

画像11: パリのパティシエ
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Vol.19 ケークサレ

9 焼き時間はオーブンにより異なる。焼き色がついてもまだ中まで焼けていない場合は、ホイルを被せてきちんと火を入れる。きれいな焦げ目がついて中まで火が通ったら、オーブンから取り出し、台に2~3回トントンと落として型から取り出し、網の上に置く。

画像12: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.19 ケークサレ

10 9を5分ほどおき、まだ温かいうちにラップで包んで常温まで冷ます。

▪️型のバリエーション

画像: ▪️型のバリエーション

小さなマフィン型で焼き上げて、器に盛り、小さく切ったミニトマト、バジルを飾る。

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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