TEXT & PHOTOGRAPHS BY MARI KATSURA
種子取祭を五感で味わう朝ごはん
沖縄の離島に魅せられて、あちこち通ったことがある。なかでも1987年に重要伝統的建造物群保存地区となった、どこをとっても絵になる美しい集落、白砂のビーチ、蝶の舞う竹富島に惹かれた。心はいつも竹富島にあったが、今年久しぶりに再訪。島に大切に伝わってきた11月の種子取祭を間近に観ることができた。宿泊先の「星のや竹富島」には、この「たなどぅいプログラム」(註:2024年は11月1日~25日で実施された)のほか、島に根付いて開業12年だからこその、文化と自然をより知ることのできるプログラム「島時間養生」や「命草(ぬちぐさ)アフタヌーンティー」などもある。静かに水面を滑る木造船「サバニ」の体験もお勧めだそう。「たなどぅいプログラム」の五穀豊穣を願う種子取祭朝食は、ミシャクというお神酒から始まり、生姜の香る味噌汁まで五臓六腑に沁みわたった。
竹富島ならではのランチ
種子取祭でのランチはお弁当。一年でいちばん大きな祭、種子取祭は、人口300人強のこの小さな島の大きな文化遺産。島の人々が種を蒔き、子供たちの成長を見守り、「うつぐみ」=一致協力の精神が感じられる儀式で、アイデンティティーを再確認する。国の重要無形民俗文化財でもあり、奉納芸能に子供達が登場すると、たくさんのおひねりが投げ込まれる。島の未来を大切にする心にも触れ、胸が熱くなった。翌日のランチには、毎食食べても飽きないソーキそばを。八重山そばは細めの麺が特徴。
ディナーは沖縄ならではの味覚をコースで
集落を散歩したり、敷地内の島のハーブなどを育てる畑の話を聞いたり、機織り体験をしてお守りを作ったり。風の通る伝統を踏襲した赤瓦の心地よい部屋でのんびり過ごし、日が暮れると天の川が輝き、満天の星に感動した夜。夕食は島の食材や食文化をフレンチで味わう「島テロワール」。伝統料理のミヌダルに着想を得た、黒胡麻をまとった柔らかな豚肩ロース炭火焼に、コーレーグースを振って辛さをプラスしたあかね芋のモンブラン、さらにタンカンのタルトまで楽しく美味しいコース料理だ。ホテルオリジナルのハーブスピリット「KUNUSHINA」のカクテルも、生姜やエルダーフラワーを合わせていて爽やかだ。
星のや竹富島
沖縄県八重山郡竹富町竹富1955
TEL: 050-3134-8091(星のや総合予約)
公式サイトはこちら
桂まり
雑誌「SPUR」「eclat」などで、フード&トラベル、インタビュー記事を担当するライター。趣味は世界各国で料理教室に行くこと。温泉保養士。Instagramはこちら
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