巷でも人気の塩味のサブレを作ってみましょう。「ラデュレ」「オテル・ル・ムーリス」で腕を奮い、「オテル・ランカスター」「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを務め、現在は世界を舞台に活躍する長江桂子さん。第25回は、パルミジャーノ味をはじめ、家庭でできる絶品塩味サブレの作り方をナビゲート。ワインのおともによし、手土産にしても喜ばれます

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: パルメザンチーズを生地に練り込み、さらに上に振ってもいるので、焼いたチーズの香ばしさを存分に味わえる

パルメザンチーズを生地に練り込み、さらに上に振ってもいるので、焼いたチーズの香ばしさを存分に味わえる

 フランスでサブレと言えば、クッキー全般のこと。シンプルなサブレをvol.14で、カカオ風味のサブレをvol.23でご紹介したが、サブレは甘い味ばかりではない。砂糖をぎりぎりまで減らし、チーズやスパイスなどを加えた塩味のサブレは、ティータイムにはもちろん、お酒とも楽しめる。甘いものが苦手な方へのギフトにもぴったり。

「加えるもので塩分の調整をします。基本の生地を作る工程(プロセス1〜4)では塩を加えず、チーズやスパイスなどを加えるときに塩をプラスします。こうすれば、塩分量を調整できるでしょう?」

 基本の生地を作ったら、作りたいフレーバーの数に分けて、チーズやカレー、ごまなど味のバリエーションをつけられる。今回、長江さんに塩味5種類(パルメザン、青のり、七味唐辛子、ゆかり、カレー)のクッキー缶を作ってもらった。作り方は同じ。配合は下記にあるので、ぜひトライして。

「低温でじっくり焼き上げるレシピです。小麦粉をしっかり焼き切ると、メイラード反応が起き、香ばしさが生まれます。オーブンにもよりますが、まずは150℃で約20分焼いてください」

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

■材料
発酵バター 100g
グラニュー糖 20g
薄力粉 150g
卵黄 10g
塩 1g
パルメザンチーズ(すりおろし) 50g

■下準備
・薄力粉はふるう。
・バターは室温に戻す。

■作り方

※1〜3は、Vol.14「サブレ・ディアマン」編を参照

1 バターをヘラで練ってやわらかくする。

2 塩と砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。ここでは練らない。

3 卵黄を溶いて加え、全体を混ぜ合わせる。

4 薄力粉を一気に加え、ヘラで全体を混ぜる。

画像2: パリのパティシエ
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5 パルメザンチーズを加える。

画像3: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

6 手で生地を押しながらまとめていく。均一に混ざればよいので、ざっくりでよい。

画像4: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

7 混ざったら、手で2cmほどの厚さにまとめる。四角くまとめておくと今後の作業がスムーズ。ラップに包み、冷蔵庫で約1時間休ませる。

画像5: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

8 7の生地を冷蔵庫から取り出し、ベーキングシートの上にのせ、生地の上にさらにベーキングシートをのせ、麺棒で伸ばす(厚さやサイズはお好みで)。

画像6: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

9 あれば7㎜の厚さの角棒を生地の両側に置き、写真のように伸ばしていけば、均一な厚さに仕上がる。角材については、Vol.23「サブレ・カカオ」編を参照。上下のベーキングシートに挟んだままラップをし、30分〜1時間、冷蔵庫で休ませる。

画像7: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

10 オーブンを150℃に予熱する。生地を冷蔵庫から出し、挟んであったベーキングシートの上で好みの大きさになるように定規で測り、包丁で跡をつけておく(写真は定規の幅の大きさ、2.5×2.5cmに。簡単でおすすめ)。

画像8: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

11 包丁の跡に沿って、切り分ける。

画像9: パリのパティシエ
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Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

12 切り分けた生地の周囲を手で整えると仕上がりがきれいに。このひと手間で美しくなる。

画像10: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

13 切り分けた生地を天板に敷いたベーキングシートの上に間を空けてのせる。パルメザンチーズ(すりおろし・分量外)をそれぞれのせる。

画像11: パリのパティシエ
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14 150℃のオーブンで20分焼く。

■切れ端の上手な処理法

画像12: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.25 サブレ・ パルミジャーノ

切れ端はパズルのようにそのまま合わせ、麺棒で少しだけ伸ばす。丸めたり重ねたりしてから麺棒で伸ばすとグルテンが出てしまうので、この方法がおすすめ。

■塩味のサブレでクッキー缶を作ってもらいました。

画像: ■塩味のサブレでクッキー缶を作ってもらいました。

塩味系をまとめたクッキー缶。長江さんは百円均一ショップなどでシンプルな缶や箱を見つけてはキープしておくのだとか。「日本の百円均一ショップは、お菓子のパッケージのバリエーションが豊富。帰国したら買い込んでフランスへ持って帰ります」。

【青のり、七味、ゆかり、カレー味の材料】

■ 青のり
発酵バター 100g
グラニュー糖 20g
薄力粉 150g
卵黄 10g
塩 1g
青のり 8g

■七味
発酵バター 100g
グラニュー糖 20g
薄力粉 150g
卵黄 10g
塩 1g
七味唐辛子 5g
黒胡麻 4g

■ゆかり
発酵バター 100g
グラニュー糖 20g
薄力粉 150g
卵黄 10g
ゆかり 12g

■カレー味
発酵バター 100g
グラニュー糖 20g
薄力粉 150g
卵黄 10g
塩 3g
ターメリック 2g
カレーパウダー 3g
クミンシード 1g

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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