RECEPI BY TOMOKO NAGAO, PHOTOGRAPHS BY TAKAKO HIROSE, TEXT BY MIKA KITAMURA

野菜を刻むだけ。ビタミンたっぷりの食べるサラダ
スペイン生まれの冷製スープ、「ガスパチョ」。フードプロセッサーでなめらかなピュレ状に仕立てることが多いが、角切りにした野菜を食べるタイプもある。今回、ご紹介するのは角切り野菜のガスパチョだ。
「サラダのように食べてほしいので、野菜を粗く刻む作業がこのスープづくりの肝です。スープといっても、野菜を刻めば出来上がります」と長尾さん。きゅうりとセロリ、なすは、縦に切り分けて太いマッチ状にしてから端から切れば、うまく角切りにできる。「トマトの水分がスープになりますから、トマトを刻んでいるときに出てくる水分は捨てずに大事にとっておきましょう。また、トマトの皮は湯むきすると、ぐんと舌触りがソフトになります。このひと手間を惜しまないでくださいね」。
アクセントになるのが、オリーブオイルで炒めたなす。油を多めに入れてこんがりするまで炒め、塩加減はしっかり強めに。このなすをのせれば、味にメリハリがつき、グッと味が締まる。
「夏のガスパチョには、クミンシードでエキゾチックな風味を、パプリカパウダーでトマトのコクを際立たせます。好みで赤唐辛子粉を少し振ってもいいでしょう」。スパイス使いの名手・長尾さんらしい控えめな使い方で、上品で粋な味わいに。
刻んだ野菜類を冷蔵庫で冷やしておけば、朝昼晩、どんなシチュエーションでも楽しめる。野菜たっぷりの食べるスープ。夏の疲労回復にもおすすめだ。
<材料4人分>
トマト 大4個/皮を湯むきし、7〜8mmの角切りにする
玉ねぎ 小1個/皮をむき、3〜4mmの角切りにする
きゅうり 1本/5〜6mmの長方体に切る
セロリ 細め1本/筋を取り、3〜4mmの角切りにする
なす 大2本/ヘタを取り、1cm角に切る
パプリカパウダー 小さじ1/2
クミンシード 小さじ1
にんにく 小1/2片
白ワインビネガー 大さじ1
オリーブオイル 大さじ2+小さじ1
塩 少々
レモン 1個

鍋にたっぷりお湯を沸かし、トマトを入れる。4〜5秒経ったら引き上げて、手早く皮をむく。2等分して芯を取り、角切りにする。切る際に出るトマトの水分もボウルに入れる。

トマトをボウルに入れて塩を軽く振り、オリーブオイルを小さじ1、パプリカパウダーも加えて混ぜ合わせ、冷蔵庫で冷やしておく。

きゅうりは筋状に皮をむき、5〜6mm角に切る。長さを半分に切り、5〜6mm厚さの拍子木に切ってから角切りにするとよい。

きゅうり、セロリ、玉ねぎをボウルに合わせていれ、軽く塩を振り、オリーブオイルを小さじ1、白ワインビネガーを加えて混ぜる。冷蔵庫で冷やしておく。

フライパンにオリーブオイル大さじ2を入れて中火にかけ、なすを炒める。塩を振り、全体がしんなりするまで炒める。焼き色がついたら、にんにくとクミンシードを加え、さらに香ばしく炒め合わせる。

器にトマトを盛り、きゅうりと玉ねぎ、セロリをたっぷりのせる。さらになすをのせ、オリーブオイル適量(分量外)をかける。くし形に切り分けたレモンを添え、各自、絞っていただく。
ピンチョスを添えてワインと楽しむ

ガスパチョはシチュエーションを問わず、いつでも楽しめるが、こんなスペイン風タパス(小皿料理)があれば、ワインのお供にもなる。
2色のオリーブと小さなモッツァレッラ、3〜4等分に切ったアンチョビを串に刺すだけで立派なピンチョスの出来上がり。これにパンを添えて、冷やした白ワインで乾杯!夏の休日のアペリティフにどうぞ。

長尾智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。
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