オドレイ・トトゥは、初めての聖餐式の贈り物としてカメラをもらった。本人いわく、子供のころのトトゥは霊長類学者のダイアン・フォッシーに影響を受け、ジャングルで野生動物の写真を撮る自分の姿を夢想していたという。「私にとってあのカメラは、冒険への憧れ以上のものを意味していた」と彼女は言う。「写真家になりたいと思っていたけれど、その原因は写真家の誰かではなかったというわけね」




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AUDREY TAUTOU, COURTESY OF THE ARTIST


映画『アメリ』により一躍スターになって以来15年間、

フランス出身のオドレイ・トトゥは女優としての

活動のかたわら、写真家としての活動を続けてきた。

すべてひとりで撮影し、みずからモデルを務めた

写真の数々は、「パブリック・イメージ」や

「作られたペルソナ」の本質に焦点を当てたものだ。

これらの写真は、7月3日から開催中のフランス・

アルル国際写真フェスティバルで公開された

『Audrey Tautou: Superfacial』展に先駆けて、

トトゥの写真作品初のお披露目となった



 トトゥはのちに名声を得る運命にあったが、それは写真とは別の分野でのことだった。2001年、『アメリ』で一躍、世界的有名人となったが、彼女としてはまったく想定外の出来事だった。「自分のおかれた状況を見つめるために、また写真を撮ることにしたの」とトトゥ。彼女は、映画のプロモーションのために各地を巡りながら、インタビューを受けたあとにそのジャーナリストを撮りはじめた。「私にはどうしてもそうする必要があった。たぶん、いきなり超有名人になって、いろんなことが身の回りに起きたから。嵐のような騒がしさから、少し距離を置くための私なりの方法だったの」



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AUDREY TAUTOU, COURTESY OF THE ARTIST

 

トトゥは写真集を集めている。

マーティン・パー、ブラッサイ、ナン・ゴールディン、

アンドレ・ケルテス、フランチェスカ・ウッドマンらから

影響を受けたという。

「ある写真がなぜ私を感動させるのかわからない。

でも、それこそが私が探し求めていることよ」と彼女は言う

「完璧な美しさより、そこからちょっとした物語が

生まれたり、想像させてくれるような作品が好き」



 この7月、毎年恒例のアルル国際写真フェスティバル(9月24日まで開催中)でトトゥの写真作品が初めて展示されることとなった。きちんと分類され、注釈のついたジャーナリストたちのポートレートのほか、大きく分けて3つの作品シリーズが公開されている。そのどれもがセルフ・ポートレート形式だ。うちひとつは、彼女のパブリック・イメージを作り上げたジャーナリストの写真に比べると撮影装置もフィルムサイズも小さな作品群で、トトゥが自分自身の反映として撮ったスナップショットだ。「私はいつもカメラと一緒に行動してるの」




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AUDREY TAUTOU, COURTESY OF THE ARTIST


こうした写真は芝居がかって見えるかもしれないが、

「手の込んだセルフ・ポートレートだからといって、

演技をしているわけではまったくない」とトトゥは言う。

「私は女優だから、本来の私より先に女優としての

イメージがつねにあると思う。私は女優であり、

同時に表現でもある。だから多くの人は私が監督として

物語を演じていると思うでしょうけど、

これは“キャラクター”ではないのよ」