今回のリストは、アートにおける“ものの縮尺”の多様さをテーマにした企画展。朝鮮半島の豊かな生態系を守るアートプロジェクトにまつわる展覧会。そして、新鋭の切り絵作家・福井利佐の「能」をテーマにした個展

BY MASANOBU MATSUMOTO

『福井利佐 切り絵展 絢爛「能」』|駿府博物館

 切り絵作家・福井利佐がつくる作品は、誰もが思い描く、古典的で紋切り型の“切り絵”のイメージを心地よく裏切る。人物や動物を肉筆のような繊細な線と構図で描き、切り目を入れた紙という静止的な素材を使いながらも、その絵は躍動的で、グラフィックとしての瑞々しい鮮度がある。ファッションブランドとのコラボレーション、CDジャケットや書籍の装幀など、芸術性に加えて“今っぽさ”や“新しさ”を求められるコマーシャルワークに彼女の作品が選ばれるのも、合点がいく。

 静岡県・駿府博物館で開催されている『福井利佐 切り絵展 絢爛「能」』展は、彼女の多彩なアートワークの中から、能をモチーフにした作品に焦点を当てたものだ。じつは、能こそ、福井の作品世界に大きく影響を与えたものでもある。

画像: 《羽衣》

《羽衣》

画像: (左から)《船弁慶》、《土蜘蛛》

(左から)《船弁慶》、《土蜘蛛》

 福井が切り絵作品を精力的に制作しはじめたのは美大生時代のときだが、その当時、彼女が魅せられたもうひとつのものが「能」だったという。「人間の情や怒り、喜び、あるいは人間の域を超えた異形の生き物の表情を表現した面(おもて)に惹かれて。また、驚くほど何も置かれていない能舞台が、見る側の想像力を駆り立てる。最小限のアイテムですべてを物語るその奥深さにも圧倒されました」と振り返る。

 その後、宝生流の家元、宝生和英(かずふさ)が主宰する能演会「和の会」から声をかけられ、2008年から10年間、福井はそのメインビジュアルの制作を担当することになった。こうした制作経験から、約1000年前から現代に受け継がれる能の普遍的な美しさや、作品としての強度を改めて実感したという。

 開催地の静岡県は福井の出身地でもある。本展には、こうした「和の会」とのコラボレーションによる10点に加え、「徳川家康公顕彰四百年祭」のために制作したものなど、福井が静岡という地に寄せた切り絵作品も並ぶ。

画像: 《駿河国と家康公》 静岡市所蔵 PHOTOGRAPHS: © RISA FUKUI

《駿河国と家康公》 静岡市所蔵
PHOTOGRAPHS: © RISA FUKUI

『福井利佐 切り絵展 絢爛「能」』
会期:〜7月7日(日)※会期中展示替えあり
会場:駿府博物館
住所:静岡県静岡市駿河区登呂3-1-1 静岡 新聞放送会館別館 2階
開館時間:10:00〜17:30
(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は開館し、翌日休館)
入館料:高校生以上 ¥800、中学生以下無料
電話:054(284)3216
公式サイト

 

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