「特別な日常服」をコンセプトに、ファッションから器、インテリアなど多様なプロダクトを展開するミナ ペルホネン。そのものづくりをつまびらかにする展覧会が、東京都現代美術館で開催中だ

BY MASANOBU MATSUMOTO

 ミナ ペルホネンのデザイナー、皆川 明の仕事は、図案を手で描くことから始まる。空を自由に舞う蝶、水面を揺らすさざ波、くちばしを寄せ合う小鳥——。なかには皆川が見た雪の日の帰り道の景色、また社会現象から着想を得たという図案もある。皆川が描いているのは、日々の生活や旅先での発見や想起に基づいたもの。暮らしと地つづきになった風景だ。

画像: 「芽」の展示室では、皆川と、同じくミナ ペルホネンのデザイナー田中景子が制作した生地のためのデザイン画を展示。生地になったときの風合いを想定し、えんぴつ、マーカー、水彩、マスキングテープ、切り絵などさまざまな手法で描かれている PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO

「芽」の展示室では、皆川と、同じくミナ ペルホネンのデザイナー田中景子が制作した生地のためのデザイン画を展示。生地になったときの風合いを想定し、えんぴつ、マーカー、水彩、マスキングテープ、切り絵などさまざまな手法で描かれている
PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO

 来年、ミナ ペルホネンはブランド誕生25周年を迎える。東京都現代美術館で始まった『ミナ ペルホネン/皆川明 つづく』展は、皆川らの図案制作にはじまり、工場の職人たちと協業しながらプロダクトを生み出してきた、ミナ ペルホネンのものづくりの軌跡と展望をつまびらかにするものだ。

 展覧会は、「実」「森」「風」「芽」「種」「土」など、自然や植物にまつわる名がつけられた8つの展示室で構成。ミナ ペルホネンのスタッフの何気ない言葉から決まったというそれらの名称は、展示物の内容をうまく隠喩していて面白い。「実」の部屋でフォーカスされるのは、ドットを繋いだ円形の刺繍モチーフ「タンバリン」。2000-’01年秋冬シーズンに初めてコレクションに登場して以降、洋服からバッグなどの小物、文具、インテリアまでさまざまなものに展開されてきた、ブランドのアイコンのひとつだ。「森」の展示室では、これまでに制作した洋服約400着が木々のように並び、また始まりを思わせる「芽」では、テキスタイルのための原画を見せる。

画像: 「タンバリン」にフォーカスした「実」の部屋。プロダクトを紹介するとともに“これまでに「タンバリン」シリーズの生地が、延べ何メートル生産されてきたか”など、数字で解剖する試みも。こうした数値が算出できるのはミナ ペルホネンが、長年にわたって特定の工場と丁寧に関わってきた証だ PHOTOGRAPH BY FUMINARI YOSHITUGU

「タンバリン」にフォーカスした「実」の部屋。プロダクトを紹介するとともに“これまでに「タンバリン」シリーズの生地が、延べ何メートル生産されてきたか”など、数字で解剖する試みも。こうした数値が算出できるのはミナ ペルホネンが、長年にわたって特定の工場と丁寧に関わってきた証だ
PHOTOGRAPH BY FUMINARI YOSHITUGU

画像: 約400点の衣服を、まさに森のように配した「森」の展示室。流行にとらわれない服づくりというミナ ペルホネンの理念に基づき、制作されたシーズンを区別せず、展示されている。真ん中に立つのはデザイナーの皆川明。展示構成は建築家の田根剛、グラフィックデザインは葛西薫が担当。こうした過去の展覧会に関わってきたクリエイターとも“つづく”を共有しながら、本展は構成されていると皆川は話す PHOTOGRAPH BY FUMINARI YOSHITUGU

約400点の衣服を、まさに森のように配した「森」の展示室。流行にとらわれない服づくりというミナ ペルホネンの理念に基づき、制作されたシーズンを区別せず、展示されている。真ん中に立つのはデザイナーの皆川明。展示構成は建築家の田根剛、グラフィックデザインは葛西薫が担当。こうした過去の展覧会に関わってきたクリエイターとも“つづく”を共有しながら、本展は構成されていると皆川は話す
PHOTOGRAPH BY FUMINARI YOSHITUGU

 皆川は、「今回タイトルに掲げた“つづく”というシンプルな三文字には、多くの意味があることに気づかされた」と話し、多様な“つづく”の意味合いを、ミナ ペルホネンが大切にしてきたいくつかの理念になぞらえた。ひとつは、先述のように彼らの図案やアイデアが、工場の職人や作家の手によって、プロダクトという形になっていくこと。また、「タンバリン」のようにひとつのものを作り続けていくということ。これには、長く作り続けることで工場側の生産現場が安定するという側面もある。そして、「ひとつのアイデアが次のアイデアに繋がり、深まっていくーーそのような“つづく”もある」

 

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