日本では知るひとぞ知る風景画の第一人者、吉田博の木版画を一堂に集めた展覧会から、北大路魯山人の器と素朴派の企画展、また注目の新人画家、シュ・ニン(許寧)の初個展まで。開催中の3つのアート展の見どころを紹介する

BY MASANOBU MATSUMOTO

『器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか』|世田谷美術館

 世田谷美術館で開催されている『器と絵筆』は、同美術館の主要コレクションである北大路魯山人の器と、19世紀末から20世紀のパリに登場したアンリ・ルソーといった「素朴派」の画家たちの作品を同時に楽しめる展覧会だ。

 明治末から昭和にかけて、陶芸、書、絵画、また食を追求した北大路魯山人。同館が収蔵する器は、そのパトロンであった塩田岩治の寄贈品であり、塩田とその妻が日常の生活で愛用していたもの。会場には、茶碗や水差しや小皿、なかには金継ぎ(割れや欠けなど破損部分を、金で装飾する修復方法)された鉢なども並び、魯山人と塩田の交流、塩田夫婦の器への愛情にもフォーカスを当てる。

画像: (写真左)北大路魯山人《椿文鉢》 1940年頃 陶器 世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏 (写真右)アンリ・ルソー《フリュマンス・ビッシュの肖像》 1893年頃 カンヴァス、油彩 世田谷美術館蔵

(写真左)北大路魯山人《椿文鉢》 1940年頃 陶器 世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
(写真右)アンリ・ルソー《フリュマンス・ビッシュの肖像》 1893年頃 カンヴァス、油彩 世田谷美術館蔵

 素朴派の作品もこうした日々の営みの延長にあるものだ。この素朴派とは、独学で絵を勉強し、それゆえ絵画の理論にとらわれず独自に創作活動を展開した画家たちの総称。近年、再注目を集めているアウトサイダーアートの先駆けとも言える。

 展示作家は、ピカソがその才能を発見したことで有名なアンリ・ルソーや、アンドレ・ボーシャン、ルイ・ヴィヴァンなど。作品とともに、彼らのバックグラウンドや、いかにして発見されたかといったエピソードが解説に加えられ、日々手探りで創作に向き合った作家たちの人生や不思議な巡り合わせをうかがい知れるのも楽しい。

画像: ルイ・ヴィヴァン《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》 1925年 カンヴァス、油彩 世田谷美術館蔵 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF SETAGAYA ART MUSEUM

ルイ・ヴィヴァン《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》 1925年 カンヴァス、油彩 世田谷美術館蔵
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF SETAGAYA ART MUSEUM

 ちなみに、展覧会タイトルに「ルソー、ボーシャンほか」とあるが、この「ほか」にあたる作家も面白い。旧ユーゴスラビアやハイチ、そして日本の久永強など、時代、国を超え、知られざる素朴画家たちを取り上げる。久永は60歳から創作活動をはじめた作家。本展では若き日のシベリア抑留体験を元にした絵画を大きく紹介しており、ひとつの見どころだ。

世田谷美術館コレクション選『器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか』
会期:~2月28日(日)
会場:世田谷美術館 1階展示室
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)
料金:一般¥500、大学・高校生¥400、中・小学生¥300、中学生以下無料
電話:03-3415-6011
公式サイト

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