東京・上野の国立西洋美術館のリニューアルオープン記念展、歴史的建造物を会場にした音楽家ブライアン・イーノの空間インスタレーション展、鈴木理策の写真展。今週絶対に見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『国立西洋美術館 リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』|国立西洋美術館

画像: ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》 1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館 © MUSEUM FOLKWANG, ESSEN

ゴッホ《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》
1889年 油彩・カンヴァス フォルクヴァング美術館
© MUSEUM FOLKWANG, ESSEN

 本展は去る4月、1年半の休館を経て再開館した国立西洋美術館のリニューアルオープン記念展。ドイツ・フォルクヴァング美術館とコラボレーションし、印象派、ポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの作品を通して、芸術家たちはどのように自然と対話し、どのようなヴィジョンを描いてきたか――自然と人の対話(ダイアローグ)から生まれた近代の芸術の展開をたどる。出展作家はゴッホ、マネ、モネ、セザンヌ、ゴーガンなど。よく知られた画家たちの作品も「自然との対話」という視点で眺め直すことで、新たな発見が得られるに違いない。

 見どころのひとつは、今回ドイツから初来日となるゴッホの《刈り入れ(刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑)》。炎天下の麦畑で農夫が黙々と麦を刈る姿を描いたその風景画に、ゴッホは「自然という偉大な書物が語る死のイメージ」を見たという。自然の中で繰り返される循環的な営みとその一部である人間の生死を暗示する風景。それが光り輝く太陽のもと、金色に輝くように描かれているのも感慨深い。是非とも会場で実物を観賞したい1枚だ。

『国立西洋美術館 リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』
会期:6月4日(土)~9月11日(日)
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金・土曜は20:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで。
休館日:月曜、7月19日(火)※ただし、7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館
料金:一般 ¥2,000、大学生 ¥1,200、高校生 ¥800
※チケットは日時指定制。詳細はこちらから
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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『ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト』|京都中央信用金庫 旧厚生センター

画像: ブライアン・イーノ《77 Million Paintings》写真は過去の展覧会での風景 COURTESY OF BRIAN ENO AMBIENT KYOTO

ブライアン・イーノ《77 Million Paintings》写真は過去の展覧会での風景
COURTESY OF BRIAN ENO AMBIENT KYOTO

 ブライアン・イーノは、英国出身の音楽家だ。バンド「ロキシー・ミュージック」を脱退後は「アンビエント・ミュージック(環境音楽)」のジャンルを開拓し、デヴィッド・ボウイらとのコラボレーション、U2やトーキング・ヘッズ、コールドプレイのアルバムのプロデュース、またアクティビストとして環境問題をはじめとする社会活動にも携わってきた。こうした活動と同時にイーノが展開してきたのが、ビジュアル・アートの作品だ。

 本展は、彼のビジュアル・アーティストとしての顔をフィーチャーする。とりわけアルゴリズムにより光や音を同期的に自動生成してみせる「ジェネレーティブ・アート」を展開してきたイーノ。その代表作である空間インスタレーション《77ミリオン・ペインティングス》のほか、多数のスピーカーを使ったオーディオ・インスタレーション《The Ship》、また本展で世界初公開される新作も並ぶ。会場は、京都中央信用金庫 旧厚生センター。古都に残る築約90年のモダン建築とイーノのコンテンポラリーなインスタレーション作品の共鳴もひとつの見どころだ。

『ブライアン・イーノ・アンビエント・キョウト』
会期:6月3日(金)〜8月21日(日)
会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
住所:京都府京都市下京区中居町七条通烏丸西入113
開廊時間:11:00〜21:00 ※入場は閉館時間の30分前まで
休廊日:会期中無休
入場料:[平日]一般 ¥2,000、 大学・専門学校生 ¥1,500、高校・中学生 ¥1,000 、 [土・日曜、祝日]一般 ¥2,200、 大学・専門学校生 ¥1,700、高校・中学生 ¥1,200 
小学生以下 無料
メール:info@ambientkyoto.com
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鈴木理策 『冬と春』|タカ・イシイギャラリー

画像: 鈴木理策《SAKURA 21, 4-597, 4-598》 2021年、Chromogenicprint、1190× 952 mm (each) © RISAKU SUZUKI / COURTESY OF TAKA ISHII GALLERY

鈴木理策《SAKURA 21, 4-597, 4-598》
2021年、Chromogenicprint、1190× 952 mm (each)
© RISAKU SUZUKI / COURTESY OF TAKA ISHII GALLERY

 鈴木理策は「見る」という経験を問う装置として写真を捉え、その特性と視覚の問題に関心を寄せてきた。東京から、自身の故郷であり日本の聖地のひとつである熊野までの旅を撮った写真集『KUMANO』では、撮影したカットをロードムービー的に順序立てて編みあげ、「意識の流れ」を表現してみせた。20年ちかく継続して撮り続けている「SAKURA」シリーズは、満開の桜を構図を決め込んで撮影するのではなく、自らが感じた光や風、周囲の音に反応するようにシャッターを押しているという。

 本展は、鈴木がこれまで継続的に撮影してきた「SAKURA」や「White」「Water Mirror」といった作品群をあらたな構成のもとに展示する。並列された写真の間にどのような時間や空間体験を生み出しうるかがコンセプトのひとつのようだ。春の桜と冬の雪山。写真と写真の間に生じる時間や季節の移ろいが、見る者を介しながら響きあう。それは、鑑賞者にとって「現実とは何か」「物事を見ている自分とは何なのか」を問う根源的な行為であり、作家が追求してきた本質的な写真体験であるだろう。

鈴木理策『冬と春』
会期:6月4日(土)〜7月2日(土)
会場:タカ・イシイギャラリー
住所:東京都港区六本木6-5-24 complex665 3F
開廊時間:12:00〜18:00
休廊日:月・日曜、祝日
料金:無料
電話:03(6434)7010
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※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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