BY TERUNO TAIRA
1967年、パリの小さなエステティックサロンから始まった「CLARINS(クラランス)」。サロンに来る女性たちの声に耳を傾け、植物の力を利用したナチュラルな化粧品をホームユースのために作ったのがブランド誕生のきっかけだ。植物美容学のパイオニアとして常に植物に、そして地球に敬意を払ってきたクラランス。地球温暖化や生態系の破壊、海洋汚染などさまざまな問題を抱える現状に対し、クラランスが取り組んでいる活動について会長であるクリスチャン・クルタン・クラランスに話を聞いた。
「1985年に娘が生まれた頃、ちょうど生物多様性という言葉が聞かれるようになったんです。過去に私たちは杉が絶滅しそうだからと、杉ばかりを植えていました。しかし、それは大きな間違いで、一つの種だけを守るという行いは生態系のバランスを壊してしまうことに気づいたのです。そんな失敗を踏まえ、多様性を認め、生態系を守ろうという動きが出てきたのがこの頃でした。娘が生まれたことで、異常繁殖したクラゲだらけの海やプラスチックにあふれた海で、将来、娘が海水浴を楽しめるのか、釣った魚を安心して食べさせてあげられるのか、そんなことを身につまされて考えるようになったのです。
環境を守ることは、未来を守ること。未来を守ることは子供たちを守ることにつながるのです。残念ながら科学の進歩は遅く、いまださまざまなことは道半ばにあります。しかし、私は、科学はきっといいソリューションを見つけられると信じています。困難なことが多いからこそ、人はクリエイティブになれるのですから。クラランスがこうしたことに取り組むのは、私たちの製品のためでもあります。いい製品をつくるためにはいい原料が必要です。私たちは植物を原料にしているので、質の高い原料を調達するためにも、環境の保全はクラランスの使命なのです」。
現在4人の孫がいるというクリスチャン。『星の王子さま』の作者サン・テグジュペリの言葉を引いて「地球は祖先から引き継いだものであり、子供たちから借りているもの。私には4人の小さな孫がいるので、どんな地球を残せるのか、常に自分ごととしてこの問題を考えているのです」と語った。
クラランスは100件を超えるCSRを行うなかで、本国だけでなく世界各地の環境保全にも努めている。日本では九州の熊本と福岡の一部の地域にのみ生息する「スイゼンジノリ」の保護計画をサポートすることに。「日本の植物を保護するのはこれが初めてです。世界各地から挙がってきた絶滅の危機に瀕している植物のリポートを読み、熊本のスイゼンジノリを保護することを決めました」。クラランスは東海大学・椛田教授の監修のもと、スイゼンジノリの生育環境保全につながる活動や財政の支援を長期にわたって応援することを表明している。
スイゼンジノリには類まれな保水力をもつサクランという成分が含まれることがわかり、この成分をクラランスの『ホワイト‐プラス ブライトニング パウダーファンデーション』に配合することに。環境の保全と、生産者への利益の還元。そしてクララランス側も希少な美容成分を得ることができ、それは最終的に製品を購入するユーザーのメリットにもなるという理想的な“エコシステム”となっている。「この希少な成分の供給を持続するためにもこのサポートプログラムはとても大事なものだと思っています。」
また、ホワイト‐プラス ブライトニング パウダーファンデーションを1点購入するにあたり、阿蘇に1本植樹というキャンペーンも行っている。「クラランスの製品を購入することで、お客様に自然保護に投資していただく。自然を守ることは子供の未来を守ることと同意義。一人でも多くの方に関心を持ってもらえるといいですね」。
年々、厳しさを増す自然災害の脅威。美しくあるために私たちは化粧品を選ぶ。さまざまな製品を選択するなかで持続可能な植物の保護や地球環境の保全につながるか、という視点をもつことを意識してみたい。
問い合わせ先
クラランス お客様窓口
TEL. 03(3470)8545
公式サイト