『ポケモンGO』配信スタート後、もっとも想定外だったこととは

BY SATOKO HATAKEYAMA, PHOTOGRAPHS BY SATOKO IMAZU

画像: 株式会社ポケモン CEO 石原恒和 さすが、名刺にはピカチュウのイラスト入り

株式会社ポケモン CEO 石原恒和
さすが、名刺にはピカチュウのイラスト入り

 2016年の7月以降、とあるスマホゲームにどっぷりとハマっている。朝起きたらすぐにアプリを起動し、自宅周辺に3つあるポケストップをスワイプしてゲームで使う道具をゲット。自宅を出る際にはスマホをマナーモードにしてからアプリを起動し、ブルッと振動したら通行人の邪魔にならないよう道の脇に寄り、スマホの画面を確認する。すると道路脇の公園の中に、まだゲットしていないポケモンがチャーミングな後ろ姿で佇んでいるではないか。指でボールを投げて捕まえ心の中で「やったー!」と快哉を叫ぶと、周りにも同じようにスマホの画面を見ながら指を動かしている人たちが何人かいる。

 そう、自分も含めた多くの人が夢中になっているのは『ポケモンGO』。世界150以上の国と地域、累計6億万回以上もダウンロードされた「モンスター」アプリは、東京の片隅での一風景がそうであるように、世界中の街角の様相を一変させたといっても過言ではない。現実世界を歩きながら仮想のモンスターを捕まえる=位置情報とAR(拡張現実)技術という最新のテクノロジーを用いたゲームでありながら、操作はいたってシンプル。マップ上に出現したポケモンにボールを当てて捕まえるだけという簡単さも相まって、トレーナー(『ポケモンGO』のプレイヤーはこう呼ばれる)の年齢層は実に幅広い。見渡せば、ウォーキングがてらプレイしている年配の方々もけっこう見受けられる。

「『ポケモンGO』が配信されて以来、想定外のことはたくさん起きました。なかでも50代以上の方が初めてプレイするゲームが『ポケモンGO』だったということはとても驚くべきことでした。分析してみると、入り口が易しいのと、今持っているスマホに適していたゲームだったということ。それに自分の子どもたちが小さい頃にゲームボーイソフト『ポケットモンスター 赤・緑』やポケモンのアニメに夢中になっていた記憶が掘り起こされて、話題になっているのでダウンロードしてみたら『私にも遊べる』と反応してくれたのが大きかった。そうやってプレイしていただいている上の世代の方々はゲームからの離脱率が低いのも特徴で、ずっと長く遊んでいらっしゃいますね」

 ポケモンの愛らしいグッズが並ぶオフィスでそう答えてくれたのは、株式会社ポケモンを率いる石原恒和。昨年20周年を迎えたゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」の開発に携わり、『赤・緑』以降の全作品のほか、アニメやトレーディングカードゲーム、グッズなどのメディア展開までを総合的にプロデュース。ポケモンの育ての親といわれる人物だ。そんな石原が、全世界に爆発的に広がった背景と、幅広い年齢層にまで『ポケモンGO』が支持された理由を「ポケモノミクス」という言葉を使って解説してくれた。

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