6作目となる『The Beguiled(原題)』を発表したばかりのソフィアの創造性に迫る

BY AKEMI NAKAMURA

 ソフィアの作品といえば、ファッション、音楽も含めた全体の空気感で作っていく独特の雰囲気こそが魅力のひとつでもある。

「ビジュアルや、音楽、そして、ファッションをいかにして合わせていくのかを考えるのが、私としてはいちばん楽しい部分だから」

それがソフィアらしいスタイルを作り上げている。父親の撮影でホテルを転々としていた10代の頃の彼女や、恵まれた暮らしをしていても、自分を見つけられないままでいた彼女などが、たとえば『ロスト・イン・トランスレーション』や、『SOMEWHERE』(2010年)など彼女自身の作品に投影されていたように思う。

ドナ・サマーの曲からイメージをつなぎ合わせていったという、カルティエのためのショートムービー
COURTESY OF CARTIER

「私がクリエイトする女性像に常に自分自身が投影されているとは限らないわ。でも、どんな女性でもさまざまな面をもっているでしょ。だから、それぞれのプロジェクトにおいて、自分の女性としての違った面を見つめてみるのも好きなの。たとえば、ショートムービーを手がけるときは自分とは違うことが多いわね。先日撮影したカルティエとのムービーでは、私自身とは違う、でも、私がなってみたいと思うような憧れの女性をファンタジーの世界で描いてみたの。私は常に、私の中ではどんな女性が魅力的に思えるかしら、ということが、大事なクリエイティビティの源になるの。カルティエのパンテールでのコラボレーションでは、セクシーで、自信があって、恋愛もしていて、友達もいて、すごく人生を楽しんでいるような女性を描きたかった。彼女がLAに来て、完璧に楽しい一日を過ごすというテーマで撮影したかったの。私が映画の中で描く女性はもう少しデリケートで、フェミニンで内省的な女性が多いんだけど、ここでは、もっとグラマーで洗練された女性なのよね。物おじするところがなくて、自分が欲しいものは手に入れられるような女性なの。私自身とはかけ離れているけど、そういう女性になれたらいいなと思うわ(笑)。それで、私はいつもそうなんだけど、音楽が最初にインスピレーションになるの。今回の場合はドナ・サマーの曲を頭に描いたわ。そこからすべてをつなぎ合わせていくの。次に『アメリカン・ジゴロ』(1980年)のローレン・ハットンのような女性をイメージしたの。それが出発地点だった。ショートムービーの場合は、映画のように必ずしも会話がなくてもいいわけだから、美しいイメージと、音楽をつなぎ合わせて、フィーリングや雰囲気で作品を作っていける。そういうものが私はもともと好きだから」

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