一般的な窓のないオートメーションの飼育方法とは真逆の方法で、餌や環境に徹底的にこだわり、鶏卵をつくり続ける大松農場。安全・安心で実に風味豊かな卵には、大松秀雄の”農”への真摯な思いがこめられている

BY YUMIKO TAKAYAMA

「大松農場」の鶏は、国産鶏の卵から孵化したばかりのひよこから育てる。そうすることで環境に順応しやすくなり、丈夫な鶏になるのだという。地元旭市の清らかな地下水と、ミネラルを含んだ潮風は、健康な鶏を育てるのに最適なのだそうだ。自家配合している飼料の原材料は国産の魚粉、餌米、とうもろこし(遺伝子組み換えでないもの)、牡蠣ガラ、大豆かす、牧草、炭酸カルシウム、麹と酵母、自然の塩とミネラルなど20種類以上。その仕入先は、実際に足を運んだ信頼のできる生産者のもので、化学物質不使用、すべて自然由来だ。太陽の光が降り注ぐ広々した平飼い鶏舎と、自然光と風の入る開放ケージ鶏舎で、鶏たちはすこやかに大切に育まれる。殺虫剤も殺菌剤も抗生物質も使わないこの農場には四季折々の花々が咲き、みつばちや蝶々、小鳥たちもやってくる。

画像: 大松農場では孵化して一日めのひよこから、風通しのよいひよこ専門の鶏舎で、徹底した管理のもと、大切に育てている。鶏糞は米や野菜づくりに使用され、サスティナブルな農業を実現 PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

大松農場では孵化して一日めのひよこから、風通しのよいひよこ専門の鶏舎で、徹底した管理のもと、大切に育てている。鶏糞は米や野菜づくりに使用され、サスティナブルな農業を実現
PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

2017年に市内で高病原性鳥インフルエンザが発生したが、大松農場では一羽も感染しなかった。病気を予防するための抗生物質や鶏舎の消毒剤は一切使用せず、環境や餌などを工夫して鶏のストレスをなくし、免疫力を高める飼育を目指している。鳥インフルエンザは、家畜密度の上昇と、効率を優先する餌配合が一因となっているのではないかと、大松は考えている。

画像: 大松農場では、元気でおいしい卵が育つよう、20種類以上の自然由来の原材料を自家ブレンド。配合はつねに進化している PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

大松農場では、元気でおいしい卵が育つよう、20種類以上の自然由来の原材料を自家ブレンド。配合はつねに進化している
PHOTOGRAPH BY YUMIKO TAKAYAMA

 大松が現在育てている採卵鶏は8,000羽、ひなが6,000羽。1人で目が行き届く範囲を考えると、これくらいがちょうどいい数なのだという。

「一般的な養鶏場では、1人の生産者が10万羽以上育てている。狭い鶏舎に入れてオートメーションで餌やりなどを行なっているので、それが可能なんです。日本は卵の単価が安いため、そうでもしないと値段を下げられない実情がある。安い商品をつくらざるを得ない状況になれば、いろんなことが起こりえる」

 日本の農家は専業ではなかなか生計がまかなえず、兼業農家がほとんどだ。「日本の農家全体の収入は飲食関連の消費額のうちの5%ぐらいなんです。」

画像: スーパープレミアム玉子 。6個入り400円~(税・送料別)。黄身は野生のタンポポの花のような黄色で、コクのある味わい 大松農場 たまご直売所 千葉県旭市鎌数1273 TEL. 047(964)0033 公式サイト PHOTOGRAPH BY BUNGO KIMURA

スーパープレミアム玉子 。6個入り400円~(税・送料別)。黄身は野生のタンポポの花のような黄色で、コクのある味わい
大松農場 たまご直売所
千葉県旭市鎌数1273
TEL. 047(964)0033
公式サイト
PHOTOGRAPH BY BUNGO KIMURA

 「農は文化だ」と大松は力を込めて話す。大松は農業という言葉を好まない。経済優先な感じがして違和感を感じるのだという。「農は英語でアグリカルチャー、文化なんです。農は生命、そして平和の礎。農は社会の根源的基盤だからです。消費者にもっと農を理解してもらえたら、農の未来も変わるはずです。」

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