BY YUKINO HIROSAWA, PHOTOGRAPHS BY TAKASHI EHARA
“男性美容研究家”、一般的にはちょっぴり耳慣れない言葉だが、日々刻々と進化するメンズコスメをはじめ、シェービングやスパ、フレグランスまで幅広く研究、「男性美容」の魅力や情報を発信する職業だ。藤村岳さんはそのパイオニア。美容感度の高い人はもちろん、美容に対して無頓着な男性にも“グサッと刺さる”記事を執筆し、講演会や商品開発も行なう。「美容は体の健康のため、おやつは心の健康のため」と語る彼の甘いもの好きは、幼少期までさかのぼる。
「幼いころの僕がいろんな意味ですごく影響を受けたのが、父方の叔母。着道楽・食い道楽の魅力的な女性で、電車に乗って銀座や有楽町のデパートに行き、おもちゃを買ってもらったりした帰りに、よく連れて行ってもらったのが『東京會舘』でした。確か僕が3、4歳のときが最初で、強烈に印象に残っているのがあそこの「マロンシャンテリー」の味。幼児用の背の高いイスに座り、一人前にシルバーのナイフとフォークを使って食べていたというエピソードは、今でも叔母が語る思い出話のひとつです」

「マロンシャンテリー」¥980(税込)
東京會舘 ペストリーショップ「スイーツ&ギフト」
TEL.03(3215)2015(直通)
www.kaikan.co.jp
マロンシャンテリーは、東京會舘を代表するシグネチャースイーツ。初代の製菓長だった勝目清鷹氏がモンブランの山から着想を得て考案したケーキで、純白のホイップクリームの中には、金色に輝く裏ごしした栗がたっぷりと隠れている。息をのむほど美しく端正なルックスと、なめらかでコクのある甘露に酔いしれる逸品だ。