BY T JAPAN, FOOD COORDINATION BY YUKIKO HIRANO
【今月の野菜:うすい豆】
うすい豆は「うすいえんどう」とも呼ばれ、グリーンピースを品種改良してできたもの。春から初夏にかけてが旬で、和歌山県の特産品として関西地方を中心によく食べられている。「中部、関東地方などでもうすいえんどうの人気は高まってきているようです。春の短い間しかいただけない贅沢な食材ですね。グリーンピースでも同様に作れますが、豆は産地によって味わいがそれぞれ。豆そのものの旨味を生かしたレシピで、存分に味わってみてください」(平野さん)

えんどう豆の中でも、さやを取って実を食べる「実えんどう」の一種。グリーンピースよりも皮が薄く、上品な甘味がある。軽やかで美しい緑色は、見た目にも春を感じさせてくれる
レシピ1:焼きうすい豆
皮つきのまま、網や魚焼きグリルでそのまま焼くだけという手軽さも嬉しい一品。まずは何もつけずに、豆の甘味とホクホク感を味わって。さらに塩を添えるとより甘味が増し、ペコリーノチーズを合わせると手が止まらない贅沢なおつまみに。

「素材が持つ本来の味をそのままいただけるメニューです。焼き網の焦げも、香ばしいアクセントになります」(平野さん)
<材料>
うすい豆、塩、ペコリーノチーズ 各適量
<作り方>
1 魚焼きグリル、焼き網、オーブントースターなどで、うすい豆をさやに焼き色がつくまで焼く。
2 塩、ペコリーノチーズを添えていただく。
レシピ2:うすい豆のリゾット
うすい豆のさやを茹でて出汁をとり、その出汁を使って炊くリゾット。固形スープなどを使わず、やさしい味わいがしみわたる。パンチェッタの塩分が絶妙に効いて、つい何杯でも食べてしまいそう!

「うすい豆のホクホクとした食感と合うように、通常のリゾットよりも水分を少し多めにしています」(平野さん)
<材料2〜3人分>
米1合、パンチェッタまたはベーコン60g、うすい豆(さやから取り出して)120g、玉ねぎ50g、白ワイン大さじ3、オリーブ油大さじ2、バター大さじ1〜2、パルミジャーノチーズ大さじ4、塩、こしょう
A [ローリエ 1枚、タイム2〜3枝、玉ねぎの皮1個分]
<作り方>
1 うすい豆はさやから取り出す。水4カップにうすい豆のさや、Aを入れて中火にかける。10分煮て出汁をとり、塩を加える。
2 パンチェッタは1cm幅、玉ねぎはみじん切りにする。
3 1の出汁でうすい豆の1/3量を2分ゆでて取り出す。出汁適量を加えてハンドブレンダーにかけるか、フォークなどで潰しておく。
4 鍋にオリーブ油を入れて熱し、玉ねぎ、パンチェッタを加えて炒める。玉ねぎがしんなりとしてきたら米を加えてすき通るまで炒め、白ワインを加え煮立てる。
5 うすい豆、3の出汁の2/3を加えて12〜13分煮る。残りのスープを2〜3回に分けて加え、粘りが出ないように時々かきまぜる。アルデンテに炊き上がったら、スープを加えるのを止め、3のピュレを加え、仕上げにバターとパルミジャーノチーズを加え混ぜ、塩、こしょうで調味する。
※3の工程は省略することもできる。その場合は全量のうすい豆を5に加えて作る。

うすい豆のさや、玉ねぎの皮、ローリエとタイムを加えて10分ほど茹でると、野菜のうまみたっぷりの出汁のできあがり
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
【おすすめのお酒:ロワールの白ワイン】
「繊細な風味のうすい豆には、ナチュラルなロワールのソーヴィニヨンブランを。野菜の料理には自然派のワインが染み込んでいくように、細胞レベルでおいしさを感じます。今回セレクトした作り手はノエラ・モランタン。ピュアで透明感のある味わいが、うすい豆のおいしさをふわっと包んでくれるようです」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら