パリを拠点に、世界各地で活躍中のパティシエ・長江桂子さんが、家庭で楽しむお菓子づくりを特別指南。パリで培ったレシピは、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深いのに食べ心地は軽やか。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめる提案も。作りやすく簡単なのに、奥深く、これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのシンプルレシピを、丁寧にお伝えします。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ

RECIPE BY KEIKO NAGAE,PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: バヴァロア・ヴァニーユの上に6分立てにしたクレーム・シャンティ(※泡立てた生クリーム)をスプーンでふんわりのせて、クランブル、ローストアーモンドを散らし、粉糖をかけたグラスデザート

バヴァロア・ヴァニーユの上に6分立てにしたクレーム・シャンティ(※泡立てた生クリーム)をスプーンでふんわりのせて、クランブル、ローストアーモンドを散らし、粉糖をかけたグラスデザート

レッスン第1回目は、つるんとなめらか、クリーミーな口当たりのバヴァロア。牛乳、卵黄、砂糖で作る「アングレーズソース」に、泡立てた生クリームとゼラチンを加えて冷やし固めたお菓子。基本のバヴァロアはプレーンなヴァニーユ(バニラ)味。フルーツ、チョコレート、ナッツや泡立てた生クリームなどを合わせて、お好みの味に仕立てられる。バヴァロアは、フランス語で「bavarois」=「バイエルンの」を意味し、ドイツの旧バイエルン王国に由来すると言われている。

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.1 バヴァロア・ヴァニーユ

 ■材料 (作りやすい分量)
牛乳 200g
バニラビーンズ 1/2 本
ゼラチン(板ゼラチンでも) ※5g
卵黄 3個分(60g)
砂糖 40g
生クリーム(35%) 200g
*ゼラチンは硬度200ブルームのものを使用
*バニラビーンズがない場合は、バニラエッセンスで代用可

■下準備
・粉ゼラチンは小さなボウルに入れ、30g(6倍量)の水を加えて混ぜ、ふやかす。板ゼラチンの場合はたっぷりの水に漬けて戻す。

画像2: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.1 バヴァロア・ヴァニーユ

バニラビーンズは縦に切ってタネを包丁の刃先でしごき出しておく。サヤも用いるので捨てずに置いておく。
※バニラビーンズのサヤは使用後も洗って乾かし、シロップに加えればバニラシロップ、砂糖に入れておけばバニラシュガーの出来上がり。捨てずに活用を!

■作り方

画像1: ■作り方

1 アングレーズソースをつくる。バニラビーンズはサヤと共 に牛乳と鍋に入れ、中火で沸騰直前まで熱し、火を止める。バニラの粒はバラバラにした方が香りがしっかり移る。

画像2: ■作り方

2 ボウルに卵黄、砂糖を入れて泡立て器でもったりとするまでしっかり混ぜる。白っぽかったのが、だんだん写真のように濃い卵色になり、なめらかなツヤが出てくるまですり混ぜる。

画像3: ■作り方

3 1からバニラビーンズのサヤを取り出し、牛乳の半量を2に加 えてよく混ぜ、鍋に戻し入れる。ゴムベラで底を万遍なく混ぜながら、表面の泡が消え、トロッとするまで 炊いて、アングレーズを完成させる。完成の目安は下の写真を参考に。

画像4: ■作り方

アングレーズの出来上がりの目安は、ヘラについたソースを指でこすり、跡がついたらOK。.

※万が一、3でアングレーズソースにダマができてしまったら、ざるで漉した後に、ハンドミキサーでなめらかになるまで混ぜるとよい。強火で加熱し過ぎたり、鍋底をよくかき混ぜなかったりすると、ダマができやすいので注意して

画像5: ■作り方

4 3をザルなどで漉し、すぐにゼラチンを加えて溶かす。ゼラチンは熱に弱く、熱しすぎると凝固力が弱まってしまうので、余熱のあるこのタイミングで必ず溶かすこと。その後、ボウルの底を氷水につけてゴムベラで混ぜな がら冷ます。

画像6: ■作り方

5  生クリームは6分立てにする。

画像7: ■作り方

6 泡立てた生クリームを、4に2〜3回に分けて加え、左手でボウルを回しながら泡立て器で丁寧に合わせていく

画像8: ■作り方

7 最後は、ヘラに持ち換えて下からすくい上げるように全体を合わせる。泡立てた生クリームの気泡をつぶさないように、少ない回数で全体を混ぜ合わせるのがよい。

■仕上げ

画像: グラスなどに注ぎ入れ、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める

グラスなどに注ぎ入れ、冷蔵庫で1時間ほど冷やし固める

基本のバヴァロア・ヴァニーユはこれで完成だが、「フランスでは、そのまま頂くことは、あまりありません。」と長江さん。ふんわり泡立てた生クリームや、ジャム、ナッツやフルーツなどを添えて、デザートとして組み立てるのだそう。「家にあるものでも、いろいろ楽しめますよ」

■仕上げのバリエーション

画像1: ■仕上げのバリエーション

左は南国フルーツ(マンゴー、パッションフルーツ、パイナップル)のコンポートをのせ、ライムの皮を削りかける。右は、左と同様に組み立てたものに、8分立ての生クリームをスプーンですくってのせ、ココナッツのパウダーを散らしたもの。

画像2: ■仕上げのバリエーション

左は、薄切りのいちごとブルーベリーを、右は柑橘類をのせたもの。

画像3: ■仕上げのバリエーション

プラスチック容器に流し入れてから冷凍も可能。解凍してから、好みのトッピングを。半解凍でシャリシャリした食感を楽しんでも。一度作って冷凍すれば、お好きなときにトッピング次第で多彩に楽しめるのも、バヴァロアのうれしいところ。

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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