BY YUKIKO HIRANO

グリーンアスパラガスに「緑のワイン」を合わせて
緑のまぶしい季節。艶やかな緑色のグリーンアスパラガスが旬を迎える。通年目にする野菜だけれど、なんと言っても国産の採れたては抜群のおいしさだ。佐賀、長崎などの九州産に始まり、長野、栃木と北上し、生産量第一位の北海道の路地ものは5月がシーズンだ。
「グリーンアスパラガスに合うワインと言えば、まず挙がるのがグリューナー・ヴェルトリーナーですね。『緑のワイン』とも言われる爽やかさが特徴。野菜全般、そして和食に合うので、この連載では欠かせない品種のワインです。緑の野菜にはこのワインがあれば間違いないと言ってもいいくらい。もともとアスパラガスとは相性が良いのですが、さらにひと手間を加えて、食べるとワインが飲みたくなるようなレシピをご紹介しますね」(平野さん)
レシピ1:アスパラガスの昆布締め
ゆでたアスパラガスを昆布に挟んでひと晩置くだけ。昆布の味がアスパラガスにじんわりと染み、爽やかなのに、濃い旨味の余韻。ワインを合わせてみると、ミネラルが重なり、おいしさの相乗効果が生まれる。

昆布の旨味がじっくりと染み込んだ、贅沢な大人のおつまみ。茎と穂先では硬さが異なるので、食感の違いも味わい深い
<材料 作りやすい分量>
グリーンアスパラガス2〜3束、昆布10㎝×25㎝ 2枚、塩
<作り方>
1 アスパラガスは根元の硬いところは切り落とす。下の方の硬い皮をピーラーでむく。はかま(茎にある三角の部分)を取り除く。
2 沸騰した湯に塩を入れ、アスパラガスの根元を20〜30秒つけてから全体を湯に入れ、1〜2分ゆでる。冷水にとり、水気を拭く。
3 昆布は濡れぶきんで拭いておく。
4 昆布でアスパラガスをはさみ、密着するように皿などの重石を乗せて一晩おく。食べやすい大きさに切る。

昆布は冷凍保存をして、再利用できる。アスパラガス以外にも絹さや、青菜、チーズなどもおすすめ
レシピ2:アスパラとほたるいかの春巻き
春巻きの中で火を通したアスパラガスは香り、甘味が閉じ込められ、その味の濃さに驚くこと請け合い。旬のほたるいかを取り合わせた春巻きは、初夏の最強つまみだ。

ほくほくのアスパラとむっちりとしたほたるいか、サクサクの春巻きの食感。そこに流し込むワインの柑橘のアロマが心地よく口中を満たしていく
<材料 6本分>
グリーンアスパラガス6本、ほたるいか12尾、春巻きの皮6枚、小麦粉・水 各大さじ1、揚げ油適量
<作り方>
1 アスパラガスは根元の硬い部分を切り落とし、下の方の硬い皮をピーラーでむき、1㎝幅の斜め切りにする。ほたるいかは目をとる。水溶き小麦粉の材料を混ぜる。
2 春巻きの皮の手前中央にアスパラガス1本分とほたるいか2尾を置いて両端を折り畳み、くるくると巻く。巻き終わりを水溶き小麦粉で留める。同様に5本作る。
3 フライパンに揚げ油を大さじ3〜4入れ、中温(160℃)に熱し、2を入れて約2分、からりとするまで揚げる。取り出して油をきり、器に盛る。塩適宜を添える。

春巻きの皮で巻くときは、手前の位置に具を置いて。緑色のアスパラガスと、ほんのり赤みを帯びたほたるいかのコントラストで見た目も楽しい一品に
【今月のお酒セレクト:マインクラング グリューナー・ヴェルトリーナー 2021】

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO
印象的な牛柄の緑ラベル。マインクラングはオーストリアでいち早くビオディナミ農法を取り入れてきたワイナリー。農家所有の牛を堆肥にした糞を調合した天然肥料を畑に利用。牛はマインクラングの有機農法の象徴でもあることからモチーフに使われている。「ライムのような酸味にハーブの香り、程よいミネラル感と苦味がとてもバランスがいい。甲州ワインに通じる要素も多いですね。和食や日々の食事に合う、毎日飲んでもいいような軽やかさも魅力です」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら