BY KIMIKO ANZAI
“王妃マリー・アントワネットへのオマージュとして生まれたシャンパーニュ”。それが「レア・シャンパーニュだ。ボトルに施されているのは王妃のティアラ。その佇まいは華やかでゴージャス、確かに美しいプリンセスを彷彿とさせる。

「レア ロゼ 2014」。フランス・シャンパーニュ地方。シャルドネとピノ・ノワールをブレンド。繊細な味わいのレ・リセ村の赤ワインを18%添加。チェリーやフランボワーズなど赤い果実やスパイスの香りと、バラやスミレのフローラルなアロマ。デザートや肉料理とも好相性だが、アフタヌーンティーで楽しんでみたい。750ml ¥88,000(ボックスつき)
物語の始まりは1785年5月6日。フローレンス=ルイ・エドシックは地方行政官の任命式典において王妃に謁見する栄に浴した。この時、彼は自社のシャンパーニュを献上、それが王妃のお気に入りとなったのだ。後世、フローレンス=ルイ・エドシックの会社のひとつがパイパー・エドシック社となり、“王妃に愛されたシャンパーニュ・ブランド”として認知されるようになっていった。
だが、時が経つにつれ、メゾンでは新たなキュヴェ誕生への気運が高まっていた。「王妃にふさわしい、より高貴なシャンパーニュが造れないか」と考えたのだ。そして、最高級のシャルドネとピノ・ノワールを使って、1985年にファースト・ヴィンテージの「レア 1976」をリリースした。お披露目会の会場はベルサイユ宮殿。“王妃のシャンパーニュ”にふさわしいデビューだった。そしてさらに、より特別なキュヴェ(シャンパーニュ)にするために、オーナーであるクリストファー・デスクール氏とメゾンはブランドの独立化を決定した。この時招聘されたのが、ファッションやリキュール&スピリッツの世界でマーケティング&コミュニケーションとして活躍していたモード・ラパン氏だった。現在、グローバル・ブランド・ディレクターとして采配を振るう彼女が最初に行ったのは、”歴史とマリー・アントワネットを正しく理解すること”だった。文献を読み、創業者のフローレンス=ルイ・エドシックから6代目に当たるフランソワ・アルアール・ド・スアレス・ドーロン侯爵に話を聞いたという。

グローバル・ブランド・ディレクターのモード・ラバン氏。マーケティング&コミュニケーションのプロフェッショナルとして、「レア・シャンパーニュ」のブランディング。現在はを担う。最高醸造責任者のエミリアン・ブティヤ氏とともに「レア・シャンパーニュ」の魅力を世界にアナウンスする日々
現在、グローバル・ブランド・ディレクターとして采配を振るう彼女が最初に行ったのは、”歴史とマリー・アントワネットを正しく理解すること”だった。文献を読み、創業者のフローレンス=ルイ・エドシックから6代目に当たるルイ・エドシック氏に話を聞いたという。
「私が理解したのは、マリー・アントワネットは“真実の人・正義の人”だったということ。贅沢な暮らしぶりばかりが取り上げられていますが、貧しい人に私費で寄付をしたり、部下とカードをするときはさりげなく負けてあげたり、思いやりのある人だったそうです。王妃の“輪郭”が明確に浮かび上がったことで、ニューヨークのバカラホテルでアフタヌーンティーイベントを行うなど、王妃のシャンパーニュにふさわしいプロモーションのアイディアが次々と出てくるようになりました。そして王妃のことも、身近に感じられるようになりました(笑)」。
フランス人にとってのマリー・アントワネットのイメージは「豪奢な生活で国庫を空にした王妃」など、決してポジティブなものではなかったが、実は、ラバンさんの印象は違っていた。子どもの頃に読んだ漫画『レディ・オスカル』(原題『ベルサイユのばら』)でマリー・アントワネットの人となりが想像できていたと語る。
「レア・シャンパーニュから仕事の打診があった時、なにか運命的なものを感じました。私はオスカルが大好きでしたが、マリー・アントワネットについては“パリジェンヌのように小粋で自由な人”というイメージがありました」。

王妃にシャンパーニュを捧げるフローレンス=ルイ・エドシックの肖像画が今も残る。当時はまだ有名でなかった銘柄を好んで飲んだところに王妃のセレクトセンスが感じられる
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF RARE SHAMPAGNE
そしてこの日、ラバンさんが紹介してくれたのが新しくリリースされた「レア ロゼ 2014」だった。コーラルピンクの美しい色合いと、チェリーやバラ、スターアニス、キルシュなど、華やかで複雑なアロマが印象的だ。ラバンさんが言う。
「もう一度、香りを取ってみてください。パイナップルの香りがしませんか? 実は、マリー・アントワネットは、当時はなかなか入手できなかったパイナップルが大好物でした。この甘い香りは、グラン・クリュ(特級畑)のブドウと長い熟成期間のなせる業。マリー・アントワネット好みの、まさしく“王妃のためのシャンパーニュ”なのです」。
最後に、ラバンさんに『レディ・オスカル』の原題を伝えると「とても素敵ね! “レア”にぴったりだわ!」と満面の笑顔に。そしてこう続けた。
「“レア”の根幹にあるのは、王妃のように凜とした姿勢で自由を謳歌する精神。これは、現代を生きる、すべての女性のためのシャンパーニュです」。
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