BY YUMIKO TAKAYAMA, PHOTOGRAPHS BY KAN KANBAYASHI
安乗(あのり)漁港は波の静かな的矢湾と太平洋を分ける安乗岬にある。この土地は安土桃山時代から伝承されている、国の重要無形文化財「安乗文楽」で知られ、毎年9月には安乗神社の境内で上演が行われている。昔から漁業が盛んな場所で、安乗漁港では四季によってさまざまな魚介類が揚がる。取材に訪れた6月は、ピカピカのカツオが水揚げされていたところだった。
![画像: 安乗漁港に戻ってきたカツオ漁の船](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2019/07/26/f97bfe0d4c702d2adc0b706f72f4fc80cd654266_large.jpg#lz:xlarge)
安乗漁港に戻ってきたカツオ漁の船
安乗漁港で水揚げされたばかりのカツオの刺身は香りが良く、透明感のある身はサクッとした食感で、脂がほどよくのって、「これがカツオ!?」と驚かされる。「ケンケン釣り」と呼ばれる漁法で釣るカツオは、一匹一匹素早く血抜きをすることで、鮮度を保つのだという。抜群に鮮度がいいカツオが入った時は、樋口シェフはコース料理の中の一品に取り入れることもあるそうだ。「できるだけ不要な手は加えず、素材の美味しさを楽しみながら召しあがっていただけるよう、心がけています」。
![画像: 港に到着してすぐにカツオを船から引き上げる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2019/07/26/ce7bb9903cecbaf6b6c38e4e6f3f2ce32a329452_large.jpg#lz:xlarge)
港に到着してすぐにカツオを船から引き上げる
![画像: とれたてのピカピカのカツオ。その日とれたカツオのことを「日帰りカツオ」と呼び、珍重される。まさに新鮮だからこその味わい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2019/07/26/5cec8a69dc91a479dfda56c21b765a74f1abe076_large.jpg#lz:xlarge)
とれたてのピカピカのカツオ。その日とれたカツオのことを「日帰りカツオ」と呼び、珍重される。まさに新鮮だからこその味わい
三重外湾漁協組合長で「あのりふぐ協議会」会長でもある淺井利一さんは、現役の漁師でもある。「伊勢湾は魚の餌がいい。それは、木曽三川や宮川などの数多くの中小河川が流入しているから。山の養分を豊富に含んだ水がプランクトンを育て、それを食べる小魚が集まり、その小魚を食べる大きな魚が育つ。アジやサバ、イワシを食べるとびっくりしますよ。脂がのっていて、本当にうまい。カツオもとれたては別格だよ」と話す。
![画像: とれたてのカツオを秤にかけてサイズを分別する](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2019/07/26/c03f13f82d3215d99948960bd7aaf52810d78f45_large.jpg#lz:xlarge)
とれたてのカツオを秤にかけてサイズを分別する