BY T JAPAN
コロナ禍を経て、自分へのご褒美や小旅行気分で贅沢なひとときを味わえる、ホテルスパの需要がますます高まっている。今回から5回にわたり、ラグジュアリーなホテルスパのランキングで定評のある『一休.comスパ AWARD 2021』でTOP 5に輝いた東京で人気のホテルスパ体験記をお届けする。
「フォーシーズンズホテル東京大手町」の39階に位置し、都心の絶景を望む「THE SPA(ザ スパ)」。スパエリアに一歩足を踏み入れると、時の流れを忘れさせてくれるような静謐でシックな空間が目の前に広がる。

ダイナミックなファブリックアートが印象的で広々としたレセプション
COURTESY OF FOUR SEASONS HOTEL TOKYO AT OTEMACHI
まずはレセプションでウエルカムティーをいただきながら、カウンセリングシートを記入。ロッカールームへ向かう長い通路には、フィットネスウエアやインテリア雑貨、ランジェリーなどを扱うブティックがあり、思わず見入ってしまう。

この日のウエルカムティーは生姜茶。和テイストを感じさせる落ち着いたテーブルセッティングで、都会の喧騒から逃れる隠れ家に招かれたような雰囲気

スパエリアのブティックは、青山のセレクトショップ「アデライデ」がディレクションしている
トリートメント前には、ロッカールームの奥に設けられたスチームルームとお風呂でリラックス。大浴場からは東京の絶景が堪能でき、これぞ都会のホテルスパの醍醐味だ。スチームサウナでは体の芯から汗をじんわりと流して、早くもデトックスした気分に浸れる。

39階からの眺望で贅沢なひとときが過ごせる大浴場
COURTESY OF FOUR SEASONS HOTEL TOKYO AT OTEMACHI

20mの屋内温水プールと、筋肉の疲れを癒す温水バイタリティプールも完備。宿泊客だけでなく外来のゲストも、スパのプランによって利用可
COURTESY OF FOUR SEASONS HOTEL TOKYO AT OTEMACHI
バスローブに着替え、トリートメント開始の5分前までにリラクゼーションエリアへ移動。深い赤色の照明に包まれると、非日常の世界へ足を踏み入れていくような不思議な感覚を覚え、これから始まる施術への期待が高まっていく。

リラグゼーションルームは幻想的な赤い照明が灯り、これから始まる非日常な体験へと誘う

ドリンクやドライフルーツ、ミックスナッツなども提供されている
いよいよトリートメントルームへ案内される。今回受けるコースは、このスパのシグネチャーでもある「YAKUSUGI フォレストリニューアル」で、天然記念物の屋久杉から抽出されたエッセンシャルオイルを使用するという。世界遺産である屋久島に生息する屋久杉は、貴重な杉で伐採することができないため、土埋木(どまいぼく)と呼ばれる、嵐などで自然に倒木したものからオイルを抽出しているのとのこと。供給量が限られているので、こちらのスパでも一般販売はされておらず、トリートメントのみでの使用というとても貴重な体験を提供している。

トリートメントルームは全5室。39階からの都心の眺めに早くも高揚感が
杉の寿命は300〜400年くらいだが、屋久杉は数千年にもおよぶという。屋久島は降雨日数が年間約200日近くもあり、水分をはじめ土壌の養分が非常に豊富で、屋久杉には通常の杉の6倍もの樹脂が含まれているそうだ。そんな屋久杉から抽出されたエッセンシャルオイルは、太古の時空を超えてきたかのような深みのあるウッディな香りが印象的。
このトリートメントで使用するのは、屋久杉のオイルをはじめ、すべて国産のアイテムで、日本人の肌に合っているものばかり。首や肩からふくらはぎなど女性の疲れにフォーカスしたトリートメントなのだそう。

ベッドのファブリックは西陣織。メイド・イン・ジャパンへのこだわりが感じられる

ヘッドレストの下に置かれた箱庭。うつ伏せになったときの世界観も、落ち着いた和のテイストで統一
ベッドに横たわると、耳に心地よいORINの繊細な音が響く。空気の浄化を音で表現し、心と体をリセットする作用があるのだそうだ。セラピーの始まりの合図を五感から感じることができる。

セラピーが始まる前に鳴らされる”ORIN“。台座が屋久杉でできている
今回受けたのは60分のコースで、うつ伏せで脚、背中、肩甲骨、鎖骨、首、そして仰向けで脚、腕、肩、頭の順番で、屋久杉のエッセンシャルオイルで全身をくまなくほぐされる。120分のコースでは、オイルマッサージの前に、肌にやさしい国産素材のスクラブ(萱の木を細かくしたものや柚子の種子などが入ったもの)を使用して全身の老廃物を取り除くプロセスが含まれるとのこと。
深い眠りに誘われるような香りの屋久杉のオイルマッサージは、とくにふくらはぎ、肩甲骨まわり、鎖骨まわりのコリに深く届き、「自分の体は今、こんな奥深いところに疲れが溜まっているのか」という気づきを得ることができた。また、ゆったりと優しいだけではなく、ときに激しさも感じられるような緩急のあるリズムのマッサージなので、施術後にはいい感じの脱力感が訪れる。コロナ禍を経て自分の疲れに気づきにくくなっている今、心身ともに癒され、さらに活力がじわじわと湧いてくるトリートメントだ。

千草二十八茶は28種の野草成分から抽出された、漢方のような優しい味わい
トリートメント後には、沖縄の千草二十八茶と和三盆をいただいて、窓の外に広がる夕景を眺めながら、ほぐれた体を実感する贅沢なひとときを過ごす。時空を超えたような不思議な体感のセラピーを終え、日常に戻ることが少し寂しくも感じられる。

セラピーを終えると夕暮れの時間。窓の外には美しい都心の夜景が
屋久杉という大地の恵みを受け取り、体が生まれ変わったようなストーリー性とリズムのある“記憶に残るセラピー”で、翌朝はアラームが鳴る1時間前にすっきりと目覚めることができた。
【YAKUSUGI フォレストリニューアル】
THE SPA フォーシーズンズホテル東京大手町
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