その作品がアルルの国際写真フェスティバルで初めて公開された
BY HETTIE JUDAH, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)
オドレイ・トトゥは、初めての聖餐式の贈り物としてカメラをもらった。本人いわく、子どものころのトトゥは霊長類学者のダイアン・フォッシーに影響を受け、ジャングルで野生動物の写真を撮る自分の姿を夢想していたという。「私にとってあのカメラは、冒険への憧れ以上のものを意味していた」と彼女は言う。「写真家になりたいと思っていたけれど、その原因は写真家の誰かではなかったというわけね」
トトゥはのちに名声を得る運命にあったが、それは写真とは別の分野でのことだった。2001年、『アメリ』で一躍、世界的有名人となったが、彼女としてはまったく想定外の出来事だった。「自分のおかれた状況を見つめるために、また写真を撮ることにしたの」とトトゥ。彼女は、映画のプロモーションのために各地を巡りながら、インタビューを受けたあとにそのジャーナリストを撮りはじめた。「私にはどうしてもそうする必要があった。たぶん、いきなり超有名人になって、いろんなことが身の回りに起きたから。嵐のような騒がしさから、少し距離を置くための私なりの方法だったの」
この7月、毎年恒例のアルル国際写真フェスティバル(9月24日まで開催中)でトトゥの写真作品が初めて展示されることとなった。きちんと分類され、注釈のついたジャーナリストたちのポートレートのほか、大きく分けて3つの作品シリーズが公開されている。そのどれもがセルフ・ポートレート形式だ。うちひとつは、彼女のパブリック・イメージを作り上げたジャーナリストの写真に比べると撮影装置もフィルムサイズも小さな作品群で、トトゥが自分自身の反映として撮ったスナップショットだ。「私はいつもカメラと一緒に行動してるの」