現代美術家のマウリツィオ・カテランとグッチのアレッサンドロ・ミケーレがタッグを組んだ展覧会が、上海で開催中だ。コピー文化の象徴ともいえる都市で行われている展覧会のテーマは「オリジナルとコピー」。38名の参加アーティストとともに、この永遠の命題に二人が出した答えとは?

BY JUN ISHIDA

画像: 観客を非日常の世界へと誘う展覧会の最初の部屋はカップワニ・キワンガの作品。攻撃的な衝動を抑える効果があるとされ70年代にアメリカの刑務所などで用いられた「ベイカー・ミラー・ピンク」と薬物注射を防ぐ目的から公衆トイレに設置されるブルーのネオンライトで構成された空間だ Kapwani Kiwanga<pink-blue 2017> COURTESY OF THE ARTIST AND GALERIE Jérôme POGGI, PARIS / GOODMAN GALLERY, JOHANNESBURG AND CAPE TOWN / TANJA WAGNER GALLERY, BERLIN

観客を非日常の世界へと誘う展覧会の最初の部屋はカップワニ・キワンガの作品。攻撃的な衝動を抑える効果があるとされ70年代にアメリカの刑務所などで用いられた「ベイカー・ミラー・ピンク」と薬物注射を防ぐ目的から公衆トイレに設置されるブルーのネオンライトで構成された空間だ
Kapwani Kiwanga<pink-blue 2017>
COURTESY OF THE ARTIST AND GALERIE Jérôme POGGI, PARIS / GOODMAN GALLERY, JOHANNESBURG AND CAPE TOWN / TANJA WAGNER GALLERY, BERLIN

―― まず完成した展示を見ていかがでしたか?
9カ月にわたって作業していたレンダリング(完成イメージ)とまったく同じで、こんなことがあり得るのかと驚きました。子どもを授かり、その瞳が何色なのかをもうすでに知っているかのようでした。

―― そもそも「オリジナルとコピー」をテーマにした展覧会をキュレーションするというアイデアはどのように生まれたのですか?
この議題は、長い間、現代美術の一部であり、特に新しいものではありません。しかし、長年にわたって議論された結果、著作権の戦いには「The End」という2語を投げかけていいと思っています。 アレッサンドロと私がこのコンセプトに決めたのは、私たちが生きる現在社会のすべての概念や構造について、再考する時が来たと感じたことがきっかけでした。

―― 展覧会をキュレーションするにあたり、アレッサンドロ・ミケーレとの間にどのような議論がありましたか?
本展の出発点は、コピーは主題を深く理解してこその行為であるという考えです。 コピーは注意を促すことを意味し、また複製しているコンテンツを評価することです。それは多くの意味を持つ行為であり、オリジナルのコンセプト自体に新たな意味を加えるのです。次の世代のためにアイデアを生かしておくことにもなります。
アレッサンドロとのやりとりはそういったコンセプトから始まり、イコノグラフィー(図像学)とアイコンについて、そしてマドンナ(聖母マリア)とマドンナにどんな特徴が共通しているかについて話し合ったのを覚えています。具体的に展覧会について話すことはなく、私たちはいつも芸術についてのみ話をしました。クリエイティブな人間の良い点は、芸術について語るのを避けられないところです。そしてそれに飽きたりストレスを感じることはないでしょう。私は仕事をしないでは一日もいられません。仕事は治療と同じようなもので、医者の処方箋のようなものともいえるかもしれません。一日も無駄にはできないのです。

画像: 続く第二の部屋は2015年のベニス・ビエンナーレで発表されたミカ・ロッテンバーグのインスタレーション。上海南部にある真珠養殖工場で働く女性たちをテーマにした現実とファンタジーが入り混じる映像とそこで造られた淡水パールのインスタレーションで構成されている。果たして人工的に作られた養殖真珠は真性の宝石といえるのか? Mika Rottenberg <NoNoseKnows> 2017 COURTESY OF THE ARTIST

続く第二の部屋は2015年のベニス・ビエンナーレで発表されたミカ・ロッテンバーグのインスタレーション。上海南部にある真珠養殖工場で働く女性たちをテーマにした現実とファンタジーが入り混じる映像とそこで造られた淡水パールのインスタレーションで構成されている。果たして人工的に作られた養殖真珠は真性の宝石といえるのか?
Mika Rottenberg <NoNoseKnows> 2017
COURTESY OF THE ARTIST

―― 上海というコピーの象徴といえる都市でこの展覧会を開催することは非常に大きな意味を持つと思います。展覧会の準備期間中に実際に上海の街を彷徨ってみて、この街からどのようなインスピレーションを得ましたか?
展覧会全体が、上海という街や中国文化へのセレブレーションになっているのですが、その理由は来場すればわかっていただけるはずです。例えばブライアン・ベロットとジョン・アハーンの展示室が、上海のフランス租界にまだ現存しているこの街らしい伝統的な民家へのオマージュになっているように、いくつかそれを感じさせるスポットがあります。

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