今回は、ゴールデンウィーク中に訪れたい展覧会を厳選。7年目を迎えた「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」。ムーミンの意外な素顔も発見できる「ムーミン展」。そして、サックス奏者、俳優として広く知られたジョン・ルーリーによる絵画展

BY MASANOBU MATSUMOTO

『ジョン・ルーリー展 Walk this way』
|ワタリウム美術館 

 ジャズバンド「ラウンジ・リザース」のサックス演奏者、ジョン・ルーリー。ジム・ジャームッシュ監督の映画『ストレンジャー・ザン・パラダイス』や『ダウン・バイ・ロー』で音楽を担当するとともに、俳優としても出演。熱狂的なファンを獲得した表現者だ。しかしながら、1990年代後半、彼は「ライム病」と呼ばれる難病を患い、俳優、音楽活動を休止。代わりに力を注いだのが、絵を描くことだった。

 外苑前・ワタリウム美術館で開かれている展覧会は、近作を含むジョンの絵画作品をフォーカスする。ちなみに、発表こそされてこなかったが、ジョンはジャン=ミッシェル・バスキアらととも交流があり、80年代には一緒に絵を描いていた時期もあるという。2006年には、MoMAの別館でコンテンポラリー・アートに特化した美術館PS1で個展も開いており、絵画のテクニックやセンスは本物だ。

画像: ジョン・ルーリー 《お尻みたいな花を咲かせた木、また満開》 2018年

ジョン・ルーリー《お尻みたいな花を咲かせた木、また満開》 2018年

画像: ジョン・ルーリー 《ヤギとふたつの墓標 》 2018年

ジョン・ルーリー《ヤギとふたつの墓標 》 2018年

 展示作品に描かれているのは、ニューヨークの自宅から見える庭なのか、また近年、生活の大半を過ごしているというカリブ海の島の風景なのか、現実とも夢の中ともとれる光景だ。自然味あふれる植物とともに、弱々しいがマイペースで自由に生きる、バッファローやうさぎ、鳥などの動物の姿が現れる。なにより印象深いのは、作品にジョンがつけたアイロニカルかつユーモアに富んだタイトルだ。たとえば、『錨を引き上げられない、そして動けない。サンドイッチでも食うか。』『こいつ、ガンジーを嫌っていたから消してやった』など。これは不条理な世の中に対するジョンのメッセージだという。ジョンは展覧会に、次のような言葉を寄せた。

オレは怒りに満ちている
オレは怒りに満ちている
この怒りが良い方向へと向かうと良いのだが
オレはすごい怒りに満ちている

 ミュージシャン、俳優、画家ではなく、ひとりの生活者としての等身大のまなざしが絵の中に込められている。だからこそ、われわれの胸にストレートに響くものがある。

画像: ジョン・ルーリー 《少年と犬、犬と少年、それ以外は歴史》 2013年 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF WATARI MUSEUM OF CONTEMPORARY ART

ジョン・ルーリー《少年と犬、犬と少年、それ以外は歴史》 2013年
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF WATARI MUSEUM OF CONTEMPORARY ART

『ジョン・ルーリー展 Walk thin way』
会期:〜7月7日(日)
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
開館時間:11:00〜19:00(水曜は〜21:00)
休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開廊)
料金:一般 ¥1,000、学生(25歳以下)¥800、中・小学生 ¥800、70歳以上 ¥700
電話:03(3402)3001
公式サイト

 

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