BY OGOTO WATANABE

「マルベリー」2018年春夏コレクションドレス¥374,000

典型的な英国の文化が今回のコレクションのキーモチーフ。陶製のティーカップに描かれた花模様のような美しい花柄が印象的。マルベリー 2018年春夏コレクションより(参考商品)
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MULBERRY
イギリスのレザー&ファッションブランド「マルベリー」のドレスも、引力を持つ。「典型的な“英国らしさ”に特化した作り方が面白い。柄や装飾に20世紀初頭の要素をふんだんに取り入れています。今っぽさと近未来も同時に感じさせる力量が見事です」。デザインを手がけるジョニー・コカはスペイン人。アートや建築を学ぶためにフランスへ移住したのち、ハイブランドで経験を積んだ。長年、英国文化とスタイルに強い関心を持っていたコカは、ロンドンで働くことを満喫しているそうだ。
「伝統的でもあり、つねにどこかエキセントリックでもある。そんな英国文化の魅力が洗練された表現で伝わります」と、自身も英国のファッションの現場で学び、研鑽を積んだ吉田さんは言う。「やりたいこと、つくりたい気持ちがまっすぐに伝わるものに、魅力を感じます」
MULBERRY(マルベリー)
マルベリー ジャパン
フリーダイヤル: 0120-097-428
https://www.mulberry.com
――――――――――――――――――――――――
ファストファッションが当たり前となり、トレンドなき時代といわれて久しい。だが、新しい才能が、ワクワクするようなドレスを作りだしている。彼らは、服の作り方も見せ方も、独自の方法で行う。例えば、モリー・ゴダードは家族でその世界観を作っている。モリーが服をつくり、舞台美術を手がける母がその世界観を形にする。ショーのキャスティングとスタイリングを手がけるのは妹だ。Co.のステファニーも、ものづくりの基盤はファミリーだ。彼女の服づくりには信念がある。それは、“毎日しっかり働き、思慮深くその収入を使いたい女性、リアルな生活を持つリアルな女性を幸福な気持ちにするための服”を作ることだ。マーケティング戦略ありきの予定調和的なものづくりにはない、自分の“こだわり”をまっすぐに貫くものづくり。そこに、ワクワクの引力が生まれるのだろうか。
「ドレスは一枚で着こなしがほぼ完結するし、じつはラクちん。それでいて、着ると気分を高揚させてくれるんです」と吉田さん。「だから私は、普通の日もドレスを着ます。息子を連れて保育園に行くと、先生はちょっとビックリするけど、女の子たちは目を輝かせて寄ってきますよ(笑)」