BY ALEXANDER FURY, PHOTOGRAPHS BY FEDERICO CIAMEI, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)
彼女の兄であり、ブランドの設立者でもあるジャンニ・ヴェルサーチがマイアミ・ビーチの別荘で射殺された1997年以来、メインラインのデザインを彼女が手がけてきたことを考えれば、ヴェルサーチというブランドはもはやドナテッラのものといっていいだろう。彼女は兄ジャンニが打ち出したブランドのスタイルをよりセクシーに、よりしなやかに解釈しながら、明らかにモダンな方向に導いてきた。
来年には、そのクリエイティブ・ディレクターとしてのキャリアは兄よりも長くなる。「そこで私が言いたいのはね……」と切り出したのは、少なくともニューヨーク・タイムズ誌としてはとても掲載できないような発言だ(※ヴェルサーチの言葉の選び方は、つねに冗談めかした暴力性を秘めている)。「(ヴェルサーチという)カルトを継承しなくちゃ!」と言って、彼女はまた一瞬ニヤッとチェシャ猫のような笑みを浮かべた。

ランウェイ・リハーサル | 金曜 午後6時25分
リハーサルは金曜日の夜まで実施できなかった。今回のショーでは人工的な照明を一切使わないため、リハーサルは本番と同じ時間帯で行わなければイタリアの夏の夜の自然光は再現できないからだ
今回のメンズ・コレクションのショーのテーマはブランドの伝統へのオマージュであり、ある意味ではジャンニ・ヴェルサーチその人へのオマージュでもある。「だから考えたの。原点に戻ろう、家に帰ろうって」とヴェルサーチ。「私にとって、兄が亡くなって20年という節目は悲しいことだわ。とっても悲しい。だからこの場所に戻ることにしたの。ここが私の居場所、すべての出発となった場所。全部ここから始まった。私たちはこの場所でディナー・パーティを開き、とんでもないドラマやケンカを繰り広げ、大きな愛を分かち合った。ジャンニと私、2人のタイプの違う人間が、ここで一緒に働いた。私たちはまったく正反対の人間なのにね。ともあれ、すべてはここから始まったの」。彼女は吐息をもらし、そしてほほえんだ。「今回のショーは、ヴェルサーチの祝典なのよ」

続ランウェイ・リハーサル | 金曜 午後7時35分
リハーサル時、ヴェルサーチはモデルを歩かせるだけでなく、恒例のショー終了後の挨拶も練習する。めまいを起こしそうなくらい高いトレードマークの厚底ヒールを履き、ファッション・アート・ディレクターのマーク・ドゥームに付き添われて、2018年春夏ショーの板ガラスでできたランウェイを歩き抜くヴェルサーチ

ヘアメイク・テスト | 金曜 午後8時55分
チームに囲まれるヴェルサーチ。左にはCEOのジョナサン・エイクロイド、右端から順に、スタイリストのジェイコブ・K、メイクアップ・アーティストのパット・マクグラス、ヘアスタイリストのグイド・パラオ。ヴェルサーチは着替える必要があると感じ、一瞬抜けてから、再び戻ってきた