PHOTOGRAPHS BY SHINGO WAKAGI, STYLED BY MAKI OGURA, EDITED BY KYOKO HIRAKU
山本容子(銅版画家)
新たなライフワークとして医療現場における壁画創作〈ホスピタル・アート〉に活動の場を広げている山本さん。「絵を描く姿には女らしいイメージがあるでしょう。キャンバスの前で悩む、みたいに。でも大きな絵は違います。ここ10年、人前で壁画を描いていますが、脚立を上り下りする動作を繰り返すので、転んでしまっては仕事になりません。だから絵を描くために、4年ほど前から週1回トレーナーについてインナーマッスルを鍛えるストレッチをしています」。年齢を感じさせない山本さんだが、現在64歳。ここ最近、パンツスーツのようなきちっとした服を意識して着るようになった。「自分を確かめるためのチェック項目があるんです。ジャケットは肩から身体の線がしゃんとしていないと格好悪い。ハイヒールを履いてみて、よろよろして歩けないようでは駄目。そういうことがちゃんとできているかどうかを常に確認しています」。アルマーニの服は、講演会など少々張りきる必要がある場にも着ていける服。「期待されている役割があって、良識ある大人として振る舞わなければならないとき。あまり堅苦しすぎても自分らしくないので、そのあたりは結構難しいのですが。この服はそういう場にもとてもしっくりきますね」
山本さんの軽くウェーブがかった髪にマニッシュなパンツスタイルが美しいバランス。ダブルのジャケットはノーライニングのニット素材。上質なウールを用い、柔らかな手ざわり、軽さ、暖かさのすべてを兼ね備えている。
ジャケット¥320,000、パンツ¥140,000
ジョルジオ アルマーニ ジャパン
(ジョルジオ アルマーニ)
TEL. 03(6274)7070
靴は本人私物
HAIR & MAKEUP BY EITO FURUKUBO AT OTIE, SPECIAL THANKS TO SEISEN UNIVERSITY
佐々涼子(ノンフィクション作家)
日本語教師として働いた経験に基づくエッセイで作家デビュー。その後「通っていたライターズスクールの教務の人に『あなたの顔にはノンフィクションを書くと書いてある』と突然言われて(笑)」一念発起。客死した遺体や遺骨を故国に送り届ける国際霊柩送還士を丁寧に取材した作品で、開高健ノンフィクション賞を受賞。日本語教師だった頃、万が一、生徒が日本で亡くなったらどうするのだろうと心配で調べたことがきっかけだった。佐々さんとアルマーニとの出会いはその授賞式。「華やかな服を着てくるように言われ、編集者と探し回ってようやく見つけたのがアルマーニのベルベットのパンツスーツ。清水の舞台から飛び降りる気持ちで買いました。着ていて肩がこらないのにきちんと見せてくれる。心強く、頼りがいがあります」。被災地や現場へ何度も足を運び、タイやインド、ペルーなど世界各地へ赴く。普段着も取材時も、相手に気を遣わせないシャツとジーンズのようなラフな格好。「みなさん、どんな切れ者が来るのかと構えていらっしゃるので。むしろ、何もわからないから教えていただくという謙虚な気持ちでお会いします。私の役目は誰かの話を誰かに伝えることだと思っているので」
アルマーニは「これを着ていれば大丈夫という安心感がある」と佐々さん。正統派のクラシックスタイルを感じさせるニューノーマルのネイビーのジャケットに同色のシンプルなパンツを合わせて。
ジャケット¥300,000、タンクトップ(参考商品)、パンツ¥113,000、靴¥75,000
ジョルジオ アル マーニ ジャパン
(ジョルジオ アルマーニ)
HAIR BY TOMO TAMURA AT PERLE, MAKEUP BY KIMIYUKI MISAWA AT 3RD