ブームに沸く日本ワインの実力は世界に届くのか? ワインジャーナリスト安齋喜美子が俯瞰する

BY KIMIKO ANZAI, PHOTOGRAPHS BY KASANE NOGAWA

「日本のワイナリーの数は年々増加し、現在約230。2015年は、50のワイナリーに醸造の認可が下りました。特に、北海道と長野が顕著で、長野の高山村には栽培農家が10軒以上増えました。若い造り手が熱意をもって、ワイン造りに取り組んでいます」と語る。特に、ここ数年で登場した造り手の中で、石井は富山の「セイズファーム」や長野の「ノーザンアルプスヴィンヤード」などの、テロワールを大切にしたワイン造りに惹きつけられるという。

 だが、「造り手が『自然な造りを目指しているから』と、醸造への理解を深めたりスキルを磨くことなく、結果として醸造上の欠点があるワインを世に送り出していることも気になります」と懸念する。「これも過渡期ゆえのことでしょう。こういった造り手は、一時はもてはやされても、いずれ淘汰されていきます。それは残念なことでもありますが、そうならないよう、経験を積んだ醸造家が 経験の浅い造り手をバックアップすることも、今後は必要になってくるように思います」。そしてこう続けた。「日本人である以上、やはり日本ワインの成功を望みますし、心から応援したいと思っています。世界と肩を並べることは容易ではありませんが、“世界に届くワイン”はやがて多数現れると、私は信じています」

画像: (左)「キュヴェ三澤 明野甲州 2015」<750ml>オープン価格。同大会で金賞受賞 (右)「グレイス 甲州 2015」<750 ml>オープン価格。「デキャンタ・ワールドワイン・アワード2016」でプラチナ賞受賞

(左)「キュヴェ三澤 明野甲州 2015」<750ml>オープン価格。同大会で金賞受賞
(右)「グレイス 甲州 2015」<750 ml>オープン価格。「デキャンタ・ワールドワイン・アワード2016」でプラチナ賞受賞

 ふと、10年後の日本ワインを想像してみる。品質は格段に向上し、世界でも高い評価を受けていることだろう。日本ワインの魅力は、総じて「清らかさ」にある。酸味も果実味も、凜として美しい。最初は静謐で穏やかな印象。そして、次第に香りが上品に開いていく。派手さはないが、その慎ましさゆえに、料理を引き立ててくれるのだ。おそらくそれは、“秘すれば花”という日本人の美意識に通ずるものでもある。なぜなら、日本ワインには日本人の心が宿っているからだ。

 新しい時代の扉は、ようやく開かれたばかり。扉の向こうには大きな発展が待っていると信じたい。私たちは、日本ワインとともに、夢を見たいのだ。

※ ビオディナミとは農薬や化学肥料をいっさい使用しない有機栽培農法のこと。ビオディナミは、ビオロジックに加え、太陰暦に基づいて種まきや収穫を行い、肥料は牛糞など自然界に存在するものだけを使用する有機栽培の一種

問い合わせ先
中央葡萄酒(グレイス ワイン)
山梨県甲州市勝沼町等々力173
TEL. 055(344)1230

 

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