“おいしい!”が詰まった浮世絵ばかり集めた展覧会を手がけたキュレーターが、江戸の庶民の楽しみっぷりを説く。江戸の粋と美味を今に受け継ぐ、東京の名店の逸品も厳選紹介

BY AYANO HAYASHI, MIKA KITAMURA(P2~P3), PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA(P2~P3)

江戸時代に花開いたお弁当文化を桜とともに味わうーー「和田倉」

 江戸の花見は、八代将軍 徳川吉宗が隅田川堤や飛鳥山に桜を植樹し、庶民の行楽を奨励したことで盛んになった。そのため、今も桜の名所が東京には多い。江戸城の本丸や二の丸だった皇居東御苑もしかり。そこからほど近いパレスホテル東京の日本料理「和田倉」は、四季折々の食材を端正に仕立てた美味を楽しめると定評がある。ランチタイムのお弁当は、丁寧に仕事をされた料理が彩りよくたっぷり詰められ、しかもリーズナブルとあれば大人気。春には限定の花見弁当が登場する。漆の蓋を開けると、華やかさに歓声が。

画像: 花見弁当「麗ーHARUKAー」¥6,500<先附、花見弁当、ちらし寿司、椀、水菓子>※ 2020年3月1日〜4月14日限定 お弁当は、左奥から時計回りに、イイダコの桜煮、出汁巻き卵、焼き魚、湯葉とせりの和え物、子持ちわかめ、菜の花のおひたし、お造り、桜の葛豆腐など(内容は一部変更あり)

花見弁当「麗ーHARUKAー」¥6,500<先附、花見弁当、ちらし寿司、椀、水菓子>※ 2020年3月1日〜4月14日限定
お弁当は、左奥から時計回りに、イイダコの桜煮、出汁巻き卵、焼き魚、湯葉とせりの和え物、子持ちわかめ、菜の花のおひたし、お造り、桜の葛豆腐など(内容は一部変更あり)

「お弁当は見た目の美しさも大切です。何よりも季節感を盛り込むことに心を尽くしています」と宮部敬二料理長。桜の塩漬けをあしらった桜の葛豆腐、桜の葉で包んだお造りなど、料理にも桜があしらわれて季節の歓びが満載。レストランでいただくお弁当なのでお造りも入り、どれも作り立てのおいしさが味わえるのもいい。漆のお弁当箱の中でも春爛漫を満喫しよう。

和田倉
住所:東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京 6F
営業時間:11:30~14:30、17:30~21:30(LO)
定休日:無休
電話:03(3211)5322
公式サイト

江戸前ずしの開祖の流れを汲む下町の老舗ーー「㐂寿司」

 風情ある建物の暖簾をくぐれば、古きよき雰囲気を残す空間が迎えてくれる。檜の一枚板のカウンターに、ネタが美しく並んだガラスケース。板前には四代目の油井一浩さん、厚二さん兄弟が立つ。この「㐂(き)寿司」の初代は、江戸前ずしの開祖として有名な「與兵衞(よへい)寿司」の流れを汲むという。明治の頃、柳橋(現在の東日本橋)で開業し、大正12(1923)年に人形町へ移り、昭和27(1952)年には現在の建物に建て直した。技は口伝で代々受け継がれてきたため、「どの技が江戸由来なのか、よくわからないんですよ(笑)。ほかにはない、うち独特の技は、江戸から伝わるものかもしれません」。

画像: 昼のお決まりの握り¥5,000 カウンターに座れば、一貫ずつ握ってくれる。まず、まぐろの赤身から。まかじき、平目、すみいか、赤貝、海老、穴子、鉄火巻、玉子。内容は日々替わる。同じものが、夜は6貫+巻きもので¥5,000

昼のお決まりの握り¥5,000
カウンターに座れば、一貫ずつ握ってくれる。まず、まぐろの赤身から。まかじき、平目、すみいか、赤貝、海老、穴子、鉄火巻、玉子。内容は日々替わる。同じものが、夜は6貫+巻きもので¥5,000

 酢で締めた小肌、ふうわり煮上げた穴子、芝海老のおぼろを潜ませた海老や貝の握り......。酢飯も代々の配合だ。赤酢(酒粕酢)と白酢(米酢)を1対1で。砂糖は加えず、塩だけで調味したキリリとした味。人形町へ移ってそろそろ100年。歳月の重みをしっかり受け止めた四代目の味を、粋な雰囲気とともに楽しみたい。

㐂寿司
住所:東京都中央区日本橋人形町2-7-13
営業時間:11:45~14:30、17:00~21:30(土曜は11:45~21:00)
定休日:日曜、祝日
電話:03(3666)1682

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