“おいしい!”が詰まった浮世絵ばかり集めた展覧会を手がけたキュレーターが、江戸の庶民の楽しみっぷりを説く。江戸の粋と美味を今に受け継ぐ、東京の名店の逸品も厳選紹介

BY AYANO HAYASHI, MIKA KITAMURA(P2~P3), PHOTOGRAPHS BY TETSUYA MIURA(P2~P3)

吉原発祥の天丼の流儀を今に受け継ぐーー「土手の伊勢屋」

「土手の伊勢屋」は明治22(1889)年、吉原の土手沿いで開業。今は四代目の若林喜久雄さんが店を守る。歴史を感じる建物は昭和2(1927)年から。「天丼は吉原の屋台が発祥です。気の短い江戸っ子が、天ぷらとご飯が別々なのは時間がかかると、ご飯にのせたのが始まり。当時はお客さまがネタを選び、目の前で揚げていました」

画像: 天丼は「イ」「ロ」「ハ」の3種類。写真は「ハ」¥2,600(税込) 穴子、旬の魚、海老、小海老のかき揚げ、野菜3種がのる。蓋をすると衣のサクサク感がなくなるので、蓋をせずにテーブルへ。海老のかき揚げ、ご飯、キャベツをバンズにはさんだ「天丼バーガー」も人気

天丼は「イ」「ロ」「ハ」の3種類。写真は「ハ」¥2,600(税込)
穴子、旬の魚、海老、小海老のかき揚げ、野菜3種がのる。蓋をすると衣のサクサク感がなくなるので、蓋をせずにテーブルへ。海老のかき揚げ、ご飯、キャベツをバンズにはさんだ「天丼バーガー」も人気

 海老がそそり立つ盛りだくさんの天丼は、江戸スタイルを踏襲。濃口のごま油の香りをきかせ、衣は厚め。必ず海老と穴子、鱚やめごちなどの小魚を取り合わせる。しかし、ごま油にコーン油を合わせてより軽く。衣は一晩冷凍庫で水分を飛ばし、サクサクに。江戸前のネタにはない野菜を、ヘルシーだからと加えた。甘辛のたれもずっと薄味に。10〜20年通ってくれるお客さまに、「味が変わらないね」と言われるが、「実は少しずつ変えているんです」。時代に合わせて調えるが、おいしさの芯は変えていない。130年余り愛され続けてきた理由はここにある。

土手の伊勢屋
住所:東京都台東区日本堤1-9-2
営業時間:11:00~14:30
定休日:水曜、第4火曜
電話:03(3872)4886
公式サイト

つるん、もっちり、ふんわり。絶品白玉を成城でーー「櫻子」

 白玉売りや冷水売りの掛け声は、江戸の夏の風物詩だった。今も、つるんと冷たい白玉は大人気。東京は成城に、白玉が評判の甘味処「櫻子(さくらこ)」がある。昭和54(1979)年の開店。店主の森田享子さんが小豆を炊くことから始め、厨房を取り仕切ってきた。森田さんとのおしゃべりを楽しむ長年の常連客も多く、お店はサロンのよう。一方、白玉やあんみつなどの評判を聞きつけた遠方からのお客さまも多い。地元の学生に「ここの白玉を食べたら、ほかでは食べられない」と言われたのがうれしかったとか。

画像: 蜜白玉 ¥980 白玉はあんみつ類、おしるこでも味わえる

蜜白玉 ¥980
白玉はあんみつ類、おしるこでも味わえる

 定番の「蜜白玉」はお薄を点て、白蜜を合わせて。蜜は抹茶のグリーンがすがすがしい。おいしさの秘密は、注文が入ってから白玉をゆでること。真夏はかき氷にものせるので「、本当に忙しくて大変ですが、白玉だけは注文が入ってから」。作り立てはもっちり歯応えがあり、ふうわり、柔らか。見た目の可愛らしさとおいしさは、江戸の昔も同じ。江戸美人にならい、今年の涼は白玉で!

櫻子
住所:東京都世田谷区成城6-10-2 成城ハナビル3F
営業時間:10:30~18:00
定休日:日・月曜、祝日
電話:03(3483)5296
Facebookページ

 

This article is a sponsored article by
''.