TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
実りの秋到来!秋の味覚はいろいろあれど、やっぱり気になるのは栗。京都の老舗和菓子店や人気パティスリーでも栗の菓子が登場する今月は今しか楽しめない栗のスイーツを紹介。第3弾は「パティスリー レモワノー」をご案内します
烏丸御池「パティスリー レモワノー」

熊本県産の和栗をたっぷり使ったモンブラン¥800
築160年の京町家を改装したパティスリー。店主の勝本真理さんは、京都のみならず全国のスイーツ好きを魅了し、2018年に幕を下ろした後も語り継がれるフランス菓子店「オ・グルニエ・ドール」で10年研鑚を績み、2019年に独立。
「ご近所さんがおやつを買いにきてくれる店になりたい」と、酒やハーブ、スパイスなどは効かせず、シュークリームやイチゴショートなど、素直なおいしさのケーキが並ぶ。

卵黄をたっぷり使った黄色みが強いジェノワーズをはじめ、オ・グルニエ・ドールのスタイルを継承。「イチゴのショートケーキ」¥720
モンブランは、毎年秋に登場するのを楽しみにしているファンが多いケーキ。熊本の決まった農家の利平栗のみを使用するため、年によっては店頭に並ぶのが遅い時もあり。今年は10月5日からスタートし、12月下旬まで作られる予定だ。

週末は早々売り切れることもあり、予約がおすすめ
利平栗はほくほくしていて、甘や香りが強いのが特徴で、マロンクリームにしても栗の風味がしっかり感じられる。隠し味に白味噌が使われているのも珍しく「白味噌の味を感じないぐらいほんの少ししか使っていないんですが、味に奥行きが出るんです」と、勝本さん。
高脂肪生クリームも、こっくりとしたマロンクリームとベストマッチ。しっかり泡立てることで、口溶けがよくなるそうで、重たさはまったくなく、口の中でスーッと消え、リッチなおいしさだけが引き立っている。
モンブランにメレンゲを使う店が多いが、こちらではふんわり軽いシュクセを土台にし、クリームとの一体感もアップ。
オ・グルニエ・ドールの西原シェフから学んだフランス菓子の基本となるパーツ作りを大切に、生地やクリームもていねいな仕事がされていて、シンプルながら繊細かつ上品さが漂っている。

ちょっと固めのプリンやアーモンド付きの肉厚のシュー皮が香ばしいシュークリームなど、クラシカルな洋菓子が並ぶ
アーティストの村上隆さんはオープン当初からの常連さんで、モンブランの大ファンを公言。12月末には 村上さんとのコラボ版、スペシャルモンブランもお披露目されるとのこと。そちらも楽しみ!

店主の勝本真理さん

店はテイクアウトのみだが、ご近所に「パティスリー レモワノー」の菓子を持ち込みできるカフェ「cafe&barTANTON」があり

マドレーヌは個別包装された通常バージョンとは別に、”焼きたて”を販売。縁がサクサクしていて、生地はふっくら。個別包装されたしっとりとしたマドレーヌと違った食感が楽しめる

初秋の1ヶ月ほどしか入荷がない幻の黒い宝石と称されるフランス産黒イチジク。糖度も高く、ねっとり濃厚な味わい。ビオレソリエスのタルト¥650
Patisserie Les Moineaux
パティスリー レモワノー
住所:京都市中京区押小路通衣棚西入上妙覚寺町208-5
営業時間:12:00~18:00(売り切れ次第閉店する場合もあり)
定休日:月曜、火曜(祝日は臨時営業する場合もあり)
TEL. 075-746-6092
公式サイトはこちら

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント