ル・コルビュジエの弟子とも知られる建築家、吉阪隆正の企画展、国際的なアートシーンで高い評価を獲得してきた遠藤利克の新作展、日本画家、鏑木清方の回顧展では“幻の傑作”も公開する。今週絶対に見るべき3つのエキシビションをピックアップ

BY MASANOBU MATSUMOTO

『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』|東京都現代美術館

画像: 《大学セミナー・ハウス 本館》1965年 (撮影:1997年) PHOTOGRAPH BY EIJI KITADA

《大学セミナー・ハウス 本館》1965年 (撮影:1997年)
PHOTOGRAPH BY EIJI KITADA

 吉阪隆正は、戦後復興期から1980年に没するまで、日本の建築シーンに新たな風を起こした建築家だ。建築学者、民俗学研究者の今和次郎、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事。自らのアトリエを持ったのち、日本建築学会賞を受賞した《アテネ・フランセ》、東京都選定歴史的建造物に指定された《大学セミナー・ハウス 本館》など、彫塑的な造形を持ったコンクリート建築の名作を多く残した。

 コスモポリタンな建築家だった。登山家であり冒険家、文明批評家でもあった。近いもの、遠いもの、小さいもの、大きいものーー世界のすみずみに関心を開き、自身の仕事を、個人住宅から公共建築、極地での生活を考えた山岳建築、地域計画にまで発展させていった。「吉阪隆正+U研究室」を組織し、集団で物事を考えることから、建築家の可能性をとらえ直した。本展は、そうした吉阪の素顔、また彼が手がけた約30の建築とプロジェクトを紹介する。「発見のための視点と視野 実現のための手段と工夫 どれがいいのか それをみんなでみつけよう」とは、展覧会の案内に引用されている吉阪の言葉だ。「みつけよう」。本展は、そのような能動的で開かれたビジョンを見る者に体感させる。

『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』
会期:3月19日(土)~6月19日(日)
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(3月21日は開館)、3月22日
料金:一般 ¥1,400、大学生・専門学校生・65歳以上 ¥1,000、高校・中学生 ¥500、小学生以下無料
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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『遠藤利克』|SCAI THE BATHHOUSE

画像: 遠藤利克 《寓話V−鉛の柩II》2017年、木、鉛、鉄、(火)、75×317×67cm PHOTOGRAPH BY TOSHIKATSU ENDO, COURTESY OF SCAI THE BATHHOUSE

遠藤利克 《寓話V−鉛の柩II》2017年、木、鉛、鉄、(火)、75×317×67cm
PHOTOGRAPH BY TOSHIKATSU ENDO, COURTESY OF SCAI THE BATHHOUSE

 遠藤利克は、ドクメンタやヴェネチア・ビエンナーレなど国際的なアートシーンで高い評価を獲得してきた日本の美術家だ。1970年、学生だったころ、日本の前衛芸術運動「もの派」やコンセプチュアリズム、ミニマリズムの作家を集めた国際展『人間と物質』に衝撃を受け、それらに抗するような独自の作品世界を構築していった。特徴的なのは、水や火、木、空気、肉などを使った彫刻作品やインスタレーション。「聖性」や「考古学的思考」をキーワードに、素材をあるがままの「もの」として見せるのではなく、それらを燃やしたり、円形に並べたりと、制作のプロセスを通して、世界の物語や人間の根源的な欲動を語らせる、もうひとつの言葉のように扱ってきた。

 1999年にSCAI THE BATHHOUSEで開いた個展では、画廊の床から水が泉のように湧き出てくるインスタレーションを発表。そこには、一面水浸しのギャラリーを観賞者が歩くという異様な光景があった。同画廊で開かれている本展では、遠藤が2000年代半ばから展開している、彼の死生観を投影した「空洞説」シリーズの新作、また、そのためのプラン(平面作品)を見せる。ギャラリーの中心に置かれているのは、真っ黒に焼かれた、中身のない柩(ひつぎ)の彫刻。その空洞に、何を見い出せるか。

『遠藤利克』
会期:~ 5月14日(土)
会場:SCAI THE BATHHOUSE
住所:東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
時間:12:00〜18:00
休廊日:日・月曜・祝日
料金:無料
電話:03(3821)1144
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『没後50年 鏑木清方展』|東京国立近代美術館

画像: (左から)鏑木清方《浜町河岸》1930(昭和5)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm、《築地明石町》1927(昭和2)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm、《新富町》1930(昭和5)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm ⒸNEMOTO AKIO

(左から)鏑木清方《浜町河岸》1930(昭和5)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm、《築地明石町》1927(昭和2)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm、《新富町》1930(昭和5)年、東京国立近代美術館、通期展示、絹本彩色・軸、173.5×74.0cm
ⒸNEMOTO AKIO

 近代日本を代表する日本画家、鏑木清方。「美人画」の描き手として知られる鏑木だが、実は、晩年に至るまで、庶民の暮らしや文学、芸能のなかに広く作品の主題を求め続けていたという。没後50年を記念した本回顧展は、そうした清方の関心の「変わらなさ」に注目しながら、彼が残した日本画109点を見せる。

 みどころは、彼の代表作として知られ、長きにわたり所在不明だった《築地明石町》。本作を含め3部作として描かれた《新富町》《浜町河岸》とともに展示する。また、当時年中行事になっていた踏絵を題材に、着飾って踏み絵にのぞむ遊女を描いた《ためさるゝ日》にも注目したい。実は、この作品、左幅と右幅からなる左右対幅の絵画として描かれたものだったが、左右あわせて公開されるのは本展で30年ぶりのことである。ちなみに、清方はいつ、何を描いたかを記録した「制作控帳」を残しており、《ためさるゝ日》の左幅を「会心の作」だと記した。いうまでもなく、見るべき画家一押しの作品である。

『没後50年 鏑木清方展』
会期:~6月20日(月)
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
時間:9:30~17:00(金・土曜は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜(3月21日、28日、5月2日は開館)、3月22日(火)
料金:一般 ¥1,800、大学生 ¥1,200、高校生 ¥700、以下無料
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
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※新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は各施設の公式サイトを確認ください

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