四国でいちばん小さい町であり、最も人口が少ない徳島県上勝(かみかつ)町。焼却炉購入の財政的余裕がないなか、国内初のごみゼロ宣言から約15年。 その現在を創る人たちを追った

BY YUKA OKADA, PHOTOGRAPHS BY KIYOTAKA HATANAKA(UM)

「水道も電気もない先生の宿坊では、日が落ちれば作業は終わり。そこから『飯でも作ろうか』と竃に薪をくべる。バザールへの買い出しは2週間に一度、片道3時間半の道のりを歩いて通うんだけど、上勝はごみステーションに行くにしても一時間も山を下れば着く。だから、昔も今も成長がないというか(笑)、人生、何が幸いするかわからないよね」

 お金より、時間を愛でて、生きる。
 木彫版画で培った手先の器用さで、日々の有り余る時の中で編まれた竹籠や、大事に使い込まれた生活の道具、廃材を巧みに組み合わせた家具、適材適所にレイアウトされた最小限の日用品......。足るを知りながら生きることを追求し尽くした生活には、一切の無駄がなく、静謐な美意識が貫かれている。

画像: 来客があるときは複数のスパイスをミックスした本格ネパールカレーを作ってもてなす。 ただし、竃の火入れも、薪による火加減の調整も、料理も、みんなで一緒が 仙人流。「だって、僕にとって最大のエンターテインメントは、娯楽ではなく おしゃべりだから」

来客があるときは複数のスパイスをミックスした本格ネパールカレーを作ってもてなす。 ただし、竃の火入れも、薪による火加減の調整も、料理も、みんなで一緒が 仙人流。「だって、僕にとって最大のエンターテインメントは、娯楽ではなく おしゃべりだから」

画像: 昔はネパールから持ち帰ったテキスタイルの柄を木彫版画にして時間を愛でた。今は老眼が進み、下絵から自作した塗り絵などを、ときに来客と楽しむ

昔はネパールから持ち帰ったテキスタイルの柄を木彫版画にして時間を愛でた。今は老眼が進み、下絵から自作した塗り絵などを、ときに来客と楽しむ

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