BY KIMIKO ANZAI
「チリのワインがこんなにエレガントだなんて!」と驚かされるのが「ヴィーニャ・タラパカ」のワインだ。シャルドネは果実味豊かでピュア、チリの代表品種カルメネール(赤)は野性味を残しながらもまろやか、ワイナリーが得意とするカベルネ・ソーヴィニヨンは優雅で芳醇、どれもがハイレベルで「チリワイン=カジュアルワイン」のイメージを覆される。
ワイナリーの“フラッグシップ”は「タラパカ グラン レゼルバ ブルー ラベル レッド ブレンド 2021」で、果実のふくよかさが際立ち、奥深い味わいだ。カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、プティ・ヴェルド、マルベック、メルロ、カベルネ・フランをブレンド、その緻密で複雑な味わいは、美しいタペストリーを思わせる。
チーフ・ワインメーカーのセバスチャン・ルイス氏は笑顔でこう話す。
「このワインは『ヴィーニャ・タラパカ』のワインの“いいとこ取り”(笑)。5つの品種をブレンドしていますが、ベストの区画の中でも最良のブドウをセレクトしています。それぞれの品種の魅力を引き出し、“エレガントに織りなすこと”に苦心しています」
ルイス氏が理想とするのは“滑らかで美しいワイン”というが、まさにその理想が具現化されている。「ヴィーニャ・タラパカ」は1874年、首都サンティアゴの南に位置するマイポ・ヴァレーに設立、以来、ファイン・ワインを世界に送り出してきた。マイポ・ヴァレーは西に海岸山脈、東にアンデス山脈に囲まれた銘醸地で、高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンやブレンドタイプの赤を生み出すことから“南アメリカのボルドー”と評する専門家も多い。「ヴィーニャ・タラパカ」は今年、この地で設立から150周年を迎え、老舗としての存在感を放っている。
また、“よりよい未来”のためにワイナリーが力を入れているのが気候温暖化に対応するサステイナブルな試みだ。畑にはブドウを直射日光から守るカバークロップ(被覆作物)を植えている。畝の下草はそのままに、土中に微生物を増やすことでブドウがより栄養素を取り入れることができるよう、配慮している。また、ここには鳥やテントウムシなどの小さな虫も生息、生物多様性を実現している。それだけではなく、ワイナリーは、カンティリャーナ山脈の裾野に広大に広がる畑の中に、マイポ川まで続く“バイオロジカル・コリドー”と彼らが呼ぶ長い道(回廊)を作っている。これは、山に棲む野生動物たちが里におりてきて、川の水を飲みに来るための道だ。
ルイス氏は言う。
「動物や植物、自然との共存は、私たちが考えなくてはいけない大きな課題です。ワイン造り、ブドウ栽培は農業です。ですが、これは、時に私たち人間の都合で自然の多様性を壊してしまうこともある。私たちは、常に自然と向き合い、共存していきたいと考えています」。
最後に、来日して感動した”自社ワインとのマリアージュ”について尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「もちろん和牛です! チリは牛肉を中心とした食文化で、よい牛肉もありますが、日本のブランド牛は身質がやわらかく、脂も繊細。『2021タラパカ グラン レゼルバ ブルー ラベル レッド ブレンド』との相性の素晴らしさに驚きました。日本に来る楽しみが増えました(笑)」
問合せ先
ピーロート・ジャパン
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