70歳以上の女性アーティスト16名が集結する森美術館の『アナザーエナジー展』。今、なぜ世界は彼女たちに注目するのか?

BY YURIKO YAMAKI(P2, P4~5), EDITED BY JUN ISHIDA

人々を巻き込み、性や人種などあらゆる差別への問題提起を行う
SUZANNE LACY(スザンヌ・レイシー)
1970年代のカリフォルニアで起こったパフォーマンス・アートやフェミニズムの動きをベースに、作品制作を行うスザンヌ・レイシー。さまざまな社会問題をテーマに、多方面の参加者とのコラボレーションを実施し、その模様をビデオでも記録している。

画像: SUZANNE LACY(スザンヌ・レイシー) 1945年米国カリフォルニア州生まれ。南カリフォルニア大学ロスキ・アート&デザイン校教授。大学でソーシャル・デザインとパフォーマンス・アートを学ぶ。1970年代からパフォーマンス、映像、写真、社会活動などさまざまな手法を用いたコラボレーションにより、性・人種・階級・年齢・宗教などによる差別の問題を取り上げてきた。特にロサンゼルスのレイプ問題を扱った《5月の3週間》(1977)が有名 PHOTOGRAPH BY ZENO ZOTTI

SUZANNE LACY(スザンヌ・レイシー)
1945年米国カリフォルニア州生まれ。南カリフォルニア大学ロスキ・アート&デザイン校教授。大学でソーシャル・デザインとパフォーマンス・アートを学ぶ。1970年代からパフォーマンス、映像、写真、社会活動などさまざまな手法を用いたコラボレーションにより、性・人種・階級・年齢・宗教などによる差別の問題を取り上げてきた。特にロサンゼルスのレイプ問題を扱った《5月の3週間》(1977)が有名
PHOTOGRAPH BY ZENO ZOTTI

―― 50年にわたる創作活動の中で探求してきたテーマは何でしょう?
 私はカリフォルニア州中部の政治的には保守的な地域で、労働者階級の家庭に育ちました。幸い父はとてもリベラルな人で、人種がらみの不公正さなどについてよく教えられました。そうはいっても子どもの頃は、女子であることが不利だと思ったこともあります。大学に進学してからは経済的階層による差別も体験しました。そうした体験から、性差別、人種差別、労働者階級差別、それに宗教差別などを扱ってきました。

画像: スザンヌ・レイシー《避けられない連合》1976年 パフォーマンス ビルトモア・ホテル(ロサンゼルス) 展示されるパフォーマンス作品。老舗ホテルの改装を高齢女性の若返り整形になぞらえ、高齢者差別への関心を喚起したもの。本人もハリウッドの特殊メイクをして出演 PHOTOGRAPH BY RAUL VEGA

スザンヌ・レイシー《避けられない連合》1976年 パフォーマンス ビルトモア・ホテル(ロサンゼルス)
展示されるパフォーマンス作品。老舗ホテルの改装を高齢女性の若返り整形になぞらえ、高齢者差別への関心を喚起したもの。本人もハリウッドの特殊メイクをして出演
PHOTOGRAPH BY RAUL VEGA

―― 作品を通してどのようなメッセージを伝えたいのでしょうか。
 大学に入った頃は、パフォーマンス・アートが世に紹介され、フェミニズムの運動も盛んになった時期でした。子どもの頃から培われた公正さを問うこと、フェミニズム、パフォーマンス、それに公共アートといった要素が一体となったものが私のアートです。個人的な創作ではなく、人々を巻き込んでインタラクティブに行い、鑑賞者が個人あるいは集団として問題をいかに捉え、社会変革のために行動したらいいかを提言しています。

―― 今回展示する作品は?
 パフォーマンス作品3点です。まず、公共アートの団体とブルックリン美術館の共同主催で実施した《玄関と通りのあいだ》(2013)を見せます。ブルックリンの1 ブロックにある家々の前の階段に、365人の女性とその連れの少数の男性たちがグループごとに集まり、性暴力やエコロジー、セクシズムなどについて語り合いました。それを約2,000人の参加者が自由に聞いて回るというイベントを撮影したものです。

画像: スザンヌ・レイシー&リンダ・プロイス《インターナショナル・ディナー・パーティー》1979年 ジュディ・シカゴの《ディナー・パーティ》の展示に合わせて、各国のフェミニストたちが現地の女性の功績を称える食事会を同時開催した記録を集めた パフォーマンス サンフランシスコ近代美術館

スザンヌ・レイシー&リンダ・プロイス《インターナショナル・ディナー・パーティー》1979年 
ジュディ・シカゴの《ディナー・パーティ》の展示に合わせて、各国のフェミニストたちが現地の女性の功績を称える食事会を同時開催した記録を集めた
パフォーマンス サンフランシスコ近代美術館

―― ブルックリン美術館には、ジュディ・シカゴの《ディナー・パーティ》(歴史上有名な女性39人を称えた、それぞれ異なるデザインのディナーセットを、巨大な三角形の晩餐用食卓にのせたインスタレーション)が永久展示されていますね。
 あの作品が1979年に初めて展示されたのは、サンフランシスコ近代美術館でした。《インターナショナル・ディナー・パーティー》は、その展示を祝福するために世界各地のフェミニストたちが行った食事会を報告する電報の集まり状況を知らせるイベントの記録です。日本からも届きましたよ。

<TJメンバーズ限定>
森美術館『アナザーエナジー展』特別鑑賞会に
抽選で25組50名様をご招待
開館前のAM9:30~10:00、T JAPAN貸切にてゆったりとご鑑賞いただくことができる特別鑑賞会にご招待します。

森美術館『アナザーエナジー展』T JAPAN 特別鑑賞会
開催日時:2021年5月14日(金)9:30~10:00 ※10:00の開館後も滞在、鑑賞いただけます。
応募期間:4月15日(木)~25(日)
当選者には、4月28日(水)までにメールでご連絡いたします。
※ 応募期間は終了いたしました

・お一人様ご応募は1回までとさせていただきます。
・権利の譲渡はご遠慮ください。

※ ご応募には「TJメンバーズ」への登録が必要です。すでに会員登録がお済の方は、アカウントへログインのうえご応募ください。

『アナザーエナジー展:挑戦しつづける力 ー世界の女性アーティスト16人』
会期:2021年4月22日(木)〜2021年1月16日(日)
会場:森美術館
住所:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
開館時間:<4/22~5/11日まで>10:00~20:00(火曜〜17:00、5月4日(火・祝)〜20:00まで)
※ 入館は閉館の30分前まで。会期中、開館時間が変更になる場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください
休館日:会期中無休
チケット購入:事前予約制(日時指定券)を導入。専用オンラインサイトから「日時指定券」のご購入・予約可。 当日、日時指定枠に空きがある場合は、事前予約なしで入館も可能。料金詳細はこちらをご確認ください
電話:03(5777)8600(ハローダイヤル)

※ 新型コロナウイルス感染予防に関する来館時の注意、最新情報は公式サイトを確認ください

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