BY MIKA KITAKMURA PHOTOGRAPHS BY MANA LAURANT
あさりと大麦のスープ
低糖質で、βーグルカンをはじめとした食物繊維に富む大麦。有元さんは、小麦を粒で食べるイタリアの食文化をベースに、大麦のスープを提案してくれた。基本はあさりのスープとゆでた大麦。魚介と穀類を合わせた料理が多いイタリアでは黄金の組み合わせだとか。あさりを食べるというよりスープを味わう。このスープだけでも充分だが、キッチンにある野菜を足せば、さらに豊かな一品となる。
<材料 4人分>
あさり 30個くらい
にんにく 2片
水 31/2カップ
大麦 1/3〜1/2カップ
塩 少量
トマト 大1個
イタリアンパセリ 適量
<作り方>

砂出して水洗いしたあさり、皮ごと叩いたにんにく、水を鍋に入れて、弱めの中火にかける。じっくり温めるように20分ほど加熱すれば、あさりのおいしいスープが出来上がる。殻が開いたら、味を見ながら塩を加える

鍋にお湯を沸かし、さっと水洗いした大麦を15〜20分ゆでて、ザルに上げる。大麦はゆでると約3倍にふくらむ

ゆでた大麦を、あさりのスープの鍋に加えて、馴染ませるように少し煮る

角切りにしたトマトを加えて少し煮たら、火を止めて、みじん切りのパセリを振り入れ、器に盛る

加える野菜はなんでもOK。じゃがいもや玉ねぎなどの根菜類なら、大麦を入れる前にスープに加えおく。味噌味や醤油味にしてもいいし、唐辛子で‶味変″させても
大麦粉でサクサク、野菜のかき揚げ
大麦は粒のみならず、挽いた大麦粉を日々の調理に取り入れてみるのもおすすめだ。
「小麦粉と半々に混ぜ合わせて容器に入れ、日常使いの”粉”として用いるといいでしょう」。日々の料理に使う粉に大麦粉を加えた自家製ミックス粉を常備しておけば、大麦の優れた栄養価を、手軽に体に取り入れることができる。魚介や野菜のフリット、天ぷらの衣、フライドチキンなどの揚げものをはじめ、ニョッキ、たこ焼き‥‥。さまざまなメニューに大活躍だ。大麦はグルテンをほとんど含まないので、パンを焼くには、この自家製ミックス粉に強力粉を加えるとよい。
有元さんのおすすめは大麦粉を用いた野菜のかき揚げだ。「冷蔵庫にある野菜ならなんでもいいのよ」。野菜に粉をまぶして水を加え、野菜同士がまとまればOK。衣を作らず、野菜を粉と水でまとめるだけの気軽な揚げものだが、さっくり揚がって、ほっくりと美味。
大麦粉には、「うるち性」と「もち性」がありる。もち性は粘性があるため、揚げ物にはうるち性の大麦粉がおすすめ。独特のカリカリ感が楽しめる。
<材料 4人分>
野菜(手元にある野菜でよい。写真は、春菊、椎茸、かぼちゃ、人参、れんこん) 各適量
ミックス粉(大麦粉と小麦粉半々の割合) 適量
水 適量
揚げ油 適量
<作り方>

小麦粉などいつも使う粉と大麦粉を半々に入れたミックス粉を、ハンディタイプの粉ふるい器に入れる。普通の粉ふるい器でもよい

野菜は季節のものをなんでも。キャベツ、ごぼう、さつまいも、セリなど。1種類でもいいし、お好みでミックスしても。野菜の水気は丁寧に拭き取らなくてよい。切り方は、せん切りでも、ちぎっただけでも、お好みで。数種をミックスする場合は大きさを揃えるとよい。大きなものは薄切りに、葉野菜はひと口大に切り、ボウルに入れる

粉をふるい入れる。量の目安は、野菜は各種手のひら1杯分ほど。粉は約大さじ3

ボウルに水を加えつつ、全体を混ぜる。この分量の場合は水を大さじ2加え、様子を見ながら少しずつ足していく。途中で粉を足してもよい。ただし、水をたくさん入れすぎるとベチャッとするので注意。野菜同士がひとかたまりになればOK。野菜の下に水が溜まってしまったら、水分が多すぎなので粉を足す。粉が多めだとカリカリ感が増す

揚げ油を170℃弱に温める。野菜を平たいスプーンなどに入れて形を整え、油にそっと入れる。油に入れて野菜がバラバラになってしまったら、粉と水を足せばよい

箸でさわってコンコンと硬い感触になったら、網に上げる。サクサク、カリカリに揚げたいので、低温でじっくり水分を抜くように揚げる

器に盛り、おいしい塩を添える。好みですだちなどの柑橘類を絞っても

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショッ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。公式サイトはこちら

血糖値コントロール、ダイエット、大腸の環境を整えて免疫力アップなど、さまざまな健康効果があり、世界で注目を集めている食材・大麦。大麦パワーをさらに活用したい人にはこの本もぜひ参考に。料理家の有元葉子、松田美智子、ウー・ウェン、パティシエの小嶋ルミ(オーブン・ミトン)、ブーランジェの割田健一(ビーバーブレッド)の5人が試作を重ねて完成させた充実のレシピが豊富に紹介されている。「低糖質、食物繊維たっぷりでおいしい! おうちで作る大麦粉料理」¥1,760/小学館刊
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