バロック、新古典、折衷的なネオ・ルネサンス、アール・ヌーヴォーなど、さまざまな様式の建築物が建ち並び、丘陵地には美しい温泉施設もーーハンガリーの首都ブダペストで訪れるべきスポットを厳選して紹介

TEXT & PHOTOGRAPHS BY WALTER GRIAO, TRANSLATED BY SHINJIRO MINATO

 春は、ヨーロッパを訪れるのに一番良い季節だと思う。気候は穏やかで、陽も長く、地元の人々もいつもより温かく迎え入れてくれるような気がする。それはヨーロッパの他の有名な都市より、はるか東に位置している、ハンガリーの首都ブダペストでも同じだ。

画像: 春の色に溢れたブダペスト。ドナウ川を歩いていると、向こう側に「ブダペスト工科経済大学」が見えた

春の色に溢れたブダペスト。ドナウ川を歩いていると、向こう側に「ブダペスト工科経済大学」が見えた

 ブダペストは、ドナウ川の西岸の街「ブダ」と東岸の街「ペスト」が1873年に合併してできた街である。空の玄関口リスト・フェレンツ国際空港から街の中心部までは、シャトルバスが運行しており、その車窓から、さっそくこの街を形作ってきた多様な文化や歴史を感じることができた。窓の向こうには、バロック、新古典、折衷的なネオ・ルネサンス、アール・ヌーヴォーなどさまざまな装飾様式、また東洋と西洋のスタイルがミックスした建物が建ち並び、ブダペストが“建築物の宝庫”と呼ばれる理由を知ることができる。

 ちなみに西岸のブダは、緑の多い丘陵地帯で、かつてその一部はローマ帝国の要塞都市であったと言われている。このブダのなかでも、温泉が湧くゲッレールトの丘とブダ城のあるエリアは、他の歴史的名所とともにユネスコの世界遺産に登録されており、そこから見下ろす平野部ペストの街並みは、活気に満ちていて美しい。

 

<SPOT>

FISHERMAN’S BASTION(漁夫の砦) 
 ブダ城の丘に登って「漁夫の砦」を訪れるところから1日を始めるのも良いかもしれない。1895年から1902年にかけて建てられたこの砦はよく知られた名所の一つで、ネオロマネスク様式のテラスからはブダペストの街並みを一望できる。また、ここから、マーチャーシュ聖堂、ハンガリー国立美術館、ブダペスト歴史博物館、王宮などへは歩いて移動することが可能だ。それらを散策した後は、ドナウ川を越えて、ペストを散策してみるのもいいだろう。ちなみに、ドナウ川にはたくさんの橋がかかっている。セーチェーニ鎖橋はブダペスト市内のドナウ川沿岸で最初に架かった恒常的な橋。マルギット橋はドナウ川に浮かぶマルギット島を経て、ブダ地区とペスト地区をつないでいる。

画像: 漁夫の砦。中にはレストランもあり、コーヒーを飲みながら ブダペストの美しい街並みを一望できる

漁夫の砦。中にはレストランもあり、コーヒーを飲みながら ブダペストの美しい街並みを一望できる

GELLERT BATHS and SPA(ゲッレールト温泉)
 ブダペストでの楽しみのひとつは、温泉だ。トルコ式、アール・ヌーヴォー様式などさまざまな種類の温泉施設がある。私のお気に入りは「ゲッレールト温泉」だ。1918年に完成し、今ではヨーロッパで最も有名な浴場のひとつでもある。施設内には2つの温泉浴場、ガラス天井のスイミングプール、スパ施設、加えて屋外には1927年当時の造波装置を使った波のプールもある。

 ゲッレールトの温泉はさまざまな効能があることでも知られており、12世紀には聖ヨハネ騎士団も使用したと言われている。アール・ヌーヴォー様式の装飾、芸術的なモザイク画、ステンドグラス、彫刻なども美しく、ここで泳いでいると、まるで夢の中にいるような素敵な気分に。ランチのあとはとても混雑するので、朝か夕方頃が狙い目だ。
www.gellertbath.hu

画像: 大理石の高い柱、天井のアーチ、ステンドグラスの窓、また 浴槽のモザイクタイルなど装飾も素晴らしい

大理石の高い柱、天井のアーチ、ステンドグラスの窓、また 浴槽のモザイクタイルなど装飾も素晴らしい

URANIA NATIONAL FILM THEATRE(ウラーニア映画館)
 需要の落ち込みやスポンサー離れでインディペンデント系の映画を上映する映画館は、年々少なくなってきていると言われる。そんななか、マイナーな作品を積極的に上映し、映画文化の振興に一役買っているのが「ウラーニア映画館」だ。この映画館は、建物自体も魅力的。1890年代、パリシ・ウドバー・ホテルを設計したことでも知られている建築家ヘンリク・シュマールがデザイン。ヴェネチア・ゴシック様式にアラブの要素を混ぜた、独自の装飾が美しい。
http://urania-nf.hu

画像: ウラーニア映画館のメインホールの2階。ここは1890年代、ヴェネツィア・ゴシック様式にアラブの要素を取り入れる形で建造された

ウラーニア映画館のメインホールの2階。ここは1890年代、ヴェネツィア・ゴシック様式にアラブの要素を取り入れる形で建造された

BUDAPEST UNIVERSITY OF TECHNOLOGY and ECONOMICS
(ブダペスト工科経済大学)
「ブダペスト工科経済大学」も、ユニークな建築空間を楽しめるスポットだ。この大学は、1782年「Institutum Geometrico-Hydrotechnicum」の名で設立されたハンガリーの名門教育機関で、ヨーロッパで初めて技術者を養成し始めた大学でもある。

 アラホス・ハウスマンによって設計されたメインの棟も魅力的だが、見逃せないのは付属の図書館。ゴシック様式とロマネスク様式を組み合わせた建築デザインで、最も印象的なのは「閲覧室」のゴシックスタイルの天井アーチ。このアーチは、高さ15〜16メートルで、宗教建築以外では最大と言われている。この部屋に入ると、1909年に建てられて以降、一世紀に渡って多くの学生が机に向かって読書に没頭してきた、厳粛な雰囲気を感じることができる。
www.bme.hu

画像: ブダペスト工科経済大学の図書館。同大学のシャム・ペッツ教授によって設計されたもので、彼はブダペスト中央市場の設計者でもある

ブダペスト工科経済大学の図書館。同大学のシャム・ペッツ教授によって設計されたもので、彼はブダペスト中央市場の設計者でもある

CITYSCAPE(夜の街並み)
 夜になるとブダペストは昼間とは違った素晴らしい一面を見せる。ドナウ川のナイトクルーズはカップルに人気で、星空のもと、歴史的な建造物が立ち並ぶ美しい景色を眺めることができる。

 刺激的な体験をしたいのであれば、バーやクラブへ足を運んでみよう。じつは、ブダペストには、世界中からトップレベルのDJが集まっている。カフェとクラブをハイブリッドしたようなバーもあり、またスパパーティ、屋上イベント、ドナウ川に浮かぶボートパーティなどが開かれていることも。

 

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