BY ELIZABETH PATON, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

イートウツ
引き続き「スポーツウェア」がトレンド筆頭に
「スポーツウェア」は、今シーズンもロンドン・メンズ・コレクションの主要テーマだった。ベルスタッフの展示会には、ハイテク素材でできた、日に褪せたような色合いのブルゾンが。クリエイティブ・ディレクターのデルフィーヌ・ニヌーによると、有名なパリ・ダカールラリーがイメージソースだそう。異なる文化、変化する気候や地形を疾走するのにぴったりだ。コットワイラーでは、ジップアップジャケットやタイトなバミューダパンツ、トラックスーツが登場。カリフォルニアの砂漠で、エコ発電で自給生活を送っているコミュニティが発想源だ。そしてフセイン チャラヤンの「モーメンタム」と銘打たれたコレクションには、人間の絶えまない動きに合わせてデザインされた、滑らかな質感のフューチャリスティックなウェアが並んだ。
現代のメンズウェアデザインにおいて、機能性はシルエットと同様に重要な要素のようだ。今年150周年を迎える、洗練されたテーラリング技術を誇るイートウツのクリエイティブ・ディレクター、パトリック・グラントは、定番アイテムにこのブランドらしいひねりを加えてアップデートした。二重ポケットのついたナイロンボンバージャケットや、ショートパンツのセットアップがその例だ。

イートウツ

イートウツ
PHOTOGRAPHS BY TOM JAMIESON FOR THE NEW YORK TIMES
マルティーヌ ローズがショー会場に選んだのは、トッテナにあるクライミングジム。ファッション界で彼女の評判が高い理由は、デムナ・ヴァザリア率いるバレンシアガのメンズウェアチームでコンサルタントを務めているからというだけではない。そのことがよくわかるショーだった。男女のモデルたちはフリース、カーゴショートパンツ、カラーブロッキングフーディに、サングラスやワイドデニムパンツを合わせていた。おしゃれとは言い難いアウトドア感たっぷりの服が、彼女の手によってハイファッションに昇華された。
彼女のインスピレーション源はいつも明白で、ある特定のサブカルチャーだ。今回の着想源はオレゴン州ポートランドやオーストラリア・シドニー、もしくはトロントといった都市のバイクメッセンジャーやアウトドアスポーツ愛好家。そうして、専門的なスポーツウェアの要素がミックスされたモードな服が生まれた。見慣れた服にフレッシュなひねりを加えたマルティーヌ ローズ。観客からの評判も上々だった。